第5回 新版がアメリカで一昨年出版
表紙に描かれた主人公の苦悩
初版はまったく注目されなかった「No-No Boy」は、1976年に復刊された。以来読み継がれ、版元のワシントン大学出版では13回版を重ねて累計で10万部以上を出版している。この間、ずっと同じ表紙で同じ内容だったが、一昨年新たな序文を加え表紙も一新した新版が出た。
ボブ・オノデラの手によるこれまでの表紙のイラストは、一見何をあらわしているのかわからないが、よく見ると人間の顔のようで片方の目は星条旗が、そしてもう片方には旭日旗が小さく描かれている。小説の主人公イチローの目だと類推できる。
赤色の「NO-NO BOY」という字体は、アメリカ軍の戦車などに使用されるアーミー・ステンシル・フォン…