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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

二世代目以降の「県人会」と今後の架け橋としての役割

近年、南米の日本人移住者と出身県との交流ツールだった「県人会」の形態や役割が変わってきた。戦前は、同郷の人が集まり限られた情報を交換する場であり、残された家族との連絡を橋渡しする機関であった。戦後になると各県からの助成を得て運営する県人会も増え、特に日本が経済大国になった70年代から90年代ぐらいにかけては、各県の助成金をもとに日系二世や三世の短期研修や農業後継者育成や中期留学を援助したり、高齢移住者の里帰り支援や県の若者南米派遣交流事業を展開する県人会もでてきた。移住先では、農村部や都市部にかかわらず、県人会は仲間を助け、親睦を図ってきた。

JICAや研究者の統計によると、戦前だけでもハワイを含むアメリカ大陸には65万人の日本人が移住しており、都道府県別にみると、広島(96,848)、沖縄(72,227)、熊本(68,245)、福岡(51,240)、山口(45,223)、和歌山(30,980)、福島(25,923)、北海道(22,674)、岡山(20,839)、長崎(19,331)、新潟(15,633)、鹿児島(14,085)等の順になる。戦後は7万人以上が南米を中心に海外移住をしており、その内訳は沖縄県(7,227)、東京(6,002)、福岡(4,536)、熊本(4,454)、北海道(4,487)、長崎(3,877)、高知(2,723)、鹿児島(2,618)、福島(2,616)、神奈川県(2,364)となっている1

47の全都道府県による県人会が存在するのは、現在180万人の日系人がいるブラジルだけである。この国には都道府県人会連合会という組織もあり、毎年世界最大の「日本文化祭り〜Festival do Japao」を企画、開催している2。ペルーやアルゼンチン、ボリビアには、沖縄出身の移民が多く、沖縄県人会は独自の会館や施設を持ち、様々なイベンドや交流事業を展開している3。どの国の県人会でも世代交代が進み、今では日本語能力があまり高くない若い三世が会の運営に関わるようになってきた。そのため、県人会の在り方も変わってきている。

ブラジルサンパウロ市で開催の「日本文化祭りFestival do Japao」の都道府県及び日本の農林水産省ブース(2017年と2018年の写真)

我が国アルゼンチンの日系社会は現在5万人前後だと考えられている。私の幼少時代はその半分ぐらいで、両親の出身県である香川県人会の会員数は30人前後だった4。ちなみに、同県から戦後ブラジルへ移住したのは168世帯403人で、次いでパラグアイが33世帯139人である。会員のほとんどが農業従事者で、恒例の新年会の際には多くのご馳走が用意された。アルゼンチン・アサード(牛肉などの炭火焼バーベキュー)で親睦を図り、我々子弟間の交流もかなり盛んであった。

各都道府県は、70年代半ばから90年代にかけて海外の県人会を通じて、積極的に同県人の子弟に対して研修の機会を与え、アジア諸国や姉妹都市との交流を行ってきた。しかし今では、県の財政状況によっては、奨学生として推薦される日系の若者の数が減ったこともあり、日系人の県費留学制度を縮小もしくは廃止した都道府県もある5

「香川県南米移住史」によると、1972年から開始された「日系人県費留学制度」は基本的に今も続いているが、記録によると2003年以降この制度を活用した香川県出身者のアルゼンチン人子弟はいない。アルゼンチンからの同県出身者の子弟は少ないため、推薦する若者がいなくなり与えられた枠を活用できなくなったからである。

このような状況を踏まえ、2014年、香川県人会は、ブエノスアイレス在住で貿易会社を営んでいる真木(さなぎ)信明県人会会長の発案によって、日系人であるかどうかにかかわらず、日本語を勉強し、日本に関心があり、日本で研修を受けたいというブエノスアイレス日亜学院卒業生を推薦して、県費留学生として派遣することにした6。その初代研修生は、ラジオアナウンサーのエリカ・マリアニさん、非日系人である7。彼女は2014年7月から12月まで、高松市にある西日本放送でアナウンサーと番組制作の技術研修を受けた。日本文化にも触れ本人にとってはとても貴重な体験になったという。これらの経験を糧に、現在はブエノスアイレスのラジオ番組「JAPON HOY(日本の今)8」で日系二世のリカルド外間氏とパーソナリティーを務め、香川県人会の活動にも積極的に参加し、非日系の留学生の育成にも尽力している。香川県から知事や県会議員などがアルゼンチンを訪れた際は、日本語で司会進行役を務め、県庁関係者もとても喜んでいる。非日系であっても日系人より日本語が堪能で特出した存在である。いずれにしても、今の日系世代の試みは、県人会の活動を通じて自分の社会と県との交流を活性化することにあり、今後も貢献しうる非日系人をも含む人材の養成を目的としているような気がする。

アルゼンチン香川県人会の真木会長(右前)とこれまでの香川県費留学生の一部、2019年2月。左から、Josefina Arcidiacono(25)さん: 2015年度技術研修員で、現在はコンピューターシステムの仕事をしながらラ・プラタ国立大学に在学。Mariano Zurita(28)さん: 2015年度香川県県の南米交流次世代人材育成の研修員。現在はオンラインの日本語講師をしている。Erica Mariani(31)さん:2014年度、初代非日系県費留学生。アナウンサー業と日本語講師として活躍。Cintia Macías(27)さん:2016年度研修生。ブエノスアイレスで日本語を教えており、日本人を含む外国人にスペイン語を教えている。イラストレーターでもある。Sofía Sztrum(25)さん:2014年度の研修生で現在ブエノスで日本語を教えながら出版物のデザイン学科を専攻。写真には載っていないが、他二人、研修生がいる。一人はDaniel Mejail(27)さん:2018年度の研修生。現在数学学科の大学生。Romina Giménez(27)さん:現在高松に留学中。ブエノスアイレスの日系雑誌「Alternativa Nikkei」の写真担当で、2020年3月に帰国予定。(写真提供: Erica Mariani)

このように県とはまったく関わりのない非日系人の若者を香川県に留学させようという斬新的な発想は、評価に値する。香川県の県費留学生は、真木県人会長及び日亜学院の教員らの選定と推薦によって決まる。非日系人に負けず、県人会子弟も留学生または研修生として推薦されるよう挑戦して欲しいものである9。このような非日系人も含めた形で今までとは違った新しい試みは、私が知る限り他の県人会では行われていない。

アルゼンチンに関しては、茨城県人会と兵庫県人会に人しか知らないが、茨木県人会会長は、私が生まれ育ったブエノスアイレス州エスコバール市の大先輩、二世のウンベルト小池氏(70代で、現役時代には私が所属していた日系野球チームの監督であった)であるが、同県の高校生や大学生のアルゼンチン短期訪問プログラム等を支援している。彼自身、完全な日本語力は持ち合わせていないが、定期的に県庁を訪れたり、県の交流事業に協力することで県との懸け橋的な役割を続けている。また、日系人の留学制度を継続させるため、有能で将来的に両国にとってメリットのある日系の若者を可能な限り推薦している。そして、ブエノスアイレス在住で昨年JICA日系研修生として来日した兵庫県人会会長クリスティアン山田氏(30代でとても活発な若者)も似たような活動を行っている。どの国の小規模県人会も日本留学対象の日系人が少なくなっているなか、こうした試みはとても参考になる。

アルゼンチン茨城県人会長のウンベルト小池氏と奥様のアダさん(エスコバールの小池宅とJICA横浜での写真)、香川県費初代留学生のエリカ・マリアニさん(ブエノスのラジオ局と2018年プライベートで来日した時の写真)。

日本では「地方創生」という言葉があり、担当大臣10が任命されているほど、過疎化している農村や市町村、衰退している地場産業の活性化が大きな課題となっている。そうした観点からも、海外の県人会は広報の役割を担えるし、新市場開拓の先遣隊として一定の役割が期待されている。

実際、冒頭で述べたブラジルの「日本文化祭り」は、都道府県などにとっては大きなビジネスチャンスであると見られている。3日間にわたるこの祭りには、約20万人が来場する。その大多数は非日系人だ。各県人会は三日間にわたってブースを設置し、県の特産品や郷土料理を紹介しながら、その一部をメニューとして販売し、その収益金を各県人会の運営費へとわりあてる。協力的な県は、英語のパンフレットや見本品を県人会へ送り、県の職員だけではなく農林水産省(例:和牛のアピール)や企業関係者(例:日本酒等)もサンパウロまで出向く。時によっては、彼らがセミナーを開催することもる。

日系人は、このようなニーズを認識することで、県人会という窓口をもっと有効に活用できるに違いない。言葉、文化、ビジネス慣習の違い、規制の多さによって期待通りにいかないことの方が多いかもしれないが、若い世代の日系人も県側も互いに新たなニーズを認識し、期待をもってアプローチをすることで、出来る範囲で交流を深めことは十分に価値ある「架け橋」としての役割だと考えられる。

注釈:

1. 国際協力事業団『海外移住統計』1994、石川友紀『日本移民の地理学的研究』1997.

2. ウェブサイトは、日本語でもその趣旨や組織構造などが説明されている。

3. ペルー沖縄県人会 Asociación Okinawense del Perú
在亜沖縄県人連合会 Centro Okinawense en la Argentina 
ボリビア・サンタクルスのオキナワ移住地 Colonia Okinawa

4. 1990年の「香川県の年別戦後移住者」によるとアルゼンチンの移住者22世帯、37人とある(出所:香川県南米移住史、412頁、香川県、平成16年)。ほとんどがブエノスアイレス市郊外で、数世帯がメンドサ、ミシオネス、コルドバ州に居住していた。

5. 一部の県では、歴代県人会長の親族や関係者贔屓の研修生ばかりが留学生として推薦されることも多く、募集方法や選定が不透明で、志ある若者が選ばれなくなっていた。また、90年代には留学生の日本での素行が悪くてトラブルになったケースもある。

6. 日亜学院は当初日系人のみを対象にした日本語学校であったが、1984年から幼稚園、小中高の一貫教育をするアルゼンチン教育省認定の正規学校として認可を受けたため、非日系人の生徒も増えた。日本語や英語の授業も充実しており、2021年からは日本語・日本文化コースの高等教育(専門学校として)を実施する。

7. エリカ・マリアニ(Erica Mariani)さんは現在31歳。アルゼンチン国立アナウンサー学校を卒業し、テレビやラジオでのアナウンサー免許を取得している。また、日亜学院で日本語を勉強し日本語能力試験N2の持ち主でN1に向けて奮闘中である。ラジオ番組「JAPON HOY」だけではなく、日系社会の数々の日本文化イベントでも司会を務めており、ラ・マタンサ国立大学の日本語講師でもある。

8.「JAPON HOY」はブエノスアイレスのFMラジオ放送で、スポンサーを募って制作されている。2008年に立ち上げられ今も継続している。日本文化イベントの啓発や日本と関わりのある人物が出演している。毎週水曜日午後5時から1時間の放送で、インターネットやYouTubeでもアクセスできる。私も、里帰りするたびに出演しているが、日本で大きな出来事や災害が発生すると電話インタビューで対応することもある。 

9. 中南米の日系人は、都道府県の研修プログラムだけではなくJICA日系研修員事業や文科省の留学制度にも応募できるが、近年は、JICAの各専門プログラムで来日する日系人が多い。 

10. 2020年3月現在、内閣府特命担当大臣は長崎出身の北村誠吾議員である。

 

© 2020 Alberto J. Matsumoto

Agrentina Japan kakehashi kenjinkai nikkei in latin america

Sobre esta série

日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。