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アマゾンの日系社会

第4回 開拓者から企業マンへの軌跡 

「近いうちに、一杯やりませんか」と誘われて、日伯協会の方や同期ボランティアも一緒に1か月に1回は会う飲み仲間でもあり、ブラジルで出会った数少ない友人の一人でもある須藤忠志さん。あまり飲まないが、飲ませるのはうまい。182センチの長身で、目尻が少し下がったとても優しい顔立ち。「もてるでしょう?」と聞くと、「そんなことないよ。昔は仕事一筋だったしね」と。若いころの写真を見せてもらったが、かなりの美男子。相当もてたはずだが、「仕事一筋だった」というのはあながち嘘ではないだろう。なにしろ彼は、61年前に来た戦後移民。ブラジル社会で生きていくために、私になど想像できないほどの苦労をし、必死に働いてきたに違いない。

須藤さんが大学4年生だったときに、父親の「ブラジルへ行く」という一言で、一家で移住したのが1954年。大学も卒業したかったし、その後の計画もしていたが、「ブラジルへの憧れもあった」とのこと。幼少期を過ごした上海では、新聞販売業を手広く営んでいた父親。「ブラジルでも一旗揚げたいと思っていたのだろう」と、遠くを見つめて言う須藤さんの目の先には、入植したボリビアとの国境の町、ポルトヴェーリョの景色がある。数回訪れたことがあるが、時期によっては40度まで上がる。内陸に位置し、川沿いのベレンよりも暑く感じる。赤土が舞うたびに、「移住者の方たちは、先の見えないここの生活をどんなふうに過ごしていたのだろうか」と想像をする。

上野高校でも、早稲田大学でも、バスケットボールに熱中した都会暮らしの青年が、山刀やら斧やらを持って原始林に入り自分たちの家を造ったり、芋やトウモロコシの植え付けをしたりした。もちろん、マラリアにもかかった。植えたゴムの木が燃えてしまったこともあり、夜空を見ながらそこにもたれて座り、「ここで何をしているのだろう」と考え始めたのが、入植してからちょうど3年がたったころだった。都会で別の職に就いたほうがいいと言う兄二人の勧めもあり、彼だけがベレンへ行くことになった。

3000キロの船旅をして移った先で、その後、勤務することになる会社の経営者である辻小太郎氏と出会った。戦後のアマゾンで移民を再スタートさせた立役者として有名な辻氏は、ジュートを扱う商社を持っていた。そこで働かないかと誘われ入社、経営のノウハウを学んだ。のちに、視察のために会社を訪問した、現三井物産の子会社の支店長で、大学の先輩でもある岡田徳太郎氏に呼ばれ、ブラジル物産(現三井物産)ベレン支店で働くことになったため、3年で辻氏の会社を辞めた。

辻小太郎氏銅像(筆者撮影):汎アマゾニア日伯協会建物入り口

しかし、「帳簿の付け方もわからない僕を拾ってくれた辻さんには感謝している」と言う須藤さん。30年以上勤め、取締役にまでなった企業(現三井物産子会社である三井食品)での経験の礎は、「辻氏と汗水流したアマゾンでの3年間があったから」。私が活動している北伯日本語普及センターがある建物の入り口には、辻氏の銅像がある。アマゾン移民の歴史の生みの親とも言える辻氏が、今の須藤さんを見たら驚くだろう。82歳で会社設立、サンパウロや日本へ出張に行く現役会社員なのだから。

「はい、新しい名刺」と渡され、日本にアサイーを輸出する会社を開設したことを聞き、思わず「まだ働くんですか!?」と言ってしまった。「この年になって頼りにしてもらえるというのは、ありがたいこと。それに、昔の仕事魂がまたフツフツと湧いてきてね」と話す須藤さんを見て、「ブラジルで一旗あげたいと思っていたお父様にとって、自慢の息子だろうな」と、心境を勝手に思い描いた。「タイミング良くいい人に出会える運に恵まれていた」とはいえ、それをモノにする須藤さん自身の力量も否定できない。ポルトヴェーリョの未開の地を開拓するのに毎日を費やしていた青年が、大手日系企業の取締役となり、傘寿を超えても現役でいる、そのエネルギーと精神力には頭が下がる。

帰化している須藤さんだが、「あなた」を「貴女」、「私」を「小生」と書く、昭和一桁生まれの日本人。

ブラジル社会で生き抜いてきた須藤さんも、毎年、日本で会う高校時代の同級生の話をするときは、本当に幸せそう。心の奥底には、ゴールを目指してボールを追いかける自分の姿があるのだろう。人生のゴールは遠い先。アマゾンの開拓者はこれからまた、自分の道を切り開いていくのだろう。

 

© 2015 Asako Sakamoto

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Sobre esta série

ボランティアの目から見たアマゾンの日系社会について、一世、日系人、日系社会、文化、日本語、いろいろな角度から語るジャーナル。日々の活動を通して感じたこと、日系社会の歴史と現状、等々をお伝えします。