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あのときの少年たちはいずこへ ― 沖縄県系日系二世ピーター・オオタさんと沖縄の少年兵たち - その3/3

その2 >>

その他の元鉄血勤皇隊の方々の今

沖縄タイムスの本社において安里記者、安里さんらにインタビューをしたのち、わたしたちは琉球新報の本社を訪問して、内間記者とジャーナリストの上原正稔さんに会い、取材と写真撮影にのぞみました。その翌日、鉄血勤皇隊を調査するためにわたしが沖縄を訪問していることが朝刊に載りました。その記事を読んだ元鉄血勤皇隊の方々から連絡があり、わたしは彼らからさらに話を聞くことができました。しかし、短い訪問期間中に、彼ら全員とのインタビューの時間が取れず、わたしは計2度にわたり沖縄を訪問し、元鉄血勤皇隊の方々から当時の様子や今何をしていらっしゃるかなど、貴重なお話を聞かせてもらいました。

那覇市内に住んでいるNさんという方は、戦時中は、師範学校(沖縄師範学校)の学生でした。彼はエンジェル島に送られてはいないものの、長期にわたってハワイのホノルルに収容された経験をもっていることがわかりました。Nさんは、当時の戦争の様子を詳しく語ってくれました。

Nさんは戦後、教員の免許を取得したのちに、長らく沖縄県内の小学校の先生として活躍されました。また、彼はみずからがアメリカ軍の捕虜となったときに発行された書類を取得するために、アメリカを訪れたことがあったとのことです。

長年、県内の高等学校の先生として活躍されたTさんという方は、さきに挙げたNさんと同様に、戦時中は師範学校の学生で、安里さんと同様、沖縄戦のさいアメリカ軍によって身柄を拘束され、エンジェル島に収容されました。Tさんは、オオタさんについてはご存じないようでしたが、わたしからオオタさんの話を聞き、後に沖縄の文学に関する書物などをオオタさんに贈ったそうです。戦後、彼は教員の資格を取得して、沖縄県内の高等学校において国語と書道を教えました。

Fさんという方は、屋嘉からハワイへ移送された船の様子について詳しく教えてくれました。人間の尊厳をまったく無視した扱いをした船があり、それを「裸組」とよんでいたそうです。また、ハワイに収容されたFさんは、収容施設のフェンス越しに、食べ物や生活必需品を投げいれた沖縄県系の日系人がいたそうです。Fさんは今でも彼らにたいして深い感謝の気持ちを持っていることを、わたしに語ってくれました。戦後、Fさんは政治家としての道を歩みました。

その他にも、父親が元鉄血勤皇隊でエンジェル島に送られたというAさんという女性の方や、安里さんと一緒にエンジェル島へ送られたHさんともお会いすることができ、話を聞くことができました。

また、沖縄県内でジャーナリストとして、そしてルポライターとして活躍されている上原さんには、戦後の沖縄復帰の運動や平和運動のくわしい経緯を教えていただきました。上原さんは、長らく沖縄戦にかんする歴史の調査に携わっている方で、なかでも集団自決の問題など、県内のみならず、全国レベルでも大きな議論となる戦争体験の問題についても活発な発言をされています。

わたしが、安里さんら、当時の鉄血勤皇隊の一員だった方、特にエンジェル島に送られたことのある人々に出会えたのは、ほんとうに光栄なことでした。エンジェル島に送られた少年兵は数十名ほどいたのですが、その多くがすでに亡くなっており、彼らは、数少ない「生き証人」だからです。

2度にわたる沖縄訪問においては、安里さんをはじめ、多くの人々が親切にしてくださったことは、わたしには忘れられない思い出となりました。また、彼らの貴重な戦争体験を直接聞くチャンスをいただいたことは、わたし自身にとって「さきの戦争の歴史」を理解するうえで、非常に重要な経験になったと思います。

オオタさんとの出会い

東京へ戻ったわたしは、沖縄訪問で聞いた少年兵についての話を、オオタさんへ手紙やメール、電話などで簡単にお知らせしました。そして、その年の秋、わたしは、オレンジ郡タスティン市内の自宅をかまえるオオタさんに、当時の少年兵の話を直接お伝えすることができました。

わたしの話を聞いたオオタさんは、こう言いました。

「実はね、沖縄には1回、行ったことがあるんだけど、ずいぶんと昔のことだから、エンジェル島のこととか、父親の出身地のこととかを考える余裕がなかったのです。なにしろツアーの旅行だったので。でも、今回は絶対に沖縄に行きたいですね。少年兵だった人々とも出会いたいし、それに父親の出身地にも行ってみたい。」

オオタさんは、Tさんからいただいた本を片手に、沖縄訪問への強い意志をみせていました。わたし自身も、1日も早く、オオタさんが沖縄を訪問できるようにしたいと思っていました。

ところが、その数日後、オオタさんは膝の手術をすることになりました。さらには、手術後のリハビリに多くの時間を要したことから、オオタさんの沖縄訪問が、いつになるのか、わからなくなってしまいました。わたし自身は、今回、オオタさんや沖縄の皆様に出会えたことをきっかけに、日本でのJAリビングレガシーの活動をさらに活発なものにしたいと考えていたため、これは大変ショッキングなことでした。また、オオタさん自身にとっても、念願の沖縄訪問がいつになるのかわからなくなってしまったことは、大変残念なことであったと思います。

わたしは、たびたびオオタさんに電話をして、リハビリの様子をうかがうようにしました。しかしながら、沖縄訪問の予定のめどはなかなかたたず、月日が経つうちに、このことが忘れられてしまうのではないかとわたしはとても心配しています。

最後に

沖縄の人々からの話を聞いて、わたしが考えたことは、沖縄戦とは、日本人の経験した沖縄戦、さらには、沖縄の人々の経験した沖縄戦がある一方で、沖縄につながりをもつ日系人の「沖縄戦」というものがあることです。沖縄につながりをもつ日系人にとって、「沖縄戦」とは非常に心の痛む歴史であることを、わたしは今回のインタビューをとおして理解することができました。

残念ながら、未だにオオタさんと元少年兵の再開は実現していません。しかしながら、ここ数ヶ月のあいだ、何かが変わろうとしています。

先日のことですが、アメリカのあるマスコミが、わたしのボスの上村さんにコンタクトをとったとのことです。そのきっかけは、上村さんが羅府新報の駒井さん(Michael Komai)と一緒に出版した「Proud to Serve」であると思います。そこには、エンジェル島の日本人捕虜たちの記事が掲載されています。それを見た国立公園局のスタッフが、戦時下のエンジェル島の歴史について調査をしたいとの連絡が上村さんのところにありました。

戦争が終わってから約60年の月日が経った今、オオタさんたちの戦争体験が多くの人々に知られるものになればいいと思います。

© 2013 Takamichi Go

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About the Author

Na Orange Coast University, na California State University Fullerton e na Yokohama City University, ele estudou a história da sociedade americana e da sociedade asiático-oceânica americana, incluindo a história da sociedade nipo-americana. Atualmente, embora afiliado a diversas sociedades acadêmicas, ele continua a pesquisar de forma independente a história da comunidade Nikkei, especialmente para “conectar” a comunidade Nikkei e a sociedade japonesa. Além disso, a partir da posição única do povo japonês com ligações a países estrangeiros, estou a expressar activamente as minhas opiniões sobre a coexistência multicultural na sociedade japonesa, ao mesmo tempo que soo o alarme sobre as tendências introspectivas e até xenófobas na actual sociedade japonesa.

(Atualizado em dezembro de 2016)

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