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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

「移民になったデカセギ日系人-未来への展望」〜生活相談員セミナーのパネル・ディスカッションに参加して〜

今年も、公益財団法人海外日系人協会によって「在日日系人のための生活相談員セミナー」が2月に開催され1、全国の行政機関やNPO法人等で外国人相談業務に従事している職員やスタッフがこの研修会に参加した2。厚労省外国人雇用対策課の山本課長が日本の雇用情勢と日系人対策について、同省国際年金課の小澤課長補佐がブラジルとの社会保障協定について、文科省の担当者は定住外国人の子どもの教育について、そして法務省の担当者は7月9日から施行されている新在留管理制度について、各位がプレゼンテーションを行った。

最新の統計や法改正等を一度に把握することができるこのセミナーは、相談員にとても重宝されている。今回は、私も、昨年の参加者の要望もあって、ブラジルの二宮教授3、ジャーナリスト兼大学教授のアンジェロ・イシ4と共にパネルを組む機会に恵まれた。

3名のパネリスト(アンジェロ・イシ教授、アルベルト松本、二宮正人教授)

話された主な内容は資料として配布されたが、私はここで改めて今回のセミナーで話された3つの問題点を取り上げたいと思う。その一つは、子弟の教育問題、二つ目は、移民としての定住と社会統合について、そして三つ目は、日本政府の支援で帰国した日系人の再入国問題である。

1−子弟の教育問題

これまでも何度か指摘したことがあるように、日本で生活している日系人は、南米諸国に移民した日本人移住者の子孫だが、彼らのアイデンティティや母語、考え方等は、その出身地で形成されたものであり、その国の「国民」になるために育んできたものである。その結果、日系人としての血縁関係はあっても、日本では、法的にだけではなく文化的にも外国人なのである。もちろん、中には意識的に「日本人より日本人」という日系人もいるが、日本で生まれ育ったわけではない。

また、「日系人の高学歴」とよく言われるが、一般社会の平均より高いだけで、みんなが大卒ではない。教育の大切さを理解していても、質の高い教育を受けるにはかなりの資金も必要で(日本も同様だが)、多くの日系人世帯はそれに対応できなかったのも事実である。特にデカセギとして来日を決断した時期とそれまでの10年は、どの国も経済情勢が非常に悪く、職も事業もかなり不安定だったことで、子弟の教育にも少なからず影響しているのである。

在日日系人のための生活相談員セミナー、2012.02.14 満席状態であった。

私は、日本の相談員にこうした時代背景や、南米諸国の構造的な問題を説明することが多い5。実際、教育にあまり熱心ではない親御さんたちの行動を見ると、彼らの意識や教育水準が問題になっているだけではなく、それまであまりにも不確定要素の中で生きてきたことで、長期的な視点よりもっと早く結果を出せるものを求める傾向が強いことがわかる(例:中高卒で仕事に就かせ現金収集を得る)。国や地域によっては未だに小学、中学の終了率は50%ぐらいであり(非識字率はかなり改善している)、来履修者やドロップアウトする青少年も多い(日本の高校に相当する中東虚位区の終了率は平均で60%だが、農村や貧困地区ではその半分にも及ばない)。南米諸国は多くの移民を受け入れてきたので、義務教育を憲法にも明確にして徹底しているが、制度上は不備も多く予算もまだ十分とはいえない。

逆に、日本は充実した教育制度を築いたにもかかわらず、外国人移民に対しては義務規定が適用されていない。その結果、一部の集住都市ではブラジル人子弟の何割かが未就学または実態不明状態になっている。彼らが来日してから20年以上も経つというのに、ある統計によると高卒率は50%にも満たない。日本のような社会で、高校も出ていない外国人子弟が今後どのように生きていくのかということを考えると、悲観的にならざるを得ない。こうした制度上の不備は早急に改善しなくてはならない。

2—定住と社会統合

私は「顔は日本人」であっても、アイデンティティも文化も母語も、アルゼンチン人そのものである。小学校低学年から、社会統合の重要性と必要性を何となく意識し、社会統合=同化を自覚していた。この考えは、近年、多文化共生と社会統合の整合性が議論されているが、移民を大量に受け入れたことがない日本ではかなりナンセンスでもある。外国人の数が総人口の2%にも及ばない日本社会で、南米からの日系就労者や、アジアからの定住者にかかわらず、我々外国人が一番先にしなくてはならないのは日本語の習得である。生活や就労に必要な日本語力を身につけ、最低限の意思疎通ができなければ、自分自身の考えや価値観を伝えることもできない。

しかし日本は、未経験ということもあって、かなり早い段階から主要行政に通訳や相談員を配置し、多言語情報サービスを整備してきたが、それに甘んじてしまう外国人は、自立という目的からはかなり遠のいてしまう傾向にある。

多くの識者や行政当局者は、多文化共生というものをかなり勘違いしているように思える。実際、外国人の文化や言語、アイデンティティ等を尊重することと、日本の社会で生きていけるように積極的に日本語を覚えてもらうことを、混合している。日本社会としての責務は後者を優先することであり、前者は移民そのものが維持していくものである。また、はじめから「外国人=弱者」と決めつけている部分もあり、自立を促すより、様々な支援によって問題を先延ばしている気もする。

近年は「外国人の社会統合」という言葉も流行っている。欧州では、同化とまでいかなくとも、外国人にもきちんと義務と権利を確保するため、義務の部分が強調されてきている。多様な能力を活かせる社会を目指すといっても、義務教育も履行していなければその社会での成長は不可能に近い。

私は、同化政策の強いアルゼンチン社会で教育を受けたが、日本語を勉強する機会にも恵まれたし、日本の文化や価値観にも触れる機会は十分にあった。イタリアとスペインの移民出身者が多いとはいえ、クラスメイトには東欧や隣国からの移民の子弟も多数いた。しかし、義務教育をきちんと履行し、大学への進学もなんとか果たせたことで、日本への留学も実現できた。

軸になる教育を受けてはじめて、他の言語や文化とのコミュニケーションが可能になる。日本では日本語が学習言語であるため、外国人にとっても母語になることを前堤に支援しなくてはならない。それが、社会統合の前堤である。

3−日系人の再入国問題

神奈川県西部付近の住宅街、債務処理をせず帰国した日系人もかなりいると指摘されている。

日本政府の支援、即ち公費で帰国した者には、三年間は再入国できないという条件が課せられ、その時点で永住権を含む在留資格も無効になった6。日本に戻りたい人は、本国でビザを新たに申請することになるが、当初からこの制度を「手切れ金」と指摘された。仮に日本へ戻れたとしても、今回の入管法改正や在留カード制度(2012年7月9日施行)は、以前の在留期間中の住民税や国民健康保険料の滞納状況が把握されるようになっており、日本で新住所を定めた途端に大量の請求書が届くことも推測できる。こうした債務は、裁判所による自己破産宣告でも消滅しないのが特徴的である7

2009年頃の外国人集住都市会議だったと思うが、首長の一部が政府による日系人たちに対する帰国支援に理解を示しながらも、滞納・未納になっている自治体への債務をいくらかでも天引きしてから航空券を発行すべきだと訴えていたのを記憶している。それだけ、一部の自治体では帰国した日系人の滞納額が相当大きな金額になっていたのである。不況や失業は確かに家計を直撃し、不安定雇用の世帯にとって健康保険料や市民税は大きな負担になる。しかし、こうした医療制度によってみんなに標準的なサービスが保障され、南米では何万ドルもする手術を数十万円でできるのである(高額医療費等を請求すれば)。

帰国支援を受けたのは基本的に日系人のみであり、現在再入国を求めている日系人は、当時抱えていた債務を帳消しにするわけにはいかないと言える。日本に残った74%のブラジル人(2011年末230,552人)と、89%のペルー人(52,842人、これは2008年末との比較データ)は、納税義務等を履行しながら頑張っており、公平性の観点から帰国した者への過剰な配慮は歪んだ支援策として捉えられてしまう。

スペインでも、ここ1〜2年の間高い失業率(24%)に耐えかねて、多くの外国人が住宅ローンを放置して帰国している8。個人の自己破産制度はないため、物件を売り払って債務処理を試みるが、買い手が見つかっても殆どの場合ローンの残高を完全に清算することはできず、銀行も残りの債務に対しては連帯保証人にローンを請求している9

社会統合には様々な義務の履行が欠かせない。しかし、問題が発生する度に特別な配慮をしていれば外国人という集団の中でも不公平感が生まれてしまう。外国籍移民にとって社会統合が先で、多文化共生はその結果である。支援の優先順位とその中身を改めて考える必要がある。

セミナーに対する評価の記事、Nikkei Network Nº12, 2012.03

注釈:

1. 今年、法益法人制度改革によって、公益財団法人という法人格になった。
http://www.jadesas.or.jp/consulta/h23seminar.html

2. 毎年2月頃に名古屋と横浜で開催されるが、今年は横浜のみとなった。100名ぐらいの参加者で、一日フルの研修である。

3. サンパウロ大学法学部教授及び東大の客員教授、そしてCIATE国外就労者情報援護センター理事長でもあり、在日ブラジル人に関してはもっとも著名な有識者である。
http://www.ciate.org.br/

4. 武蔵大学メディア社会学科教授(エスニックメディア等について専攻)で、在日ブラジル人コミュニティの各メディアで情報発信しており、重要なレフェレンスである。

5. 「南米の教育情勢と在日日系ラティーノの教育課題」Discover Nikkei, 2010.09
http://www.discovernikkei.org/ja/journal/2010/9/30/nikkei-latino/

6. 日系人の帰国支援事業による帰国を考察 2010.06
http://www.discovernikkei.org/ja/journal/2010/6/16/nikkei-latino/
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin15/kikoku_shien.html
実際、21,675人が帰国し、92.5%(20.053人)がブラジル国籍である。1年以内に再入国しないと、「再入国許可」という手続をしていても、いかなる在留資格も効力を失う。

7. 住宅や車ローンは、その裁判手続で消滅するが、何の手続もせず帰国してしまった日系人も多数いるため、日本に戻った場合かなりの延滞金が加算されて請求される可能性がある。

8. Cuando la hipoteca de obliga a retornar a tu país de origen, SOITU.ES Actualidad, Abril de 2009 
http://www.soitu.es/soitu/2009/04/21/actualidad/1240305111_735214.html

9. ほとんどの場合、親戚や友人が名義貸しのように保証人になっているため、実際は財力は乏しく、対応できないのが現状である。しかし、このことによって人間関係が複雑になり、親族間での争いも増えているという。一部の銀行または住宅金融公社は、本国にある資産差押えを検討している。

© 2012 Alberto J. Matsumoto

dekasegi nikkei in japan

Sobre esta série

日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。