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来日就学生物語 ~マイグレーション研究会メンバーによる移民研究~

第8回(後編) 朝鮮人学生の留学と就業―立命館大学の場合―

>>前編

4 朝鮮籍学生の修学と進路

前掲の『全立命館學友會名簿』を利用して、1943(昭和18)年における卒業後の居住地と就業について説明してみよう。まずは、再び回想から考えてみよう(太字は筆者)。

「あの当時に大学に学んでいる人というのはですね、むこうから、本国(朝鮮)から来るんですよ。そして、卒業したら帰っちゃうんです。ほとんどがそうで、ごく少数の人たちがここに残るわけ

これまでは、1930年代の朝鮮籍学生をとりまく知識の還流、もしくは回流をめぐって検討されてきた。ただし、その空間的スケールは看過され、日本では都道府県レベル、朝鮮では道レベルでの分析に留まっていた。これを朝鮮では里、日本では村という集落レベル、そして大学においても専攻課程までの考察のようなミクロレベルまでのアプローチをすると、新たな知見が得られるに違いない。その場合、キリスト教や仏教などのように宗教を介した研究が多かったなか、非宗教の視点からいかなる知識が朝鮮、台湾や満州などの日本「外地」へ還流・回流されたのかを考えねばならない。

とはいうものの、資料では京都市左京区の22名を最多に、下京区に20名、上京区には18名の卒業生が確認できる。隣接する大阪府でも10人、兵庫県では3名、その他では東京都・3名、滋賀県と福岡県の各1名が数えられる。このように、立命館大学で学んだ朝鮮籍学生のうち、日本で留まる場合には、引き続いて大学周辺の京都市に居住していたようである。しかしながら、京都市内に居住した彼らのうち、わずか7名しか就業していないのである。卒業後の勤務先を母校へ連絡していないこともあろうが、未就業であった可能性も高いのである。つまり、彼らは大志を抱いて立命館大学で学んだものの、夢なかばの卒業生であった。それは、朝鮮へ戻った卒業生にもみられた。先述したように、早稲田大学と比べて、立命館大学での朝鮮籍学生は朝鮮半島南部の出身者が多かった。しかし、卒業後の彼らは釜山や京城などの都市部に居住することは少なかった。そして、朝鮮全域をみても就業率は必ずしも高くなかったのである。

立命館大学を卒業した後、日本もしくは朝鮮で、どのような職業についていたのか具体的にみよう。日本については、大阪市役所土木課、おそらく京都市社会課、さらには神戸駐在ブラジル総領事館などの行政機関への就職が確認できる。ただし、国籍の関係からこれは少数に留まり、過半数は民間企業、とりわけ製造業に従事している。それに対し、母国の朝鮮に戻っては労務課、国勢調査課、社会教育課や図書館をはじめとする朝鮮総督府での就業が興味深い。また、朝鮮平壌放送局、朝鮮放送協会や東亜日報など、大手マスコミでの活躍も特筆される。つまり、帰国後では、公共関係機関への就職が顕著といえよう。

なお、立命館大学の台湾籍学生についても同様に分析すると、朝鮮籍とは大きく異なる。概説すると、朝鮮籍学生の就業率はやや低く、台湾籍はそれに比べて高い。朝鮮籍学生の場合、就業地については日本と朝鮮との就業はほぼ同数であるが、台湾籍学生は母国へ帰るケースが顕著である。就業種については、朝鮮籍の場合には日本では製造業、朝鮮では公務員が多い。それに対し、台湾籍の場合、そのほとんどが日本に留まらず、帰国後に公務員や自営業、特に医者になる卒業生が多いのである。

5.おわりに―知の還流・回流をめぐる再考―

これまでは、1930年代の朝鮮籍学生をとりまく知識の還流、もしくは回流をめぐって検討されてきた。ただし、その空間的スケールは看過され、日本では都道府県レベル、朝鮮では道レベルでの分析に留まっていた。これを朝鮮では里、日本では村という集落レベル、そして大学においても専攻課程までの考察のようなミクロレベルまでのアプローチをすると、新たな知見が得られるに違いない。その場合、キリスト教や仏教などのように宗教を介した研究が多かったなか、非宗教の視点からいかなる知識が朝鮮、台湾や満州などの日本「外地」へ還流・回流されたのかを考えねばならない。

© 2011 Norifumi Kawahara

korean in Japan ritsumeikan university student

Sobre esta série

関西居住の学徒が移民・移住に関わる諸問題を互いに協力しあって調査・研究しようとの目的で。2005年に結成された「マイグレーション研究会」。研究会メンバー有志による、「1930年代における来日留学生の体験:北米および東アジア出身留学生の比較から」をテーマとする共同研究の一端を、全9回にわたり紹介するコラムです。