Descubra Nikkei

https://www.discovernikkei.org/pt/journal/2010/11/25/izakaya-shin/

「愛される沖縄料理の店目指す」 沖縄居酒屋SHINの新オーナー、木村奈央さん

ロサンゼルス郊外のトーランス、日系人や日本人が多く暮らすこの町に、沖縄料理と泡盛を出すSHINがオープンして3年以上が経つ。それまでは、沖縄県系の人々の人口がハワイに次いで多いカリフォルニアで、なぜか沖縄料理のレストランが繁盛した前例がなかった。

SHINも滑り出し自体は好調だったものの、その後、多少高めの料金設定などで客足が遠のいていった。その結果、2010年3月には新しいオーナーに買い取られて、マネージメントが一新された。

「一人で訪れるカウンターのお客様との交流も楽しい」と話す,SHINオーナーの木村さん。

現在、ディナータイムに自らフロアに出て接客しているのが、新オーナーの木村奈央さんである。年齢は32歳。日本からアメリカに渡った木村さんは、貿易関係の仕事に従事した後(現在も貿易の仕事は継続中)、渡米8年目にして念願の「レストラン経営」の夢を果たした。

「ずっとレストランをやってみたいと思っていました。このSHINは、以前は客として足を運んでいたこともあり、当時から、沖縄にいるような気分が味わえる店内の雰囲気が気に入っていました」

店内を見渡すまでもなく、壁には手書きの「うちなーぐち(沖縄の言葉)」や島々の地図がディスプレイされ、沖縄らしさが表現されている。

実は木村さんは富山県出身で沖縄の人ではない。それでも「以前に何度か訪ねたことがあります。全体的に平和でのんびりした、日本なのに日本とは違う空気感があって、私にとっては和める場所です」と語る。

SHINを再開するにあたっては、沖縄料理以外の店にすることも可能だった。しかし、木村さんは従来のコンセプトを残したまま、料金をリーズナブルに設定し、また沖縄出身のシェフを雇って、「沖縄居酒屋」としてのSHINを継続させた。

それは「沖縄料理はやはり店として成功しない」という、これまでのジンクスへの、木村さんなりの挑戦だったのかもしれない。

自分自身、レストラン業が初めてだということもあり、人任せにはせず、木村さんは前述のように自ら店に出て働いている。

「お客様が何を望んでいるかということを、身近に感じてそれを出来るだけ実行に移して、愛される店作りに生かしたいと考えています。こんな料理は出せないか、とか、この料理の味をもう少しこのように変えられないかといった、ご意見やご要望を聞かせていただきたいのです」

では、客層はどのような人たちが中心なのだろうか。「アメリカ人のお客様には、以前、沖縄に駐屯していたという軍関係の方がいらっしゃいます。この店に来ることで、沖縄を懐かしく思っていただけるようです。また、中国系のお客様もいらっしゃいますね。沖縄料理は中国料理に通じるところがあるのだと思います。そして、お客様の多くが沖縄好きな日本本土の出身者のお客様ですね」

残念なのは、現状、沖縄の出身者が客全体に占める割合が高くないこと。木村さんは「沖縄の方にもっと店を訪ねてほしい」と切に願っている。どうやったら沖縄出身者に愛される店、リピートされる店になるかに、新規開店以来心を砕いていると話す。

以前に沖縄出身者に「どうして、ロサンゼルス周辺に沖縄料理の店がないのか」を率直に尋ねたことがある。その時の回答は「ゴーヤチャンプルーにしても、ソーキソバにしてもすべては家庭料理。家庭でそれぞれ作って味わえるのに、わざわざ外で食べる気がしない」というものだった。

しかし、現実には、本場沖縄にはソーキソバの店、ゴーヤチャンプルー定食を食べさせる店が数多くある。それらは観光客専用の店ではない。つまり、うちなーんちゅたちも外に出かけて沖縄料理に舌鼓を打っているのである。

カリフォルニアでも「沖縄料理の店は成功しない」と、諦めるのはまだ早い。そのためには、本土出身である木村さんが沖縄の人々の懐に飛び込んでいくことが必要かもしれない。三線を始める、琉球舞踊を習ってみる、そして沖縄の人々と個人的な交流を始めるのだと、筆者の頭の中では勝手に「SHIN成功に向けての戦略案」が展開し始めた。

しかし、レストラン成功に近道などないのも事実。木村さん自身も強調していたように「愛される店」になることが王道だ。客一人ひとりが「料理も酒も美味しい。この店の雰囲気が好きだ。また来たい。知り合いに薦めたい」と思うことが大切なのだ。

以前に取材した紅花の創始者、故ロッキー青木氏が「一人の顧客の先に数百人、数千人の顧客がいる。一人が悪く言えば数千人の客を失い、一人が良く言えば数千人を獲得できる」と口コミの威力について語っていたことを思い出す。

そして、木村さんは、SHINを「愛される沖縄料理の店」にするため、今日も店に立つ。

* * *

Shin Okinawa Izakaya
1880 W. Carson Street Suite #A
Torrance, California, 90501

© 2010 Keiko Fukuda

Califórnia Japão Los Angeles Nao Kimura Província de Okinawa restaurantes Torrance Estados Unidos da América
About the Author

Keiko Fukuda nasceu na província de Oita, se formou na Universidade Católica Internacional e trabalhou num editorial de revistas informativas em Tókio. Em 1992 imigrou aos EUA e trabalhou como editora chefe numa revista dedicada a comunidade japonesa. Em 2003 decidiu trabalhar como ¨free-lance¨ e, atualmente, escreve artigos para revistas focalizando entrevistas a personalidades.  Publicou junto a outros escritores o “Nihon ni Umarete” (Nascido no Japão) da editora Hankyuu Comunicações. Website: https://angeleno.net 

Atualizado em julho de 2020 

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