Escolha o seu idioma de preferência para tirar o máximo proveito das páginas do nosso Jornal:
English 日本語 Español Português

Fizemos muitas melhoras nas seções do nosso Jornal. Por favor, envie-nos a sua opinião ao escrever para editor@DiscoverNikkei.org!

新年会は日本人街で〜アフター・パーティのお楽しみ

日系コミュニティの取材をする者にとって、1月から3月(!)は「毎週土日に休みなし」と考えておかねばならない。なぜなら、この時期、各都道府県 の県人会、団体、趣味の会などLA日系社会に存在するほぼ全ての組織が、新年会・総会を開くからだ。お呼びがかかれば全てというわけにはいかないが、なる べく会に参加させていただく。先日も県人会の新年会に出席したばかり。ダウンタウンから車で10分、LA東部にある宴会場で行われた、その会はお国訛りも 飛び出す、楽しいものであった。

そこで、ある会員が話していたことが気にかかっている。

「いつもこういう集まりはリトル東京のニューオータニでやっていたんだけれど…。遠くから来てる人もいるからね。めったに日本人街に来ない人たちは、新年会の後、車を置いたまま、お店をのぞいたり、日系のスーパーマーケットに行くのが楽しみだったんだ」

サンフェルナンドバレーの奥やオレンジ郡のずっと南から、車で2時間かけて、この新年会にやってくる人もいる。家の周りにはもちろん日系マーケット などないから、県人会の集まりで日本人街にやってくるのは、日本の食べ物や本・雑誌、化粧品などを買い物する絶好の機会なのだという。

そんな日本人街・リトル東京でのお楽しみも、昨年11月「ニューオータニ・ホテル&ガーデン」が撤退で大きく事情は変わった。リトル東京で30年間 ランドマークの役割を果たしていた「ニューオータニ」から、ホテルは米資本の「キョウト・グランド・ホテル&ガーデンズ」に変わった。今年、「キョウト・ グランド」を会場に選んだ日系団体はどのくらいあっただろう、急減であることは間違いない。数年前から、「ニューオータニ」の“日系社会離れ”は感じてい たが、今回“ニューオータニ”の冠がなくなったことで、日系社会からも物理的に、そして心理的に距離を置くことに抵抗がなくなったようだ。(ニューオータ ニ自体は、数年前からアメリカ人客を主なターゲットにしている。リトル東京周辺には市庁舎やロス市警など公的機関も多く、他人種でにぎわっているのだか ら、無理もないことだ。)

「来年からトーランスも(会場候補に)考えないとね」。収容人数の問題で、他のリトル東京の会場も厳しいとなれば、今やLA地域一番の日系ショッ プ・マーケットの中心地であるトーランス(LA南部)が浮上してくる。たとえ距離が遠くなっても、「遠方組のお楽しみを取り上げないで」とは切実な願いな のである。

実際のところ“遠方組”の日本人街訪問は、どんどん大変になっている。「ニューオータニ」が撤退したリトル東京では、日系の店が一つ潰れ、二つ潰 れ、その後に入るのはほぼ間違いなく他のアジア系、特に韓国系のオーナーたち。いくら日系人の街だからと言って、オーナーを日系に限定するのは難しいし、 それが正しいことだとも思えない。高騰する一方のリトル東京の賃料が新しい日系ビジネスオーナーたちに二の足を踏ませているのだろう。

このごろは、トーランスエリアにも韓国系の台頭は目覚しい。日系の街は何やら追いやられている感じだが、少なくとも最近のリトル東京の勢いを見てい ると、他のアジア系が日系人の街に参入してくるのもよく分かる。チャイナタウンやコリアタウンは、文字通り、その国の人々のための街だ。他のアジア系は見 かけても、他人種と言えばヒスパニック系くらいか。一方のリトル東京。LAダウンタウンのすぐ隣という好ロケーション、日系人が守ってきた治安の良さも手 伝い、多人種がミックスされた理想的な街になった。平日はスーツを着たビジネスマンたちが行きかい、週末ともなれば10代らしき白人のグループもよく見か ける。ここに魅力があるのは確かなのだろう。

日本人はリトル東京を“寂れて古臭い街”と敬遠する。アメリカに来た当初の私も、全く同意見だった。けれど新年会で出会った“遠方組”のように、ア メリカの社会に根を下ろし、年に2、3回しか日本人街に行かない(行けない)日系人にとっては、それでも有り難い場所なのである。彼ら彼女たち“遠方組” のために、来年は日本人街で新年会が実現すると良いのだが…。

© 2008 Yumiko Hashimoto