シアトル・宇和島屋物語 ~ The Uwajimaya Story
アメリカ・ワシントン州シアトルを拠点に店舗を展開、いまや知らない人はいない食品スーパーマーケットの「Uwajimaya(宇和島屋)」。1928(昭和3)年に家族経営の小さな店としてはじまり2018年には創業90周年を迎える。かつてあった多くの日系の商店が時代とともに姿を消してきたなかで、モリグチ・ファミリーの結束によって継続、発展してきたその歴史と秘訣を探る。
このシリーズのストーリー
第3回 さまざまな日系のスーパー
2018年1月12日 • 川井 龍介
シアトルを中心に店舗を構えるUwajimaya(宇和島屋)は、北西太平洋岸ではもっとも大きな、日本食をはじめとしたアジア系の食料品を扱うチェーン店である。現在シアトル市内のほか、シアトル郊外のベルビュー(Bellevue)、同じくレントン(Renton)、そして隣のオレゴン州ポートランド郊外のビーバートン(Beaverton)にも店舗を広げている。 同じように日系のスーパーでチェーン展開している企業はほかにもいくつかある。どれもカリフォルニアを拠点としていて、食料品から生…
第2回 “日本”が味わえる
2017年12月22日 • 川井 龍介
シアトルで暮らす日本人、日系人なら「Uwajimaya(宇和島屋)」の名前を知らない人はいない。日系でなくても、さまざまな人種が生活するシアトルのアメリカ人でも、その知名度は高い。 1970年代からアメリカでは、ヘルシーブームで豆腐(トーフ)が好まれ、同時に寿司をはじめ日本食に対する関心は徐々に高まっていった。これに伴いお米やしょうゆなど基本的なものは多くのスーパーで扱われている。 しかし、まだまだ品ぞろえとなると日本の食品を軸にしている店に行くしかない。シアトルでは、…
第1回 日本人のオアシスとして
2017年12月8日 • 川井 龍介
「ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく」 石川啄木の有名なこの歌は、1908年東京へ出てきた啄木が、懐かしいふるさとの言葉を聴きに、東北から人びとが集まってくる上野駅へ足を運んだという、寂しい気持ちをあらわしている。 これをもじって、1980年代のニューヨークでは、在留日本人のなかで「ふるさとの 訛り懐かし エンパイアステートビル」とよく言われていたとかつてきいたことがある。当時のニューヨーク観光のシンボルでもあるエンパイアステートビル…