日系カナダ人の十代の送還:タケシ(タック)・マツバの生涯
このシリーズは、和歌山県からの移民で、バンクーバー生まれの日系カナダ人二世マツバ・タケシ(通称:タク)のライフヒストリーです。彼の幼少期から10代にかけての第二次世界大戦が始まるまでの思い出や、後に一家が強制退去を強いられ、自宅や家業とすべての財産を奪われ、レモンクリーク収容所に抑留されたこと、そして終戦時に日本へ送還されたことなどが述べられています。
戦後の日本での生活についても記述されています。特にアメリカ占領軍に従事したことや、その後さまざまな民間企業での経歴などが描かれています。また、「日系カナダ人送還者協会の関西支部」の設立に参加し指揮を務めていたことや、引退後の生活についても触れています。送還者に関するデータ収集の過程において、タクにはユーモアのセンスがあり、彼の話し方には人の心に訴えるものがあったので、本来の良さを伝えるために、話の多くはタク自身の言葉で語られています。
2020年5月11日、タク・マツバ逝去
* このシリーズは、2020年3月に甲南大学言語文化研究所誌『言語と文化』に掲載された「A Japanese Canadian Teenage Exile: The Life History of Takeshi (Tak) Matsuba(日系カナダ人の十代の送還:タケシ(タック)・マツバの生涯)」と題する論文の要約版です。
このシリーズのストーリー
パート 1: 第二次世界大戦前のバンクーバーでの生活
2020年3月9日 • スタン・カーク
出生と家族 タケシ(タック)・マツバは1926年12月5日、バンクーバーで、カメジロウ・マツバとジヨ・マツバの元に生まれました。彼が生まれた正確な場所は不明ですが、助産師の助けを借りた自宅での出産であったと彼は考えています。長男として、彼には、マスミ(マリエ)とミキヨ(ミキ)という二人の妹、そして、ノボル(ギャビー)とタクミという二人の弟がいました。レモン・クリークの収容所で生まれたタクミを除いて、全員がバンクーバーで生まれました。タケシと同様に、タクミのニックネームもタ…