ディスカバー・ニッケイ

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南米の日系人、日本のラティーノ日系人


2007年12月14日 - 2022年2月14日

日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。



このシリーズのストーリー

ラテンアメリカの経済成長と日系社会

2011年11月7日 • アルベルト・松本

2011年の7月末から9月の頭まで、約40日間にわたってペルー(リマ)、アルゼンチン(ブエノスアイレス、ラプラタ、ロサリオ)、ブラジル北部(ベレン、マナオス)、そしてメキシコ(カンクン)を訪問した。アルゼンチンへの里帰りも兼ねてだが、ほぼすべての国において日系社会と関係した行事や会合に参加してきた。と、当時に今大きく変動し注目を浴びている訪問先の社会や政治についても興味深く可能な限り観察した。いずれにしても、どの国の日系社会も活気がある部分とそうでない側面がみられた。 …

メキシコのカルロス春日という人物

2011年6月2日 • アルベルト・松本

アメリカ大陸の日系社会でメキシコのカルロス春日氏を知らない人はあまりいない。しかし、そもそもメキシコに日本人移民がどれくらいいるのか、何をしているのか、どのような存在なのかということは、一般にはあまり知られていない。 「アメリカ大陸日系人百科事典」 によれば、メキシコにおける日本人移民は、1897年、南部のチアパスに入植した「榎本植民地」が始まりである。この榎本は明治政府の元外務大臣であるが、その前は幕府側の重鎮として、あの新撰組の土方歳三と戊辰戦争で戦い、函館の五稜郭で…

51回目の海外日系人大会と分科会の議論 -その2

2011年3月22日 • アルベルト・松本

>>その1文科省大臣官房国際課の阿蘇室長からは2010年3月に決定された「定住外国人の子どもの就学緊急支援事業1」等について詳細な説明があった。外国人子弟が義務教育の対象になっていないものの、特にブラジル人集住都市の行政は様々な試みを講じており、日本の学校への受け入れ対策やそれをサポートする仕組みの拡充が展開されている。特に経済危機の影響で、かなりのブラジル人学校が閉校、または経営難で運営の継続が難しくなっているため、国としても未就学対策や公立学校での日本語学習サポートを重…

51回目の海外日系人大会と分科会の議論 -その1

2011年3月15日 • アルベルト・松本

毎年10月に開催されている海外日系人大会は、昨年第51回目を迎え、テーマ毎の分科会方式で会議が進められた1。近年は欧州等からの参加者も多く、従来の移民というより新一世と言われる国際結婚の配偶者や元駐在員の長期滞在者とその子弟の課題、在日日系人と留学生というユース・グループの存在が目立つようになった。 筆者は、分科会「在日日系人」の運営・進行を担い、これには、自治体の外国人支援対策の職員や相談員、NGO団体の代表者、そして南米日系社会の団体の長らも出席し、厚生労働省外国人雇…

南米の日系人、日本のラティーノ日系人
日本の日系ラティーノに対する支援策を検証~「弱者」と決めつける危険性

2011年3月8日 • アルベルト・松本

2010年8月末日本政府は内閣府を通じて「日系定住外国人施策に関する基本方針」を発表した1。日系定住外国人の集住する自治体による、国に対しての「外国人が日本社会に適応して生活していくために必要になる施策について、国としての体系的・総合的な方針を策定してほしい」という要望にもとづいたものだという。これは、80年代末以降南米から出稼ぎに来た日系就労者に特化した支援策であり、1)社会の一員として生活できるため、2)子供を大切に育てていくため、3)安定して働くため、4)社会の中で困…

南米の日系人、日本のラティーノ日系人
南米の社会情勢・家庭事情と日本の日系ラティーノ

2010年10月13日 • アルベルト・松本

前号では、南米の教育事情を紹介するとともに、それが少なからず日本の日系ラティーノにも反映していると指摘したが、本稿では南米の社会情勢と家庭の事情が日本在住の家族構成にも多少影響していることについて考えたい。特に移民の家庭となると一般論ではあるが、親が別々に居住していることや、一緒に住んでいても社会に適応できないこと等が子弟の教育や夫婦関係に影響し、子供の学校中退や、親の離婚を招いたりする。560万人の外国人移民(227万人がEU域内出身で、337万人が域外出身)が住んでいる…

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このシリーズの執筆者

アルゼンチン日系二世。1990年、国費留学生として来日。横浜国大で法律の修士号取得。97年に渉外法務翻訳を専門にする会社を設立。横浜や東京地裁・家裁の元法廷通訳員、NHKの放送通訳でもある。JICA日系研修員のオリエンテーション講師(日本人の移民史、日本の教育制度を担当)。静岡県立大学でスペイン語講師、獨協大学法学部で「ラ米経済社会と法」の講師。外国人相談員の多文化共生講座等の講師。「所得税」と「在留資格と帰化」に対する本をスペイン語で出版。日本語では「アルゼンチンを知るための54章」(明石書店)、「30日で話せるスペイン語会話」(ナツメ社)等を出版。2017年10月JICA理事長による「国際協力感謝賞」を受賞。2018年は、外務省中南米局のラ米日系社会実相調査の分析報告書作成を担当した。http://www.ideamatsu.com 


(2020年4月 更新)