『鉄柵』 発展途上の帰米二世の文学 -その3/6
>>その2
3.『鉄柵』の内容
他の収容所の出版物と比べると、『鉄柵』には小説が多く掲載されている。その小説は圧倒的に短編だが、3篇の連載長編小説もある。このほかに随筆、評論、詩と短歌・俳句などの短詩型文学が配置されているが、川柳は掲載されていない。編集者はあくまでも「文学」にこだわり、文学的水準の高い作品を望んだ。編集者のひとりはのちに、同じ収容所で発行された『怒濤』との相違点は作品の質の高さだったと筆者に語っている。さまざまな作品が持ち込まれたが、質の低いものは掲載せず、そのために人びとの間で感情的摩擦を生じたことも度々あったらしい。
作品の質を問題にする一方で、日本語学校の生徒の作文も掲載されている。創刊号、第2号、第…