第8回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト
毎年行われているリトル東京歴史協会主催の「イマジン・リトル東京」ショートストーリー・コンテストは、今年で第8回を迎えました。ロサンゼルスのリトル東京への認識を高めるため、新人およびベテラン作家を問わず、リトル東京やそこにいる人々を舞台とした物語を募集しました。このコンテストは成年、青少年、日本語の3部門で構成され、書き手は過去、現在、未来の設定で架空の物語を紡ぎます。2021年5月23日に行われたバーチャル授賞式では、マイケル・パルマを司会とし、を、舞台俳優のグレッグ・ワタナベ、ジュリー・リー、井上英治(敬称略)が、各部門における最優秀賞を受賞した作品を朗読しました。
受賞作品
- 日本語部門 — 最優秀賞: 「リトル東京 -再生の街-」 翔麗
- 成年部門 — 最優秀賞: “If You Can See the Watchtower” ジェイコブ・ラークス [英語のみ]
奨励賞- “The Throw” エミリー・ベック・コグバーン [英語のみ]
- “Race Queen of Little Tokyo” チハル・コーヘン [英語のみ]
- “Little Tokyo, A.C.” ケンドラ・アリモト [英語のみ]
- “Mochi Wishes” ソフィヤ・イチダ・スウィート [英語のみ]
- 青少年部門 — 最優秀賞: “A Walk Down Memory Lane” ケイシー・ムラセ [英語のみ]
奨励賞- “The Creatures of Little Tokyo” エリーセ・チャン [英語のみ]
* その他のイマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテストもご覧ください:
第1回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト (英語のみ)>>
第2回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第3回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第4回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第5回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第6回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第7回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第9回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第10回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
このシリーズのストーリー
リトル東京 ~再生の街~
2021年5月26日 • 翔麗
22世紀、リトルトーキョー。 舞い散る粉雪を見上げ、俺はコートの襟を立て、両手に息を吹きかけた。 一世紀前ならこの街で、こんな雪が降ることはなかったと、いつだったかトキオが俺に教えてくれた。トキオとは交番勤務のAIだ。この街がAIとの共存を決めてから、トキオはずっとこの街の治安を守る為、些細な犯罪にも目を光らせてきたらしい。人間の年齢にしたら、喜寿をとっくに迎えているはずだが、トキオの外見は二十代後半の俺と変わらなかった。 AIに人間の職業を奪われるなどと、騒がれた時…
望楼が見えたら
2021年5月24日 • ジェイコブ・ロウ
これらの通りを急いで通り抜けるのはもったいない。居心地のよい広場や曲がりくねった小道、色とりどりの味覚が詰まった店のショーウィンドウ、迷い込みたくなるような隅っこなど、リトルトーキョーはぶらぶら歩くための場所だ。しかし、もちろん、アパートを出るとなると、急いで出かけるしかない。急いで階下に降りる。狭い空間を誰かと共有しないようにエレベーターは避ける。食料品や日用品を買いに行く場所まで走る。そして急いで戻る。散歩は過ぎ去った時代からの贅沢です。市場から急いで戻り、ひとみとズー…