ディスカバー・ニッケイ

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郷 崇倫

(ごう・たかみち)

@myvisittomanzanar

オレンジコースト大学、カリフォルニア州立大学フラトン校、横浜市立大学にて、アメリカ社会の歴史、日系人社会の歴史を含めるアジア大洋州系アメリカ人社会のを学ぶ。現在はいくつかの学会に所属しつつ、独自に日系人社会の歴史、とりわけ日系人社会と日本社会を「つなぐ」ために研究を継続している。また外国に「つながり」をもつ日本人という特殊な立場から、現在の日本社会における内向き志向、さらには排外主義の風潮に警鐘を鳴らしつつ、日本社会における多文化共生について積極的に意見を発信している。

(2016年12月 更新)  


この執筆者によるストーリー

日系人社会における市民権の問題について:「N・R・A・の米國」を読んで思ったこと

2014年5月5日 • 郷 崇倫

ロサンゼルスで1931年に加州毎日新聞社を立ち上げた藤井整は、1934年11月に「N・R・A・の米國 附在米日本人の産業」を出版しました。1 彼がこの本を出版した主な目的は、世界恐慌のさなかに、アメリカ政府が打ちだしたニュー・ディール政策の詳細や当時の国際関係を、日系人社会に伝えるためでした。 藤井整はこの本の冒頭において、このように記しています。 この拙著を 在米幾十年の尊敬する先輩各位 親愛なる同胞諸氏 および わが親しき友人達 愛する第二世諸君 に捧ぐ この…

意外と知られていない大相撲における日系人の活躍

2014年2月10日 • 郷 崇倫

「巨人、大鵬、卵焼き」 「江川、ピーマン、北の湖」 これらは、昭和時代の日本社会で流行した言葉です。当時、大相撲は野球と並び、大衆の娯楽を代表するものでした。 これらの流行語が一世を風靡してから、数十年が経ちました。悲しいことに、現在の日本社会では、大相撲の人気が低迷しています。貴乃花親方を中心としたグループが抜本的な改革をさけぶ一方で、ここ数年、力士や関係者らによる不祥事がマスコミをさわがせました。そして、2011年の春、本場所の開催が中止となり、代わりに技量審査場所…

日本建築の美しさを世界に―中谷新七と桑港の日本庭園

2014年1月15日 • 郷 崇倫

今から5年ほど前、わたしはロサンゼルス郊外に住む広島県系(廿日市)の日系二世、中谷カツヤさんに会う機会がありました。初めて彼の自宅を訪れたとき、初対面にもかかわらず、みずからの人生経験を詳細に語ってくれたこと、日本の親族のことを紹介してくれたことをよく覚えています。 今回は中谷家のエピソードのひとつとして、桑港(サンフランシスコ)の日本庭園について紹介します。 桑港の日本庭園には、茶屋、鐘楼(しょうろう)の門、鳥居、太鼓橋があります。実はこれらの建築物は、中谷さんの…

日系人社会における「分裂」について

2013年12月4日 • 郷 崇倫

今回は、誰もが言及したくない話題について、あえて言及したいと思います。その目的は、読者にたいして特定の考え方を押しつけるためではなく、現在進行形で発生している問題の「核心」について一緒に考えてみたいからです。 今年7月、南加のグレンデール市(Glendale)の公園に、韓国系、アルメニア系の働きかけのもと、「慰安婦の少女像」が設けられました。建立の式典には、公民権と戦時補償のための日系人組織(Nikkei for Civil Rights and Redress)から代表の…

アジア系アメリカ人研究―その誕生から現在まで

2013年11月13日 • 郷 崇倫

2009年5月26日、長年にわたって多発性硬化症と闘ってきたロナルド・タカキ先生が、自らの命を絶ちました。彼がおよそ四半世紀にわたって闘病生活をしていたことはすでに人々の知るところではありましたが、突然の訃報に、多くの人々が驚かされました。 タカキ先生は、アメリカ社会におけるアジアや大洋州につながりをもつ人々ついて研究する学問、アジア系アメリカ人研究(Asian American Studies)の発展・確立に貢献した人物のひとりです。そして、彼の発表した&ldquo…

「消えた」総領事館

2013年10月16日 • 郷 崇倫

現在、羅府の日本総領事館は、小東京から数マイル離れたバンカー・ヒル地区のカリフォルニア・プラザという高層ビルのなかにありますが、かつては小東京のサン・ペドロ街と1番街の交差点にある、鹿島ビルの14階と15階にありました。鹿島ビルは1967年に日本の建設会社によってつくられたビルで、戦後の小東京を象徴する存在のひとつといってもよいでしょう。 今回は、小東京にあった総領事館がバンカー・ヒル地区に移転した経緯を紹介したいと思います。 日本政府が羅府の総領事館の移転を発表し…

ヘイトスピーチ・ヘイトクライムを許すな!―9.11同時多発テロ事件後の日系人コミュニティ

2013年9月23日 • 郷 崇倫

第2次世界大戦前のアメリカ社会における反日感情と、それにともなう日系人にたいする大小さまざまな差別的待遇については、すでに周知のことだと思います。全米日系人博物館やマンザナー国定史跡資料館などでは、当時の反日感情や日系人差別のすさまじさを物語るいくつかの資料を目にすることができます。 このような反日感情は、日米戦争による日系人の強制収容の原因となりました。戦時中みずからの人権や尊厳を著しく傷つけられた日系人は、戦後のリドレス活動をとおして、謝罪と補償というかたちで…

目玉先生、ニッポンを語る

2013年9月13日 • 郷 崇倫

今年の春、日本の高等学校で英語を教えていた若き日系人教師、ノーマン・ミキ・デザキ先生が、英語によるディスカッション授業のテーマのひとつとして、日本社会における差別問題を取り上げました。このときの授業内容をまとめた動画をインターネットに投稿したところ、「ネット右翼」とよばれるネット上で侮辱的な表現を用いて右翼的・保守的な発言・活動をする日本人から激しいバッシングにあったという出来事がありました。 デザキ先生は両親が新一世の日系二世で、フロリダ州で生まれ育ちました。アメリカで…

「リトル・トーキョー・リポーター」封切後のアジア大洋州系コミュニティの反応と今後の展望 

2013年7月30日 • 郷 崇倫

高まる関心: 映画祭における数々の受賞 先日、わたしが「リトル・トーキョー・リポーター」のエグセクティブ・プロデューサーの藤田さんと電話で話をしたとき、彼女の映画が映画祭で高く評価されたと、とてもうれしそうに話してくれました。 第8回オレゴン州ディスオリエント・アジア系アメリカ人映画祭での「短編映画賞(Best Short Narrative)」 をかわぎりに、その後の映画祭で「短編映画賞(Best Narrative Short)」、「優秀作品賞(Outstandi…

あのときの少年たちはいずこへ ― 沖縄県系日系二世ピーター・オオタさんと沖縄の少年兵たち - その3/3

2013年4月18日 • 郷 崇倫

その2 >> その他の元鉄血勤皇隊の方々の今沖縄タイムスの本社において安里記者、安里さんらにインタビューをしたのち、わたしたちは琉球新報の本社を訪問して、内間記者とジャーナリストの上原正稔さんに会い、取材と写真撮影にのぞみました。その翌日、鉄血勤皇隊を調査するためにわたしが沖縄を訪問していることが朝刊に載りました。その記事を読んだ元鉄血勤皇隊の方々から連絡があり、わたしは彼らからさらに話を聞くことができました。しかし、短い訪問期間中に、彼ら全員とのインタビューの…

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