マリナ・ユカワ
(Marina Yukawa)
1994年、埼玉県生まれ。ブラジル国籍の作家でジャーナリスト。2歳のころからサンパウロ市在住。2017年、サンパウロ大学コミュニケーション芸術学部ジャーナリズム卒業。コースワークの修了リポート「Sorrisos amarelos・黄色い微笑(直訳)」は、2020年にViseu出版社から上梓。フィクッションの分野では短編「Setas que voam de dia・昼間に飛ぶ矢(直訳)」と「Abutre・ハゲワシ(直訳)」がコンテストで選ばれ、Terra Redonda出版社の2021年版の短編集「Isto não é Direito」に掲載。(写真:アルツル・イヴォ)
(2021年10月 更新)
この執筆者によるストーリー
皆が好きになるバチャンの餃子
2021年10月4日 • マリナ・ユカワ
幼少期の鮮明な思い出はたくさんありませんが、あの日のことは、はっきりと覚えています。バチャンはお母さんたちを集めて、今で言う「餃子作りのワークショップ」を行いました。私は何歳だったか覚えていません。バチャンの嫁さん、つまり、母も参加しました。 バチャンの餃子は家族や友人の間で大人気でした。モジ・ダス・クルゼス(サンパウロから1時間の町)の祖父母を訪ねると、食卓にはいつも餃子がありました。私の大好きな世界一の餃子でした。「中身は何かなぁ」と、最初は考え込むのですが、口に入れ…