島崎 貞子・アプルバーム

(しまざき・ていこ あぷるばーむ)

東京都出身。画家・作家。終戦直後、飛行機のテクニカル・イラストレーターとして技術研究所へ勤め、1962年に渡米留学。奨学生としてCORNISH SCHOOL OF ALLIED ARTSを卒業。広告会社のアーティストとして働き、当地で結婚。その後、フランス語とドイツ語教授の夫君の研究に従い、1年間ずつ2回に渡りヨーロッパに滞在。2002年、自らの半生を手紙と記憶で綴った『レターズ』を出版し、日本自分史学会主催の第9回私の物語・自分史大賞で国際賞を受賞。「アメリカと私」が、『文藝春秋』2011年度版ベストエッセイ集に選出。現在は、ワシントン州シアトル在住。

(2012年3月 更新)

 

 

identity ja

アメリカと私

過ぎ去って手の届かない所に行ってしまってから、思い出すことは多すぎる。

私は、戦中から戦後も軍需工場だった飛行機会社で働いていた。戦争も末期、飛行機の材料であるジュラルミンが少なくなり、木製機を設計しているエンジニアの下で図面引きや研究資料の作成で、これらはすぺて陸軍省に提出された。

終戦で飛行機会社が接収され、連合軍総司令部の管轄に置かれた。私は技術部設計課にそのまま残され、日本政府の雇傭になった。仕事は米軍機の修理や内部の改造の製図で、特殊技術者というのが私の正式な職名になった。

アメリカ側からは軍属のエンジニアが、日本側からは戦争中、目本の戦争機を設計した優れたエンジニアが召集されていて、私はその下でまた製図の仕事をする様になった。この航空技術課で、私はテクニカル・イラストレーションの腕をみがいた。極東空軍が引きあげた後は、技術部のエンジニアが設立した技術研究所に席を置き、テクニカル・イラストレーターという ...

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