>>その34.『怒濤』の内容これは機関誌という性格から、青年団の活動報告などが多数掲載されていると考えられるが、そのような記事は少ない。野球が創刊号と第2号に、相撲大会の結果が第2号に、各部の行事は創刊号、第2号、第5号で扱われているが毎号載っているわけではない。スポーツ大会の結果は週一回発行の新聞紙上に掲載されたため、ニュース性の少ない機関誌には載らなかったのであろう。
特徴としては青年たちを啓蒙する記事が多く掲載されている。安芸良「結婚と出産とキャンプ生活」(創刊号)、丸山郁雄「戦時体制下の日本」(創刊号)、「組合への再認識」(第2号)、「戦争への回顧」(第5号)、萩原卓也「国史教育への一考察」(第3号)、土屋天眠「現代の青年のために」(第3号)、くすのせ「戦争と科学」(第4号)、「坂本竜馬」(第4号から第7号で完結、無記名だか藤田晃の作品)、安芸良「キャンプの実数的興味」(第5号)、玉那覇晃洋「人間親鸞」(第6号)、池本覚「シオン議定書」(第7号)などで、いずれも日本人が身につけておくべき教養として掲載されたものである。「坂本竜馬」は所内の映画会で上映されて人気があったため書かれたものであろう。
しかしこれらの啓蒙記事をしのぐ数の随筆、短詩型文学、小説など文学作品が掲載されていて文学誌と見まちがうほどである。藤田・橋本の二人の文学青年は、機関誌の名を借りて、実は文学誌を作り…