根川 幸男
(ねがわ・さちお)
1963年大阪府生まれ。サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部大学院修了。博士(学術)(総合研究大学院大学)。移植民史・海事史・文化研究専攻。ブラジリア大学文学部准教授を経て、現在、国際日本文化研究センター特定研究員。同志社大学、滋賀県立大学などで兼任講師。主要著書:『「海」復刻版』1〜14巻(柏書房、2018、監修・解説)、『ブラジル日系移民の教育史』(みすず書房,2016)、『越境と連動の日系移民教育史——複数文化体験の視座』(ミネルヴァ書房、2016。井上章一との共編著)、Cinquentenario da Presenca Nipo-Brasileira em Brasilia.(FEANBRA、2008、共著)
(2023年1月 更新)
この執筆者によるストーリー
第1回 コンデ界隈-ブラジル最初の日本人街(1)-そのはじまり
2007年3月17日 • 根川 幸男
サンパウロは坂の街である。セントロと呼ばれるダウンタウンを歩き回ってみると、その坂の多さに辟易する。なぜこんな坂の多いところに街をつくったのかと、思わずつぶやきたくなる。 ジョゼ・デ・アンシェタ神父をはじめとする13名のイエズス会士たちが、ピラチニンガの丘に聖パウロを守護聖人とする教化村を創設したのは1554 年の1月25日であった(FAUSTO, 1994, p.93)。丘(坂)の上に村をつくったのは、敵対するインディオたちの襲撃を恐れてのことである。以後、サンパウロは…