向井 正子

(むかい・まさこ)

東京生まれ。1989年シンガポール航空に客室乗務員として入社。退社後、専門学校で学生の就職の為の面接指導や人材派遣会社のマネージャーとして人材育成に携わる。2000年ヴァリグブラジル航空の客室乗務員に転職。2009年、日系アメリカ人と結婚しアメリカへ移住。その後、南加広島県人会会員の義父の影響もあり若い世代による広島県人会の付属団体ヒロケンの会員になる。

(2012年2月 更新)

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私と「県人会」の出会い

「南米旅行はいかがでしたか。長旅ですからお疲れになられたのではありませんか。」

エコノミークラスに、二人仲良く静かに座られているお客様に声をかけた。食事のサービスの時、あれこれいくつも注文をするお客様が多い中、その二人はとても静かに、こちらの勧めるままに食事をお選びになり、飲み物もブラジル国民が大好きなガラナを一杯づつ注文しただけだった。

「いやいや、私達はブラジルに住んでるんです。もう70年になるか。」

私は絶句してしまった。

「ブラジルに。70年ですか。。。」

広島から15歳で移民船に乗ってブラジルに渡ったそのお客様は、南米の暑い太陽の下長年に渡る過酷な労働をしてきたのだろう思わせる褐色に灼けた肌と深い皺、節くれだった太い指、そしてラテンの国に染まった人だけが持つ人なつっこい笑顔が私の記憶にはっきりと残っている。

「そうでしたか。今回は何年ぶりの帰国ですか。」

「70年ぶりです。」

サラリと言われたので、それがどれほどの長い間い年月なのかを感じるのに一瞬考えてしまった。

「え ...

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