幼い頃の私のヒーロは、立派な功績持ち素晴らしい行いをする人でした。しかし、時が経つに連れ、私のヒーロー像は変わり、今では全く違うものとなっています。ペルー日系人協会にある「ピオネーロス(パイオニアという意味)」という日本人移住者データバンク(1899年~1941年)のおかげで、私ははじめて祖父の情報を得ることができ、戸籍謄本を手に入れることができました。そうすることで、今の私の一番のヒーローであるキヨシ・クワハラという人物について少しイメージが浮かぶようになりました。
私は、チリ北部の乾燥地帯イキケという街で生まれ、親だけではなく祖父母のキヨシとマツノにも育てられました。祖父は初婚の妻と死別して10年ぐらい経ってから祖母と再婚しました。祖父には二人息子がおり、祖母には一人娘がいました。幸いにも三人とも仲の良い兄妹として育ちました。祖父母のスペイン語には訛りがありましたが、会話には不自由はしませんでした。
私には、幼少期に祖父母と過ごした記憶がたくさん残っています。例えば、私はあまり普段使われていない部屋を探索することが好きでしたが、それ以上に大きな樽で味噌作りをする祖母を観察するのが好きでした。また、祖父が私を膝の上にのせてバイオリンを弾いてくれることがあり、それがとても心地よかったことをかすかに記憶しています。その影響かどうかわかりませんが、今でもバイオリンによるクラシ…