ディスカバー・ニッケイ

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川井 龍介

(かわい・りゅうすけ)

@ryusukekawai

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)


この執筆者によるストーリー

日系(ニッケイ)—をめぐって
第20回 サンパウロ東洋街—ブラジルの日系

2022年12月23日 • 川井 龍介

日本から見れば地球の裏側に位置する南米の大国、ブラジル。ここには190万人もの日系人が暮らし、世界最大の日系社会を構成している。どこの国からの移民でも数が多くなれば、自然と人々は集まり母国と同じようなコミュニティーが形成され、異国の中の小さな母国社会が誕生する。 母国と似たような店ができたり、街並みが生まれたりする。しかしそれは、似て非なるものである。気候風土が異なり、文化が異なり、社会制度も異なる条件のもとで誕生するのは母国のものをアレンジした、“母国風&r…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第19回 瀬戸内の日本ハワイ移民資料館

2022年12月9日 • 川井 龍介

大小約700もの島が点在する瀬戸内海で、山口県南東部に位置する周防大島(正式には屋代島)は3番目に大きな島だが、ここに日本ハワイ移民資料館(Museum of Japanese Emigration to Hawaii)がある。観光的には「瀬戸内のハワイ」とも呼ばれる島の資料館とはどんなものなのか、なぜここに資料館ができたのか、中国地方への旅の途中で訪ねてみた。 資料館は成功者の家 国道188号から車で大島大橋を渡り島に入り、海岸沿いをしばらくすすんでから内陸に入る…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第18回 世界の沖縄人が集うウチナーンチュ大会

2022年11月11日 • 川井 龍介

沖縄の個性の象徴 沖縄にルーツをもつ世界各地の人たちが、一堂に会した「第7回世界のウチナーンチュ大会」(同実行委員会主催)が、10月30日から11月3日まで那覇市を中心に沖縄各地で開かれ、日本のなかで「世界とつながる沖縄」の独自性が見事に表わされた。 「ウチナーンチュ」とは、沖縄の言葉で「沖縄の人」を意味する。つまり世界に散らばった沖縄県人が、その母国ならぬ母県に集い、沖縄の人と交流を深め、沖縄を軸としたネットワーク=ウチナーネットワークを維持、発展させようというの…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第17回 中国残留孤児、3世はルーツへの困惑

2022年10月28日 • 川井 龍介

日本と中国の国交が結ばれたのが1972年。いわゆる日中国交正常化から今年の9月で50年を迎え、国交正常化によって日本への帰国の扉が開いた「中国残留孤児」についての特集が報道されている。 中国残留孤児については、国による調査や帰国援助、また帰国後の生活支援が長年すすめられてきたが、改めて、中国残留孤児とその家族の歴史を振り返ると、日本と中国との狭間で生きてきた人たちが抱えてきたアイデンティティーの問題が浮かびあがる。そこには、アメリカや南米などの日系人の抱えた問題との類似性…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第16回 移民を運んだ船の物語「船にみる日本人移民史」から

2022年9月23日 • 川井 龍介

今日のように海外への渡航が飛行機によるものだった時代と異なり、かつては、島国である日本から海外へとなれば船便に頼るのが当たり前だった。北米・南米などへ移住する人たちも船で長い時間をかけてようやく異国にたどり着いた。 横浜、神戸から大型の客船に乗り込んだ人は数知れない。こうした移民を乗せた船については、横浜の港に近い日本郵船歴史博物館に行くと、当時の様子などがわかる資料があるが、移民船というテーマにしぼってまとめて紹介された書籍はあまりみあたらない。おそらく、「船にみる…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第15回 一世への挽歌 — 野本一平を読む

2022年9月9日 • 川井 龍介

いつだったか、ロサンゼルスのリトルトーキョーで日本人の経営するジャズバーにふらりとひとりで入ったとき、常連らしき現地の日本人と話す機会があった。長年現地で暮らすその人は、旅の途中の私に現地の日本人のことをあれこれ教えてくれた中で、「いろいろ事情があって、日本にいられなくなりこちらに来た人もいますよ」と、言った。 先日、1990年に出版された野本一平著の「亜米利加日系畸人伝」(彌生書房)を読んでこの人の言葉を思い出した。バーでの話にあがった日本人からはずっと時代を遡るこ…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第14回 エスニックタウン鶴見を歩く

2022年8月26日 • 川井 龍介

沖縄と南米が交差する 沖縄をルーツとする日系ブラジル人など南米に関わりのある日系人のコミュニティーをはじめ、中国系、フィリピン系、ベトナム系など外国籍の人が多い横浜市の鶴見区には、沖縄、南米の薫りをただよわせる店が点在している。行政も、だれもが暮らしやすい多文化共生社会を推進している。 鶴見区は、南は東京湾に面し、沖合に埋立によって整備された大黒ふ頭も同区内に位置する。東は川崎市に接し、川崎市南部とともに沿岸一帯は京浜工業地帯の一画をなし、沿岸部に河口を開く鶴見川が区内…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第13回 「アイデンティティとは『居場所』のこと」、NPO法人ABCジャパン理事長・安富祖美智江さん

2022年8月12日 • 川井 龍介

多文化共生のまち、横浜市鶴見区 今年4月からはじまったNHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」の主要舞台となっている横浜市鶴見区。ドラマにあるように古くから沖縄関係のコミュニティーがあるところとしていまや全国に知られるようになったが、ここには主に沖縄をルーツとする日系ブラジル人など南米に関わりのある日系人のコミュニティーもある。 加えて中国系をはじめフィリピン系、ベトナム系など外国籍の人が多く、区内の人口のおよそ20人に1人が外国籍というユニークな地域だ。区内には沖縄系の…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第12回 ウクライナと日本

2022年7月22日 • 川井 龍介

ウクライナから避難してきたサクスフォン奏者、五十嵐健太さんに聞く 今年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で、多くの人が避難のため他国へと逃れた。遠く離れた日本へも断続的に避難民は到着し、その数は7月18日現在で1565人にのぼる。そのなかに、若きサクスフォン(サックス)奏者の五十嵐健太さんがいる。日本人の父親とウクライナ人の母親との間に生まれた五十嵐さんは、ウクライナの首都キーウで暮らしていたが戦禍を逃れて父の祖国である日本に避難してきた。 ウクライナではキーウ…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第11回 「ジョン万次郎」を英語で出版—カリフォルニア在住の貿易業、尾崎賢助さん

2022年7月8日 • 川井 龍介

高知県出身で、長年アメリカで貿易業などを営んできた尾崎賢助さん(83)=カリフォルニア州在住=がこのほど郷土の偉人、ジョン万次郎の生涯を追った英語の小説「The Destiny of a Castaway JOHN MANJIRO」を自費出版した。中米やアメリカでさまざまなビジネスに挑戦してきた尾崎さんに、出版の動機や反響、映画化構想などについてきいた。 * * * * * Q. なぜジョン万次郎をとり上げようと思ったのですか。 尾崎: 万次郎は、私の出身地高知県…

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