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日比 嘉高

(ひび・よしたか)


名古屋大学大学院文学研究科准教授。近代日本文学・文化、移民文学、出版文化が専門。主要著作:『〈自己表象〉の文学史-自分を書く小説の登場-』翰林書房、2002。「日系アメリカ移民一世の新聞と文学」『日本文学』No.617、2004.11。「北米日系移民と日本書店-サンフランシスコを中心に-」『立命館言語文化研究』20巻1号、2008.9。「移民の想像力-渡米言説と文学テクストのビジョン-」『JunCture』第1号、2010.1。 http://park18.wakwak.com/~hibi/

(2010年6月 更新)


この執筆者によるストーリー

日系アメリカ移民一世の新聞と文学 -その4

2010年7月21日 • 日比 嘉高

>>その3担い手たち文学の担い手たちについても考えておこう。先に移民地の文学空間を占めた作品を三種類に分類したが、これに従えば「書き手」にも三種類が存在したと言えるだろう。(1)日本国内の作家、(2)主として国内で活動したが移民地での生活体験も持つ作家、(3)移民文士たち、である。このうち、移民地の文学空間を創造し、維持していくための主体となったのは(3)の人々である。読者の側を考えたときにも、次の事が言える。(A)まったく文学になど興味をもたなかった層、(B)読むとしても…

日系アメリカ移民一世の新聞と文学 -その3

2010年7月14日 • 日比 嘉高

>>その2小説別頁資料2は『新世界』掲載の小説リストである。まず指摘したいことは、サンフランシスコ大地震直後のしばらくをのぞき、現存する号からうかがうかぎり、紙面にはかならず何らかの小説か講談、あるいは落語が掲載されていたという事実である。しかも、掲載された作品の顔ぶれが興味深い。長短篇入り交じり、リストに記号で分けて表示したとおり、作者も日本国内の作家から北米在住の移民まで多岐にわたっている。 移民地の日本語文学空間を構成したこうした複雑なありさまは、これまでの研究では十…

日系アメリカ移民一世の新聞と文学 -その2

2010年7月7日 • 日比 嘉高

>>その12.移民地の「国内刊行物」さて、こうした言説空間の誕生にともなって、移民地における文学が本格的にスタートするわけだが、その前に以降の展開の前提となる事実を補足しておかねばならない。それは、移民地において流通していた新聞は、実のところ移民地で出されていたものだけではなかったということである。移民ジャーナリズムに関する研究は比較的進んでいるが、この面に関してはこれまで不思議と顧みられていない。資料1をごらんいただきたい。 これは小野五車堂というサンフランシスコの日本…

日系アメリカ移民一世の新聞と文学 -その1

2010年6月30日 • 日比 嘉高

はじめに「文学」が可能になるためには、いったいどのような環境が必要だろうか? その答えは、「文学」という言葉の指す内容いかんによるだろうし、時代にもより、地域によっても変わるはずで、簡単に導き出せる種類のものではないだろう。現実的にはさまざまな角度からのあらゆる答えが可能だろうから、そもそもこうした問いそのものが意味をなさない、というのがあるいは良識的な判断かもしれない。しかし、それでもメディアや出版、読者などこれまでなら必ずしも「文学研究」の範囲内とはみなされなかった領域…

来日就学生物語 ~マイグレーション研究会メンバーによる移民研究~
第7回 望郷のハワイ -中島直人と『ハワイ物語』-

2010年6月18日 • 日比 嘉高

おそらく、中島直人という名前を知っている人はほとんどいないだろう。戦前のハワイ生まれの小説家である。この記事では、ぼほぼ無名だがしかしその経歴を調べ作品を読めば抜群に面白い、このマイナー作家を紹介し、その価値を説いてみたい。 1.中島直人とは誰か まずは経歴から紹介しよう。中島直人は、1904年4月20日、ハワイ、オアフ島ワイパフ(Waipahu)に熊本県からハワイに移民した父母の子として生まれた。いわゆる2世である。パールシティ公立学校へ通う一方、日本語による補習学校ポ…

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