ニッケイ物語#7 — ニッケイ・ルーツ:私たちの文化の足跡をたどる
世界を駆け巡りながら

「折り紙はコミュニケーションと表現の手段であり、世代を超え各国の人々を一つに結び付ける世界共通の言語でもある」
—カネガエ・マリ
トシは紙の鳥に乗ってブラジルに来た。
遠いブラジルのロンドリーナ市で生まれた孫娘のマリが日本を訪ねてきたとき、トシおばあちゃんは言葉ではなく、ほかの方法でこの小さな女の子とコミュニケーションをとった。トシはツルを折ったのだ。トシは、そのとき生まれた絆が、時と海を越えるとは思ってもみなかっただろう。
20年以上経ち、マリは芸術家になったが、おばあちゃんとのエピソードは覚えていなかった。しかし、培ってきた長い折り紙の経験を何かに役立てたいと思うようになった。折り紙を通して人と人をつなぐため、日本で折り紙の技術を極めようと決めた。「ツル」の里帰りだ。
遥々やってきた日本で、折紙界の至宝、河合豊彰と巡り会った。一年間 ...