ディスカバー・ニッケイ

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深沢 正雪

(ふかさわ・まさゆき)

@masayukifukasawa

1965年11月22日、静岡県沼津市生まれ。92年にブラジル初渡航し、邦字紙パウリスタ新聞で研修記者。95年にいったん帰国し、群馬県大泉町でブラジル人と共に工場労働を体験、その知見をまとめたものが99年の潮ノンフィクション賞を受賞、『パラレル・ワールド』(潮出版)として出版。99年から再渡伯。01年からニッケイ新聞に勤務、04年から編集長。2022年からブラジル日報編集長。

(2022年1月 更新)


この執筆者によるストーリー

カーニバルと日本移民 ~異文化がブラジル民俗に~ その1

2015年2月5日 • 深沢 正雪

そもそも「ジャポネース」(日本人)と「サンバ」ほど似合わないものはない――という認識がブラジル人一般にはある。たとえば、著者はサンパウロ市内の複数のサンバチームで10年ほど打楽器を叩いてきたが、楽曲が乱れた時にサンビスタ(サンバ奏者)が「Japonês entrou no samba」(日本人がサンバに入った)と表現するのを聞き、悔しい思いをした。最初はてっきり自分のことかと思ったが、実際はそうではなく、そのうちに「誰かがリズムを乱したときに使うポルトガル語の慣…

数々の悲劇の舞台、監獄島アンシェッタ: 勝ち負け抗争で170人が収監 ・ 水源地に「臣道聯盟の蛇口」

2015年1月19日 • 深沢 正雪

米国カリフォルニア州のアルカトラズ島に連邦刑務所が設けられ、脱出不可能な〝監獄島〟として有名となり、クリント・イーストウッド主演の映画『アルカトラズからの脱出』(1979年、ドン・シーゲル監督)も制作された。そのブラジル版ともいえそうな施設が、サンパウロ州北東海岸部のアンシェッタ島にあり、終戦直後には日本移民がなんと170人も収監されていたという秘められた歴史がある。日本人が居たことを顕彰して2014年初め頃、旧刑務所そばの水源地に「臣道聯盟の蛇口」(Bica Shindo…

「畑打って俳諧国を拓くべし」 ブラジルに広まる俳句文化 ~高浜虚子と移民・佐藤念腹~ その2

2014年12月5日 • 深沢 正雪

 その1を読む >> 勝ち負け抗争で荒れた世情を癒し、大衆に広がる 勝ち負け抗争で日系社会が二分していた真っ最中、終戦後の1948年11月に念腹を主宰者とするホトトギス派の月刊俳誌『木陰』がサンパウロ市で創刊された。 創刊号巻頭には高浜虚子からの激励文が掲載されている。編集後記には《伯国に俳句の種子が蒔かれてから約二十年、俳誌「木陰」発刊が企画されてから七年余、此間に育まれた地方俳句会は四十を数え、其(その)擁(よう)する俳友は五百名を超える盛況…

「畑打って俳諧国を拓くべし」 ブラジルに広まる俳句文化 ~高浜虚子と移民・佐藤念腹~ その1

2014年12月4日 • 深沢 正雪

移民と共に海を渡った俳句ブラジル移民文学を読み解いた『遠くにありてつくるもの』(みすず書房)で2009年に読売文学賞を受賞した細川周平さん(国際日本文化研究センター教授)が当地で講演した際、「欧米の新聞には、市民の投稿作品を掲載する文芸ページは一般的にないと聞きます。日本の新聞は勿論、在外の邦字紙にいたるまで文芸欄が存在する。これは日本人の文化レベルを示している」との話をしたのを聞き、なるほどと唸った。 同著は《郷愁》をキーワードに移民文芸を概観している。例えば「日本へ一…

山本喜誉司とサンパウロ日本館 ー 知られざる芥川龍之介との関係

2014年10月29日 • 深沢 正雪

〝サンパウロのセントラルバーク〟と呼ばれるイビラプエラ公園にある「日本館」は、8月29日に60周年式典を行い、日本から茶道裏千家の千玄室第十五代家元らを迎えて、しめやかに祝った。この建物は桂離宮を模して設計され、柱や瓦はもちろん玉砂利にいたるまで日本から持ってきた〝純和風〟建築としても、世界的に珍しいものだ。  日本文化の持つ「普遍性」を形にした日本館 これを実現したのは、サンパウロ州カンピーナス市に現存する「東山農場」支配人の山本喜誉司(1892―196…

海を越えた“故郷の味” ―移民と共に現地化する郷土食―

2014年9月5日 • 深沢 正雪

本国人が食べない「イタリア風ソーセージ」 「うちのモルタデーラ(ボローニャソーセージ)を本国のイタリア人は食べないんだ」。筋金入りのイタリア系ブラジル人マリオ・ベネデッチ社長(当時56歳、三世)を2010年に取材した時、そう嘆いていたのが強く印象に残った。 なにが「筋金入り」かといえば、三世にもかかわらず家庭内でイタリア語を使い、子供(四世)の代までペラペラで、本国との二重国籍にしていることだ。そのこだわりの理由は、経営するブラジル最大手の精肉加工業「CERATTI」…

明治の重鎮がブラジルに抱いた稲作の夢(桂、レジストロ、セッチ・バーラス3植民地)

2014年8月11日 • 深沢 正雪

一枚の金属板が変えた日本移民の運命サッカーW杯がブラジルで開催された6~7月の間に1万人近い日本人観戦者が訪れた。その中のほぼ誰も足を運んでいないが、明治期の歴史が好きな日本人なら見逃せない重要な場所がある。 サンパウロ市から南西に202キロにあるイグアッペ市立歴史博物館(Museu Municipal de Iguape)だ。まるで古い民家の様なその建物の2階にさりげなく、ある金属板が展示されている。 イタリア統合50周年記念してトリノで1911年に開催された第1…

手塚治虫の絶筆『グリンゴ』 ・ 天才の遺作の謎解きに挑戦 ・ 舞台はブラジル日系社会

2014年7月7日 • 深沢 正雪

『火の鳥』『ブラック・ジャック』などの傑作を次々に発表し、存命中から〝マンガの神様〟と呼ばれていた天才漫画家・手塚治虫(1928―1989年)を知らない日本人はいない。しかし、彼の未完の絶筆『グリンゴ』がブラジル日系社会をモデルにしていたことを知る人は少ない。 この作品に「ブラジル」という言葉は一言も出てこない。にも関わらず、どうして「舞台がブラジル」と分かるのか謎解きをしよう。序章の第1ページ目は《これからはじまる物語は、一切が仮名になっている。もし貴方に興味がおあ…

W杯直前のサッカー大国ブラジルで柔道映画公開

2014年6月3日 • 深沢 正雪

W杯を翌月に控えた5月初旬から、ブラジル全国で柔道映画『A Grande Vitória(偉大な勝利)』(Stefano Capuzzi監督)が公開された。イタリア移民の父に捨てられ、貧しい家庭に育った不良少年が柔道に出会い、人生を切り開いていく感動の物語だ。 5月9日にニッケイ新聞を訪れた原作者マックス・トロンビーニ(Max Trombini、45)は「人生は七転び八起だ」と何度も強調した。原作はポルトガル語著書『Aprendiz de Samurai…

有名ブラジル人法律家の知られざる日系人との絆: イヴェス・ガンドラ・マルチンス

2014年5月12日 • 深沢 正雪

「今でも空手の訓練を毎日続けているよ」。そういいながら有名な法律家イヴェス・ガンドラ・マルチンスさん(79、Ives Gandra da Silva Mrtins)は4月15日、手刀の構えをして「今でも板一枚なら割れる」と言った。日本文化関係にゆかりがある人物としてはまったく知られておらず、驚くような言葉から取材は始まった。 名だたるエリート校のサンパウロ州立総合大学(USP)法学部を卒業後、弁護士としての経歴を重ねながら解放者党(PL)党首も務めるなどの政治活動もし…

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