ディスカバー・ニッケイ

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深沢 正雪

(ふかさわ・まさゆき)

@masayukifukasawa

1965年11月22日、静岡県沼津市生まれ。92年にブラジル初渡航し、邦字紙パウリスタ新聞で研修記者。95年にいったん帰国し、群馬県大泉町でブラジル人と共に工場労働を体験、その知見をまとめたものが99年の潮ノンフィクション賞を受賞、『パラレル・ワールド』(潮出版)として出版。99年から再渡伯。01年からニッケイ新聞に勤務、04年から編集長。2022年からブラジル日報編集長。

(2022年1月 更新)


この執筆者によるストーリー

ブラジルに残る大正デモクラシーの余韻=日系女性アーティスト3人の物語 — その2

2023年9月20日 • 深沢 正雪

その1を読む >> ブラジルの大地を感じて作品を作る 章子さんはサントス港に降り立ったとき、「母親に抱え上げられたように感じた。大地の尊さと言うのかしら、大きなものに抱かれるような感覚が嬉しくて、嬉しくて」とつい最近のことであるかのように思い出す。その〝大地〟の欠片を使って陶芸作品を作ることは、その感覚を形にすることでもあった。 「作品を作るときは、いつも大地の力を感じていた。ブラジルにはそれがある。それを感じて、作品に込めていたの」 コチアに登り窯を建設し、手動旋…

ブラジルに残る大正デモクラシーの余韻=日系女性アーティスト3人の物語 — その1

2023年9月19日 • 深沢 正雪

大正デモクラシー期に日本人1千家族が押し寄せたアリアンサ 「お父さんは原始林を見たとき、ここに今から文化を創造するんだと感激して大地にひれ伏したと言っていた。鈴木章子さん(しょうこ)の話から、それに通じるものを感じたの」 アリアンサにあるユバ農場の創立者、弓場勇の末娘の勝江さん(かつえ、75歳、2世)が5日、サンパウロ市ビラ・マダレーナ区の有名デザイナー、フェルナンダ・ヤマモトさんの店で出版記念イベント「弓場勝重50年の追憶」を行った際、歴史を感じさせるそんなコメン…

戦中度重なる迫害受けた日系学校=泣きながら玉音放送聞いた女生徒 ー その2

2023年8月23日 • 深沢 正雪

その1を読む >> 戦中に生徒の日本語書類没収で立退き命令 6月20日《日本語云々等に就き生徒が官憲に書類を没収される事件廔々(ろうろう、「しばしば」の意)あり、校内家宅捜索の恐れもあり、今後は自重する様職員会議で申し合わせた。今迄はその度毎に赤間院長、菅野先生の東奔西走で事なきを得た》とある。 戦争中もこっそりと日本語教育を続けていたために、偶然その教材を官憲に没収される生徒がいると学校中が大騒動になった。 7月14日《学校立ち退き問題につき、次の指令があった…

戦中度重なる迫害受けた日系学校=泣きながら玉音放送聞いた女生徒 ー その1

2023年8月22日 • 深沢 正雪

玉音放送聞いて100人が泣き、窓ガラス曇る 今から78年前の8月15日、サンパウロ市のサンパウロ女学院(現赤間学院)では、緊迫した表情の女生徒らが玉音放送の開始を固唾をのんで待っていた。 「赤間みちへ先生に言われて100人ほどの生徒職員が食堂に集まって、小さな短波ラジオから聞こえる玉音放送に耳を傾けたの。みんな戦争中もこっそり日本語を勉強していたし、当然日本は戦争に勝つと思っていた。でも放送を聞いて、これで日本が負けたって分かって皆がシクシク泣きだしたの。ラジオの音…

最後の移民船から半世紀=「国境を越えると人間が変わる」— その2

2023年7月19日 • 深沢 正雪

その1を読む >> 元上司は麻生太郎副総理 同船者会の辻哲三会長(78歳、兵庫県出身)は開会の際、「本日はにっぽん丸着伯から50年、今や会員も寄る年波には勝てず減少傾向が見られ、自然消滅を避けるため、ケジメをつけるため、にっぽん丸最後の日を設けました。静かに消えるのが普通ですが、最後の移民船なので50周年を記念した式典で区切りを付けました」と終わりを匂わせる物悲しい言葉で挨拶を始めた。 でもすぐに「ただしこの会は存続し、55周年に向かっての門出として元気に出発したいと…

最後の移民船から半世紀=「国境を越えると人間が変わる」— その1

2023年7月12日 • 深沢 正雪

クルーズ客船を移民船代わりに南米へ 最後の移民船から半世紀の節目――「船に乗ったものだけが味わうことができる赤道祭、そしてサントス入港。人生の転機でした。この最後の移民船による半世紀の式典は、必ず来ると待っていました」。小池和夫さんは万感の思いを込めて、にっぽん丸同船者会50周年式典の開会の言葉をそう述べた。 移民にとってのサントス入港は、観光客のようなただの上陸ではない。戦前から「サントスでよーいドン!」と言われてきたように、日本の家系や学歴、経歴の一切をいったん捨て…

健康に100歳迎える秘訣とは=移民史の生き字引、梅崎嘉明さん - その2

2023年4月12日 • 深沢 正雪

その1を読む >> 「フジヤマの飛魚」見た後に飛魚歌会 梅崎さんはカフェランジアのブラジル人コーヒー耕地に入植し、植民地で畑仕事に従事した。戦争中、日本移民は敵性国民として移動がが禁じられ、ひたすら仕事に打ち込むしかなかった。その中で梅崎さんは写真と文学を学び、1949年に出聖してサンジョアン街で最初の写真館を開業し、子どもを育てつつ文学への情熱を燃やした。 同じ1949年6月に日本の国際水泳連盟復帰が認められるやいなや、古橋や橋爪ら6選手は、米国ロサンゼルスで8月に…

健康に100歳迎える秘訣とは=移民史の生き字引、梅崎嘉明さん - その1

2023年4月11日 • 深沢 正雪

健康に100歳を迎えるために 3月21日に100歳を迎えたサンパウロ市南部在住の梅崎嘉明さん(奈良県出身)が先ごろ4冊目の歌集を出版した。さらに家族が主催して120人もの親族友人が集まった盛大な100歳祝賀パーティーが25日に静岡県人会館で開催された。 補聴器も使わずに会話ができ、短歌や文章を毎日ひねり、挨拶のために舞台への階段も一人で上り、当協会にも普通に来社する。100歳まで生きる人はコロニアにも何十人かいるが、梅崎さんほど健康に紀寿を迎える人は少ない。健康…

元ブラジル移民、ロス在住の樋口馨さん・ジョルナル・ド・ブラジルでカメラマン

2023年1月25日 • 深沢 正雪

第7回世界のウチナーンチュ大会期間中の11月3日、那覇市平和通り商店街・元雑貨部で開催されていた「なはーとがマチグヮーにやってくる 世界のウチナーンチュとマチグワー展」会場で、ブラジル移民展示を熱心に見ていた日本人老夫婦に声をかけたら、元ブラジル移民だった。 「あんたはブラジルから来た邦字紙記者か。僕は昔『ジョルナル・ド・ブラジル』のカメラマンだったんだよ。アチバイアの中沢宏一さんはアミーゴだ」と懐かしそうに笑顔を浮かべるのは樋口馨さん(かおる、89歳、フィリピン生ま…

映画『ガイジン』と『ファミリア』の共通点

2023年1月11日 • 深沢 正雪

日本移民を通してブラジル社会描いた『ガイジン』 ブラジルでの日本移民の苦労を、現代の日本に置き換えたような話だな」――映画『ファミリア família』(成島出監督、配給:キノフィルムズ)のオンライン試写を見終わったとき、そう感じた。1月6日から新宿ピカデリーほか日本全国で公開中だ。残念なことに日本以外では見られない。 あの役所広司と吉沢亮が親子役となり、さまざまな違いを乗り越えて〝現代の家族〟を作ろうとする骨太の人間ドラマだ。その主要な役どころに、オ…

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