ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2020/11/19/nikkei-uncovered-48/

月光

11月に岡村眸子鳥の俳句をお届けできることは、私たちにとって大きな喜びです。彼の孫、マイケル・オカムラ氏(リトル東京歴史協会)に眸子鳥の俳句を紹介されて以来、私は1920年代初頭に眸子鳥が共同で立ち上げたアゴスト社へのオマージュとして、リトルトーキョーで句会を再現することを夢見てきました。今がどのような時であろうと、どのような衝突の最中にあろうと、私はこうした詩の中に素晴らしい光と慰めを見いだしています。岡村眸子鳥の俳句を(優れた写真と共に)お届けできることをとても誇らしく思います。どうぞお楽しみください!

 — トレイシー・カトウ=キリヤマ

岡村眸子鳥(本名:岡村敏行)は、1894年に鳥取県で生まれました。1916年、22歳の時に農学生として渡米し、すぐにカリフォルニア州の農場で働き始めました。ほどなくして敏行はロサンゼルスにたどり着き、リトルトーキョーに魅了されました。ロサンゼルス郡一般病院の近くに住みながらリトルトーキョーのパシフィック・プリンティング・カンパニーや朝日新聞、トーキョー・プリンティング・カンパニーで仕事を見つけました。敏行にはクリエイティブな一面があり、多くの一世の独身仲間と共に積極的に俳句や書、写真制作に取り組み、俳号を眸子鳥としました。鳥取県人会や共同で立ち上げたアゴスト社句会、アーティスト集団の赤土社の活動にも積極的に参加しました。眸子鳥の俳句は、1920年代から30年代に地元の日本語誌や新聞に掲載されました。

敏行は日本の家族に手紙を送り、アメリカでの生活の様子を知らせていましたが、再び祖国の地を踏むことはありませんでした。敏行は妻のチハルと共にリトルトーキョーから東へ数マイル離れたボイルハイツ地区のエバーグリーン墓地に眠っています。

 

灯ともせば花こぼる沮して泪する枕

柘榴みごとはぢけ
    おちて土と語る

母に寄すアメリカの夜空の星かず

ふたりまづ虫をききそれから明治のはなし

千春と俊之、c. 1920年代。

1927年、リトル東京のロサンゼルス日本人ユニオン教会で行われた利之の結婚式。


熟柿くちにもつていく
     思ひ残ることなし

夜霧の伴が減つて減つてひとり

赤銅社芸術家クラブ、1936年:下段右から2番目が俊之さん。


めうと、としての四十年月に見てもらつてゐる

上記は彼の墓石に日本語で刻まれている詩の翻訳です。

* これらの俳句は、1920年代から30年代に地元の日本語誌や新聞に掲載されたもので、著作権は孫のマイケル・オカムラに帰属します。 

© Michael Okamura

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このシリーズについて

「ニッケイを見いだす:詩のコラム」は、文化や歴史、個人的な体験をめぐるストーリーを、多様な文章表現を通して共有するニッケイ・コミュニティのためのスペースです。過去から今に至る歴史、儀式・祭事・伝統としての食、伝統の儀礼と前提、土地・場所・コミュニティ、愛など、歴史やルーツ、アイデンティティに関わるさまざまなテーマによる幅広い形式の詩をご紹介します。

この月刊コラムの編集者として、作家、パフォーマー、詩人のトレイシー・カトウ=キリヤマさんをお招きしました。毎月第三木曜日には、詩作を始めたばかりのシニアや若者から、出版歴を持つ全米各地の詩人まで、1~2名の作品を発表します。無数の相違や共通の経験の間で織りなされる、人々の声の交差が見いだされることを願っています。

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執筆者について

岡村眸子鳥(本名:岡村敏行)は、1894年に鳥取県で生まれました。1916年、22歳の時に農学生として渡米し、すぐにカリフォルニア州の農場で働き始めました。ほどなくして敏行はロサンゼルスにたどり着き、リトルトーキョーに魅了されました。ロサンゼルス郡一般病院の近くに住みながらリトルトーキョーのパシフィック・プリンティング・カンパニーや朝日新聞、トーキョー・プリンティング・カンパニーで仕事を見つけました。敏行にはクリエイティブな一面があり、多くの一世の独身仲間と共に積極的に俳句や書、写真制作に取り組み、俳号を眸子鳥としました。鳥取県人会や共同で立ち上げたアゴスト社句会、アーティスト集団の赤土社の活動にも積極的に参加しました。眸子鳥の俳句は、1920年代から30年代に地元の日本語誌や新聞に掲載されました。

敏行は日本の家族に手紙を送り、アメリカでの生活の様子を知らせていましたが、再び祖国の地を踏むことはありませんでした。敏行は妻のチハルと共にリトルトーキョーから東へ数マイル離れたボイルハイツ地区のエバーグリーン墓地に眠っています。


トレイシー・カトウ・キリヤマは、パフォーマー、俳優、ライター、著者、教育者、アート+コミュニティのオーガナイザーであり、感謝の気持ち、大胆さ、そして徹底的な狂気を体感しながら、時間と空間を分割しています。彼女は、Pull Project (PULL: Tales of Obsession)、Generations Of War、The (タイトルは常に変化している) Nikkei Network for Gender and Sexual Positivity、Kizuna、Budokan of LA など、数多くのプロジェクトに熱心に取り組んでおり、Tuesday Night Project のディレクター兼共同創設者であり、その旗艦店「Tuesday Night Cafe」の共同キュレーターでもあります。彼女は、生き残るための文章と詩の 2 冊目の本を執筆中で、来年 Writ Large Press から出版される予定です。

2013年8月更新

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