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シアトル・宇和島屋物語 ~ The Uwajimaya Story

第6回 ルーツの宇和島市、八幡浜市

宇和島城から見下ろした宇和島市の市街地

シアトルのUwajiamaya(宇和島屋)の店名は、愛媛県の西南部に位置する宇和島市の「宇和島」から由来する。Uwajiamaya創業者、森口富士松はこの宇和島市より車で北に約40キロのところに位置する同県西宇和郡川上村(現在の八幡浜市川上町)の出身だが、大正時代の若いころ宇和島で水産加工の仕事についていたため、宇和島の名前を屋号にしたのだった。

どういういきさつで、富士松が宇和島に修行にでたのかは、はっきりしないが、その当時、宇和島がかまぼこやじゃこ天などの水産加工品では、規模の点からして八幡浜など近隣のまちより盛んだったということがあるのかもしれない。

大正10(1921)年に、それまでの北宇和郡宇和島町と八幡村が合併して、今日の宇和島市のもととなる宇和島市が誕生した。一方、八幡浜市は昭和10(1935)年に誕生するが、川上村は、戦争をはさんでそのまま存続し、昭和30(1955)年に八幡浜市に編入されている。


海沿いのまち

では、この宇和島市や八幡浜市とはどういう地域だったのか、まずは地理的な面を確認するため四国の地図を見てみよう。愛媛県は香川県との境から西へ向かってずっと瀬戸内海に面している。新居浜市や昨今話題になった加計学園獣医学部ができる今治市、そして県庁所在地の松山市へと続く。

さらに西に進むとやがて八幡浜市の北部海岸にさしかかり、その先にきざきざした形で長さ約40キロにわたって細長く西に伸びているのが佐多岬半島だ。豊後水道をはさんで九州大分県は目と鼻の先にあり、愛媛—大分を結ぶフェリーの航路もある。また、半島の瀬戸内側には、現在運転が差し止め中の四国電力伊方原子力発電所が位置する。

一方、半島の南側の宇和海に面しては、北から八幡浜市、西予市、そして宇和島市へと続いている。海岸線は背後に山が迫っていて、山肌にみかんの畑が広がっているところは愛媛県らしい。

八幡浜でも宇和島でも、かまぼこやじゃこ天は名産品になっている。特に、じゃこ天は全国的にみて宇和島、八幡浜が特産地として知られている。近海でとれるホタルジャコ(ハランボと呼ばれる)をはじめ小魚を骨ごと、皮ごとすり身にして扁平にして切り分け油で揚げる。宇和島ではこれをてんぷらとも呼ぶ。カルシウムやミネラルが豊富で、健康にもいいと近頃はメディアで取り上げられている。

グルメアヴェニュー宇和島(宇和島市内)のネオンサイン

また、「宇和島のかまぼこ製造の起源は、1615年(元和元年)に伊達秀宗が宇和島へ分封されたときに、仙台かまぼこの職人を同行させ、製造技術を伝えたのが始まりとされている」(宇和島市観光物産協会)というから、その歴史は古く、まさに伝統の味である。コシのある歯ごたえが特徴だという。

こうした伝統産業ともいえる水産加工に、森口富士松は若いころ携わっていた。海に囲まれている日本人ならたいてい親しみのあるかまぼこなどの練り製品の技術を彼が会得していたことは、アメリカの日本人移住者相手に商売するには強みだったろう。

宇和島ではこのほか、郷土料理として鯛めしが有名だ。鯛めしには鯛を米と一緒に炊きこんだ炊き込みご飯風もあるが、宇和島の場合は、刺身をしょうゆ、だし汁、卵黄などでつくったタレにつけてから、あったかいご飯の上にのせて食べる。“漁師めし”の一種として古くからある。

「どーや市場」内のじゃこ天販売

八幡浜でも、海産物は自慢で、海に近い道の駅・みなとオアシス「八幡浜みなっと」には、海産物の直販所である「どーや市場」や食事のできる「どーや食堂」がある。また、地元グルメとしては「八幡浜ちゃんぽん」が人気を博している。

(敬称略)

 

© 2018 Ryusuke Kawai

ehime Moriguchi Family roots uwajimaya

このシリーズについて

アメリカ・ワシントン州シアトルを拠点に店舗を展開、いまや知らない人はいない食品スーパーマーケットの「Uwajimaya(宇和島屋)」。1928(昭和3)年に家族経営の小さな店としてはじまり2018年には創業90周年を迎える。かつてあった多くの日系の商店が時代とともに姿を消してきたなかで、モリグチ・ファミリーの結束によって継続、発展してきたその歴史と秘訣を探る。

*毎月第2・4金曜日に掲載予定です。