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https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2014/3/7/argentina/

日系アルゼンチン移民略史

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日系アルゼンチン人の歴史は1908年から1909年にかけて、沖縄と鹿児島から移民が到着したときに始まりました。 アルゼンチンではこの2県出身の日系人が多くいます。初めてアルゼンチンに着いた日本人はブラジル経由で入国しました。その後も、近隣の国へまず入ってからアルゼンチンへ入国する日本人移民が多かったのです。

1915年にチリに着いた後、アンデス山脈を越えてアルゼンチンへと苦しい旅を続ける日本人移民。(アルゼンチン日本協会所蔵)

戦前には、日系アルゼンチン人の大部分は都市部で小さな商売を営んでいました。特にブエノスアイレスでドライクリーニング業とカフェを営む人が多かったのですが、ほかに、奉公人、工場の従業員、港湾労働者として働いた日本人もいました。さらに、少数ながら園芸業、花卉業、漁業などに従事する人もいました。日本人の多い地方では、県人会や日本語学校等の組織が作られ、日系コミュニティ形成と連帯の中心的役割を果たしました。

1920年代にはクリーニング業が日本人居住者のよく従事した職業であった。「キョウト」クリーニング店の経営者(1914年にアルゼンチン入国)。店はブエノスアイレス、ラバレ通りの2047番にあった。(サトウ家所蔵)

第2次世界大戦の影響

日米が戦争をしていたとき、アルゼンチンは1943年まで中立を保っていたので、日系アルゼンチン人の生活には大きな影響はありませんでした。それでも、1944年から1946年にかけては、集会、日本語教育、新聞発行等は禁止され、日本人の財産凍結も行われました。その間、日本人居住者は、よりアルゼンチン社会に溶け込んで、アルゼンチンを自分達の故郷にするよう努力しました。

1960年代以降の移民の波

1960年代から70年代にかけて、新しい移民の波が日系社会を再び活性化しました。多くの移民は農業分野での経済的可能性に引かれてやって来ました。戦後、アルゼンチン生まれの日系人の社会的地位が向上するようになります。多くは大学以上の教育をうけ、またカトリック教徒でもあります。専門職、技術職に就きたいと希望する人が増え、若い日系アルゼンチン人の選ぶキャリアは今ではどんどん多様化してきています。1980年代の不景気を反映して、二世・三世の中には、日本で働くことを決めた人たちもいました。

1988年の8月にブエノスアイレスの大通りで行われた日亜友好・通商・航海条約100周年記念祝賀パレード。(日系学士協会所蔵)

出典:

キクムラ=ヤノ、アケミ編 『アメリカ大陸日系人百科事典ー写真と絵で見る日系人の歴史』 明石書店、2002年。

 

* 共同制作: アルゼンチン日系センター、日系学士協会

 

© 2002 Japanese American National Museum

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このシリーズについて

日系人が50以上の国で生活しているのをご存知ですか?ここでは、日系人の経験を各国別にまとめた移民略史をご紹介します。

このセクションの資料は『アメリカ大陸日系人百科事典―写真と絵で見る日系人の歴史』 (アケミ キクムラ=ヤノ編、明石書店, 2002)から抜粋・追加したものです。*英語版:Encyclopedia of Japanese Descendants in the Americas: An Illustrated History of the Nikkei, Akemi Kikumura-Yano, ed. (Walnut Creek, CA: AltaMira, 2002).

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執筆者について

アケミ・キクムラ・ヤノは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校アジア系アメリカ人研究センターの客員研究員です。カリフォルニア大学ロサンゼルス校で人類学の博士号を取得しており、受賞歴のある作家、キュレーター、劇作家でもあります。著書『過酷な冬を乗り越えて:移民女性の人生』で最もよく知られています。

2012年2月更新

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