ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2013/12/20/ohama-cloth-letter/

リンダ・オオハマのクロスレター展、トロントとミシソガで開催中!

カナダ・ゲームス・センター

クリスマスと新年を迎えるこの時期、カナダ国内巡回中のリンダ・オオハマさんのクロスレター展がついにトロントとミシソガで開催されることになった。

この展示は、トロントにある日系文化会館(JCCC)で12月12日から1月末まで、1月11日から2月16日までは公立ミシソガ中央図書館で開催される。

日本での巡回展示後、2013年春、キルトがカナダに到着。バーナビー、リッチモンド、ノースバンクーバー、バンクーバーで始まったキルト展展は、その後ホワイトホース、レデューク、ウイニペグ、モントリオール、サスカチュワン大学のディーフェンベーカーカナダセンターの各地で開催され、カナダの人々の熱烈な反響を呼んでいる。

ユーコン・アートセンターの青年ギャラリー.

カンザキ・サチヨさん(博士号課程修了の日本人。サスカトゥーンに留学中)がこの展示について下記のように話してくださった。

「私たちの所では、大学キャンパス内のディーフェンベーカーセンターと呼ばれる建物内で展示したんです。ですから、日本や日系社会に特別の関心を持っていない人々や、センターの他の展示を見ようと訪れた人々も立ち寄り、見てくださいました」。

「サスカトゥーンには日系センターもありません。また、日本人や日系人がたくさん住んでいるわけではありません。そういうこともあり、最初は、普通のキルト展と思われたようです。その後、作品の添え書きで意味を理解し、3.11を思い出してくださったようです」。

キルト展と自身との関係について、サチヨさんは次のように語ってくれた。「展示開催にあたrい、カナダ会議の日本語研究会を関わらせてはどうかとおっしゃってくださったのは、カリン・ホルロイド教授です。私自身も、この展示の開催に関わってきました。それは、私が日本人であるからということだけでなく、私は阪神大震災を経験したので、3.11により大きな衝撃を受けたからです。また、いつもとは異なる方法で、しかも思いもよらない場所で開催することは、より多くの人々にわかっていただけるよい機会になるのでは、と思ったからです」

サスカチュワン大学のカリン・ホルロイド教授は、それに関し次のように語ってくださった。

「もっとも興味深かったのは、自分たちの街の子どもたちが描いたクロスレターを見た時の人々の反応です(ユーコン州のホワイトホース出身の夫は、自分の街から届いたクロスレターをドキドキしながら見ていました)。このプロセスを通し、カナダ国内でどれほど多くの地区の人々が関わったか、そして東北との絆がどれほど強いものかがわかります。このようにして(クロスレターを描いた)子どもたちは、全カナダ人の気持ちを代弁していたのです。この子たちの手紙や祈りは、カナダ国民の総意です」

同教授はさらに次のように続けて語った。「私は当初、東日本大震災の翌週に日本に行く予定でした。(しかし予定が変わり)大震災後の推移を見守りながら、ウォーターロー大学でプロセスについて講演を行いました。そしてその9カ月後、日本を訪問。石巻で5日間ボランティア活動を行いました。そこで地域の再生力と日本人の決意のほどを学んだのです。それはとても貴重な体験でした。子どもたちのキルトは、震災を忘れないものにしてくれます。また同時に、多くの犠牲者を包み込み、人間が持つ不屈の精神を包み込む人間愛をも私どもに思い起こさせるのです」

子どもを抱く父親(写真提供:リンダ・オオハマさん)

東北の復興状況について、リンダ・オオハマさんは最近のメールで次のように話していました。「(映画の)撮影も最終段階(映画は3.11からの復興を追ったドキュメンタリー)。撮影は主に福島第一原発地区です。今、(原発事故により避難指示地区となった)楢葉町にある仮設学校への訪問と取材を終え、(福島県)いわき市から帰ってきました。楢葉町と(その隣にある)双葉町は将来のことを考えようと懸命です。でも、ご存じのように将来が約束されているわけではありません」。

リンダさんはさらに次のことを強調した。「子どもたちが通う学校のグラウンドで放射線量を測定したり、食料や子どもたちの健康問題で自治体に掛け合ったりするお母さんたちにも出会いました。福島はまだそんな悲惨な状況なのです」。

展示されるなかでもっとも胸が痛むのは、福島から届いたクロスレターだ。

リンダさんが最後に次のように語り、締めくくった。「『元のように安全になるのだろうか』と綴る6歳児のメッセージや、『結婚して普通の生活ができるのか』と綴る10歳代の子どものメッセージを見てみてください。それらのメッセージには、福島原発事故の影響を受ける人々の本音が代弁されています」。

乳児を抱くリンダさんと3人のお母さんたち。福島第一原発近くに住まいがあった彼女たちの生活は、(事故後)一変しました。でも、他の地区の人々と同じように喜びも悲しみも分け合って暮らしています。(写真提供:リンダ・オオハマさん)

* * * * *

キルト展は12月12日から1月31日までトロントの日系文化会館で行われています。また、来年1月11日から2月16日まで公立ミシソガ中央図書館でも開催されます。

トロントの日系文化会館: 6 Garamond Court (Don Mills 地区);電話: (416) 441-2345. ウェブサイト:www.jccc.on.ca.

公立ミシソガ中央図書館: 301 Burnhamthorpe Rd. West.;電話: (905) 615-3500. Eメール: library.info@mississauga.ca>

次の開催予定地は、米国ロサンゼルスの全米日系人博物館と(カナダ)オタワ市内の市民博物館です。期日はどちらも来年3月。
最新情報はwww.clothletters.comをご覧ください。

 

© 2013 Norm Ibuki

カナダ トロント オンタリオ ミシサーガ リンダ・オオハマ 展示会 手紙 東北地方太平洋沖地震(2011年) 東日本大震災
このシリーズについて

人と人との固い結びつき、それが、「絆」です。

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執筆者について

オンタリオ州オークビル在住の著者、ノーム・マサジ・イブキ氏は、1990年代初頭より日系カナダ人コミュニティについて、広範囲に及ぶ執筆を続けています。1995年から2004年にかけて、トロントの月刊新聞、「Nikkei Voice」へのコラムを担当し、日本(仙台)での体験談をシリーズで掲載しました。イブキ氏は現在、小学校で教鞭をとる傍ら、さまざまな刊行物への執筆を継続しています。

(2009年12月 更新)

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