ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2011/7/27/lingua-japonesa/

第2回 日本語って難しい

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1.  「お母さんいる」
     「びょういんに行った」
     「どっか悪いの」
     「うん、あたま」
     「そうなの」
     「ヘアースタイル変えるって」
     「そっか。びよういんに行ったのね」

2.  「新しい仕事はどう」
     「だめだった」
     「えっ」
    「面接に間に合わなかった」
     「どうして」
     「よっかようかと間違えた」


3.  男は妻と喧嘩したあと、「じゆうがほしい」と言って家を飛び出した。妻は驚いて泣きながら警察へ行った。夫が「じゅうがほしい」と言ったと聞き間違えた。

4.  「今日はとても暑いから、あのビールの中でビルでも飲みましょう」

この4つのシチュエーションは作ったものもあるが、外国人が日本語を使うと、こういうことが起こりやすい。

「病院」と「美容院」、「四日」と「八日」、「自由」と「銃」、「ビール」と「ビル」。日本人が「R」と「L」、「V」と「B」の発音が聞き分けられないから上手に発音ができないのと同じだと思う。

と言っても、日本語の方が難しそう。私たち日系人にとっても、日本語はやはり難しいことに変わらない。生まれ育ちが日本でなければ、日本語は外国語に違いない。

ヒアリングはどうにか出来ても、話すことはもっと難しい。このことで、面白い例がある。近所のブラジル人の奥さんが母にこう言った。「不思議でたまらない。隣は日本人の家族で、親は日本語で、子どもは全部ポルトガル語で会話をする。どうなってるの。私には分からない」。

もう一つの「大変なこと」は読み書きだ。漢字を知るのは絶対必要だ。漢字はあらゆる文字の中で最も難しい。デカセギの話になるが、ある女性は課長に、「漢字で話しても分からない」と言ったそうだ。

わたしは漢字を日本語学校で少し習った。残念ながら、中学校(ブラジルの)に進むと日本語の学習を止めてしまった。

だから日本語にますます遠ざかって行った。毎月、父が買ってくれていた日本の「少女クラブ」を読む程度だった。

最近、漢字に興味を持ち、ぼちぼちと...「60の手習い」として楽しんでいる(笑)。漢字の成り立ちはおもしろい。

そして、川柳にも挑戦。遊び心で、気楽に。

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© 2011 Laura Honda-Hasegawa

ブラジル 執筆 川柳 文学 日本人 日本語 漢字 漢字(kanji) 言語
このシリーズについて

祖父は日本から約100年前に来伯。私はブラジル生まれ。だから、私はブラジルと日本との「架け橋」になりたい。私の心に深く刻まれた「にっぽん」は宝物。ふるさとのブラジルで守りたい。そんな思いを込めて書いたのが、このシリーズです。(Bom Diaはポルトガル語でおはよう)

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執筆者について

1947年サンパウロ生まれ。2009年まで教育の分野に携わる。以後、執筆活動に専念。エッセイ、短編小説、小説などを日系人の視点から描く。

子どものころ、母親が話してくれた日本の童話、中学生のころ読んだ「少女クラブ」、小津監督の数々の映画を見て、日本文化への憧れを育んだ。

(2023年5月 更新)

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