ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2010/1/15/seijinshiki/

ボリビア・サンタクルスの「成人式」

日本人・日系人の団体は若い世代を育てることがひとつの任務である。幼少年期に日本語学習と文化の伝承を行い、成人となって社会構成のシステムを自然な形で教え込むことで、未来の担い手を育てていく。

筆者も日本人会で日本語を学習し、成人を迎え、一時期海外へ出て、そしてサンタクルスに戻り、現在は団体活動に携わっている。現在の若い世代を見て、自分にもそのような時代があったと感嘆する。

21歳を境として、大人の世界へと導く役割を果たしてきたサンタクルス中央日本人会の成人式を振り返ってみたい。

サンタクルス中央日本人会において、記録に残る初めての成人式は1972年に挙行されている。以後、37年に渡る現在まで恒例行事として毎年開催されている。日本では4月に年度を開始するので、成人を迎える者もその通りに決められるが、当地では1月1日から12月31日までの間に21歳を迎える者を成人対象としている。

第1回成人式(1972年)

平均すると毎年10人から15人が成人式を迎えており、男女の割合はほぼ同等である。ただし年によっては成人者が一ケタ台であったり、男女の差が大きかったりする。成人者の出席率は初期のころは100%であったが、年とともに留学、就労などの理由で出席できない成人者がいるものの、近年は8割は出席している。

日本人会の成人式は1月15日の夕方に開催するのが恒例であったが、同日内にオキナワ・サンファン両移住地を巡回する来賓のスケジュールの兼ね合いから、近年は15日前後の土曜か日曜の午前中に開催されるようになった。また、年によっては、式後に新成人者を歓迎するダンスパーティーが青年部主催で催されたりする。

青年部主催パーティー (2003年)



式次第は日本人会会長の祝辞、記念品の贈呈、記念撮影、食事と余興と簡素に行われる。記念品は年によってさまざまだが、初期には「日本語現代実用辞典」が贈呈されていた。筆者は現在でもこの辞典を重宝している。

振り返ってみると、初期の成人者たちは現在の日本人会の役員理事として会を担い、80年代に成人式を迎えた筆者たちは中堅世代となった。中堅として、サンタクルス中央日本人会の大切さと継続を実感するなか、新世代を迎える毎年の成人式の祝辞で、新成人者へ贈る下記の言葉がこの気持ちを表現している:

「ケネディー大統領が就任したとき、国民の諸君は国が何をしてくれるかを待つ前に、国のために何が出来るかを考えていただきたい、と演説した。この言葉を借りて、成人者の皆さんは日本人・日系人社会が何を与えてくれるかと考える前に、私たちの社会のために何が出来るか、何をすればいいのかをこれから考えていただきたい」

2008年度の成人式

* 本稿は、ボリビア日系協会連合会 (ディスカバー・ニッケイの協賛団体)が協賛団体の活動のひとつとして、当サイトへ寄稿したものです。

© 2010 Takashi Aniya

ボリビア コミュニティ サンタクルス(ボリビア)
執筆者について

オキナワ移住地出身の二世。サンタクルス中央日本人会書記理事。創立50周年記念誌の編纂に携わり、日本人会の議事録書などの資料を整理、文書にまとめている最中である。

(2009年5月 更新)

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