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日系史における「勇者」 -日系アメリカ人兵士の活躍をふりかえる- その2

>>その1

諜報部隊(MIS)と進駐軍

第442部隊の次に日系人が所属した部隊としてよく知られているのは、MISと呼ばれる諜報部隊です。従軍を経験した日系人のなかには、日本語を習得して日本軍や日本国内の情報を収集する役割をになった人々や、進駐軍として日本の民主化政策にかかわった人々がいました。さきに挙げたマツモト氏は、MISを経験した日系人のひとりとしてよく知られています。また、男性だけでなく女性も従軍しており、そのなかには、先に挙げた上村さんの母親であるバーバラ・所方(しょほう)さんのように進駐軍として東京に駐留していた人々もいました。ここで、MISが関わったものをいくつか紹介しましょう。

日本軍の情報を集めるための部隊に所属していた日系人の多くは、東南アジアやオセアニア、そして南太平洋の地域で活躍しました。彼らのなかには、マツモト氏のように、進軍中の日本兵のすぐ近くで諜報活動をしていた人々もいました。私がマツモト氏に初めて会ったとき、彼は諜報活動の対象であった日本軍の兵士たちが山形県の方言を話していたため、広島県にルーツを持つ彼にとってそれが非常に困難な任務であったと話してくれました。

進駐軍として日本に駐留したMISの日系人のなかには、GHQ幹部の補佐をつとめる人や、東京裁判の際に通訳をつとめた人、GHQのさまざまな部署で働いた人、さらには日本各地の情報の収集に奔走した人などがいました。諜報活動の一環として、労働運動や政治活動の監視にかかわった人々もいました。また、日本人捕虜の尋問にあたった日系人も忘れてはなりません。

日系人が、進駐軍として日本へ来ていたことを知っている日本人の人たちもいるかと思います。日本人と姿かたちが同じの人が、アメリカ軍の軍服をまとい、進駐軍専用列車に乗っていたことを記憶している人々もいるでしょう。また、MISなどで日本に駐留した日系人のなかには、日本国内に住んでいる親戚を訪問する人々もいました。日本にいる親戚のことが心配だったのです。戦時中は、日系人は収容所に送られ、日本人は焼夷弾攻撃、沖縄戦、さらには原子爆弾の投下という悲劇の歴史を歩みました。これらの悲しい出来事は、日本人だけではなく、日系人にとっても非常に悲しい出来事でした。

M.I.S. GI's Fort Snelling. モリ・シマダ氏寄贈、全米日系人博物館。(92.10.2CJ)

第二次世界大戦前に従軍した日系人

日系人の従軍の歴史は長いもので、第一次世界大戦に従軍した日系人もいました。その一人に、ハワイ出身のジョセフ・クリハラ氏がいました。アメリカ社会では、従軍を経験した人々は模範的な市民として尊敬されるべき存在ですが、クリハラ氏は第二次大戦中、日系人であるがゆえに敵性外国人とみなされ、他の多くの日系人と同様にマンザナー強制収容所に送られました。アメリカ政府はクリハラ氏に対して、「大きな裏切り」を犯したのです。このことにクリハラ氏はひどく失望し、アメリカの国籍を放棄して日本に移り住みました。

また、日米戦争勃発前に陸軍によって徴兵された日系人もいました。しかし、徴兵されたにもかかわらず、戦争勃発直後には軍からスパイ容疑をかけられ、一方的に、そして不当に身柄を拘束されたのです。日系人がアメリカ軍へ入隊することは、母国アメリカをアメリカ市民として命をかけて守るということを意味しました。身柄を拘束された日系人のなかには、「軍服を着たまま一方的に牢屋にぶちこむとは何事だ!囚人扱いするな!囚人服はどこにある!」と言って抵抗した人々もいたそうです。

朝鮮戦争以後

第二次世界大戦の終結後、アメリカ政府は軍隊における人種隔離政策を改めました。これによって、朝鮮戦争以後は、日系人は他のアメリカ人と同じ部隊に所属するようになりました。そして、朝鮮戦争勃発とともに、日系人は再び軍隊で活躍するようになりました。朝鮮戦争に従軍した日系人のひとりであるカリフォルニア州在住のロバート・ミツル・ワダ氏は、アメリカ海兵隊の戦車部隊に所属して朝鮮半島で勇敢に戦い、アメリカ軍から表彰されました。

第二次世界大戦と朝鮮戦争にかかわった日系人の多くが二世でした。そして、ヴェトナム戦争がはじまると、多くの日系三世がアメリカ軍で活躍するようになりました。ヴェトナム戦争の際に大活躍をした日系人のなかでも著名なのが、ロサンゼルス郡最高裁判所の判事であるヴィンセント・オカモト氏です。オカモト氏は先に挙げたマツモト氏やワダ氏とならんで、高い戦績をあげた日系人として知られています。2008年、オカモト氏はJAリビングレガシーの関連組織であるニッケイ・ライターズ・ギルドから、自身の半生をもとにしたフィクション小説である、「ウルフハウンド・サムライ(Wolfhound Samurai)」を出版しました。

その3>>

© 2010 Takamichi Go

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