激変するデカセギ事情=大挙帰伯の真相に迫る
第3回 大量帰国報道は本当か=片道チケットが五倍に

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渡邉 親枝

2009年6月27日(土)

>>第2回

昨年9月の金融危機による不況で「派遣切り」が始まって以降、日本からのニュースには「ブラジル行き航空券、3月まで帰国するブラジル人でいっぱい」のような報道がちらほらみられたが、それは本当だろうか。

JAL聖支店営業所の小松繁彦所長は「いろんな所で言われているような、帰国者が殺到して、ブラジル行きの飛行機がパンパンという状況ではない」と断言する。「去年11月から全体的に増えた。多くのデカセギが帰ってきていることははっきりしている」。

聖市内の大手日系旅行社によれば、「JAL以外の飛行機も、そんなにムチャクチャ混んでない」としつつ、金融危機以降の急変事項として、デカセギが使うエコノミーでなく、ビジネスクラスの動向を挙げた。

「10月まではJALのビジネス79席が奪い合いで大変だった。ところが、今はいつでもOK」で、航空会社によっては「ガラガラ」とし、企業関係者の行き来にも大きな変化が現われたとする。「商社なんかでも今はエコノミーを使うようになった」。

日伯便の年末年始がいっぱいになるのは毎年のこと。では、危機の影響を受け、どの程度異例の増え方をしたのか。

別の日系旅行社に依頼し、日伯間旅客の動向を調べると、デカセギの帰伯激増を裏付ける数字と、圧倒的に片道チケットで帰ってくるようになった現実が浮かび上がってきた。

その旅行社が08年1月に扱った旅客は757人中、片道は325人のみ(42%)だったが、先月は総数で1968人と約2.6倍に激増し、うち片道 は1695人(86%)を占め、前年比総数でなんと5倍以上になった。もちろん、片道帰国者の大半は解雇されたデカセギだろう。

年末年始は例年いっぱいになるが、通常なら2~3月は減る。ところが最新の2月の統計を比べると、昨年2月の1カ月間に618人(片道231人=37%)だったのが、今月最初の一週間だけで489人(片道407人=83%)を記録している。

駐在員の一時帰国なども多い年末年始と違い、2月はデカセギの密度が高い可能性があり、それが片道チケットの割合増加に現われているようだ。総数自体も1月を上回る異例のペースであり、しばらく増え続けることが予想される。

しかし、貯金がなく帰るための航空運賃すら払えないデカセギもいる。リベルダーデに支店をかまえる銀行筋から聞いたところでは、「去年まで、学生の子供さんなんかには日本へ送金するケースはありましたが、昨年12月末あたりからその送金件数が増えました」という。

帰国するために航空券を買う金すらもなく、家からの送金で帰伯する人までいるようだ。

いったい何万人のデカセギが帰伯することになるのかは、今のところ誰にも分からない。

第4回>>


聖市大手日系旅行社が取り扱う日本発片道、往復航空券旅行者の数(注: 前3カ月は取り扱い航空会社12社、後3カ月は13社)

*左上の写真はWikipediaより

※ 本稿はニッケイ新聞2009年2月14日に掲載されたものを許可を持って転載しています。

※ ニッケイ新聞(www.nikkeyshimbun.com.br)はブラジル国サンパウロ州サンパウロ市で発行されている、移住者や日系人・駐在員向けの日本語新聞です。

© 2009 Norie Watanabe

 

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渡邉 親枝 (わたなべ・のりえ)

東京都出身、2007年7月からブラジルサンパウロ在住。青山学院大学文学部英米文学科卒。現在、サンパウロの邦字紙、ニッケイ新聞で記者をしている。日系社会のイベントほか、経済危機で帰国したデカセギ家族の現状などを取材。

(2009年6月 更新)

 
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