ディスカバー・ニッケイ

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茶道のモットーを次世代へ

お茶とはただ単なるお茶をたてて飲むだけでなく、一つのお茶をたてますのに、すべて自分でやらないといけない。まず水を汲み、炭をおこして、お湯をわかして、すべてきれいにしてまず、村一番たてたお茶はまず、仏様、神様にお供ええして、それから、相手のお客様にあげて自分も飲む。 だからそういうきれいな気持ちが「和敬清寂」それモットーとしての茶の湯でございまして。昔は茶道とはあまりにも高価なもので、大名それから貴族の方たちしかお茶をいただかなかったですね。しかし戦後は本当に我々が自然から離れた生活が多くなってきましたので、まずお茶とはすべてが自然に関係したもので、なにごとも手作り。野に咲いた花を生けて自然を尊ぶ。作った方々にお礼をいう、「感謝」、「感謝」ということが一番大切でございまして。私はこういう立派な日本の伝統文化を現在のこの、津波だ、あ~地震だ、そしてまた殺人、強盗だ、こういう騒がしい世の中に一番現在大切なのがこの茶道ではないでしょうかね。と思いまして、できるだけ、若いかたたちにもできれば、次のジェネレーション、私はこれが実現できますでしょうと思います。


茶道

日付: 2005年12月19日

場所: 米国、カリフォルニア州

インタビュアー: ナンシー・アラキ

提供: 全米日系人博物館、ワタセ・メディア・アーツ・センター

語り手のプロフィール

松本宗静氏は、1916年2月21日ハワイ州ホノルルに生まれました。松本氏は日本とロサンゼルスの両方で育ち、10代のほとんどをロサンゼルスで過ごしました。茶の道に入った松本氏は、茶道の流派の1つである裏千家家元の下で学ぶため、京都へ移り住みました。戦争終結後、アメリカ国内に茶道を広めるため、帰米します。しかしながら、戦後当時の日系社会は、第二次大戦中の苦難や強制収容といった傷跡に向き合わなければならず、茶道に人々の関心を向けることは容易ではありませんでした。その後、松本氏の茶道への理解や献身的な努力によって、人々は茶道に興味を持ち始めたのです。松本宗静氏は、アメリカにおける茶道の権威として知られ、各地でお手前を披露し、映画やテレビにも出演してきました。松本氏はこれまで3000人以上の人々に茶道を教え、うち300人の弟子達は師となり、茶道を継承し続けています。

松本宗静氏はまた、数々の栄誉ある称号を受けています。茶道における最高位の称号である名誉師範号を、茶道流派の裏千家より授与され、1990年11月には松本氏の長年に渡る日本文化継承への功労に対して、勲五等の瑞宝双光章が日本天皇より授与されました。また、1994年には米国立芸術基金の選定するNational Heritage Fellowship(日本の人間国宝に相当)に選ばれました。この名誉は、伝統文化を継承・構築し、人々と分かち合う努力を続けてきた、アメリカ国内の最も優れた芸術家に与えられています。

松本氏は2019年2月、103歳でお亡くなりになりました。(2019年3月)