自分自身の歴史を保存するための方法
物を保存する基本的な方法は、誰でも実践することができます。保存することを意識して実行することで違いがでてくるのです!このセクションでは、皆さんが一般に所有している物品に関する基本的な取り扱い方法について紹介します。丁寧に取り扱い、大切に保存することで、皆さんの所有物を末永くもたせることができるのです。写真、手紙、秘蔵のお宝にかかわらず、すべての物には伝えるべき出来事・お話があるのです。ここで紹介する基本に従い、自分自身の歴史を保存してみましょう。
書籍 | 文書とその他保存資料 | フィルムとビデオテープ | 絵画 | 写真 | 繊維製品 | その他の収納物
書籍
書籍は様々な理由で大切に保管されます。初版本であるから、高価で希少価値があるから、自分の特別な思い出や興味に関するものだから、あるいは単に気に入ったからなど、いろいろな理由があるでしょう。いずれにしても、適切に収納し取り扱うことにより、書籍の寿命は長くなるのです。
保存
- 書籍は、高温多湿になる場所を避け、適切な温度と安定した場所に保管する必要があります。乾燥し過ぎる所、暑すぎる所は、書物のページを傷めたり黄ばませる原因となります。また高湿度はカビの原因となるので、保管場所は空気をよく循環させること。特に外壁は湿気を取り込む可能性があるので、壁に直接接触する所には置かないこと。背面がふさがった書棚を使用する場合は、書棚の背面と壁の間を少し空けること。
- 収納場所を常に清潔に保ち、ホコリがないようにすること。
- 書籍(大型サイズのもの以外)は、平積みにするのではなく縦に並べること。その際、書棚に本をぎっしり詰め過ぎないこと。必要であれば、ブックエンドや仕切りを使用すること。書籍は同じ大きさごとに棚に並べること。大型サイズの書籍は平積みにしても構いませんが、 2 、3 冊以上積み重ねるのは避けること。
- 痛みやすい書籍は保存箱や保存用包材に保管するのもいいでしょう。書籍にカバーをかけたり全体を紙で包んだりしないこと。書籍に輪ゴムをかけないこと。輪ゴムがページに食い込んだり、紙が劣化したり、ゴムの跡が残ったりする原因になります。その他の適切な保存方法についてはアーカイバル・カタログ(資材保存マニュアル)を参照すること。書籍が箱の中であまり動かないよう、出来る限り書籍の大きさに合ったサイズの箱を選ぶこと。コンサーベータ(保存技術者)から特注の箱を入手することも可能です。
- 収納する前に、本に挟んであるしおり、紙切れ、ペーパークリップ、押し花、記念品などを取り除いておくこと。これらは紙へのしわや折り目、汚れのもととなり、長期的に周辺の紙まで傷める可能性があります。
取り扱い
- 書籍は常に清潔な手で取り扱うこと。書籍を手にしたり、ページをめくることに支障がなければ、起毛していない綿手袋を着用することも可能です。
- 本の背表紙の上側の(ヘッドキャップ)を掴んで、本を取り出さないこと。必ず両手で本の背表紙の両脇をつかんで本を引き出すこと。本の背表紙がつかみにくい場合は、両脇にある本を少し奥に押し込みつかみやすくするか、本の上側に指をかけ前後へゆっくりゆすること。
- 本をコピーする際には特別な注意が必要です。コピー機に本を平らに押し付けると、本の背表紙を傷めてしまうことがあります。本を全ページコピーする場合、 2 部コピーをし、ひとつは将来のコピー用の原本として保存し、もうひとつは閲覧用に使用すること。これにより利用頻度の高い書籍への劣化や傷みを防ぐことが出来ます。
書籍の保存方法に関する更に詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧下さい:
- 「第4章 伝統的な図書館資料」 (『IFLA 図書館資料の予防的保存対策の原則』エドワード・P.アドコック編集、国立国会図書館翻訳) (PDF)
- 「本の豆知識-正しい管理方法-」 (日宝綜合製本株式会社)
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文書とその他保存資料
ここで紹介する保存方法は、手紙、メモ、公式文書、証明書、日記、出入金明細、旅行手記、広告ちらし等、紙を媒体にした記録資料についてです。
保存
- 安定した温度環境にある保管場所を選ぶこと。水道管や配管の近くは、壁や天井から水漏れの可能性があるので避けること。
- 紙の資料を保存する際は、中性紙フォルダーや保存箱を使用すること。これらはアーカイバル・サプライ・カタログ(資料保存機材のカタログ)から入手できます。フォルダーや保存箱のラベルは、ペンではなく必ず鉛筆で記入すること。
- 文書はラミネートしないこと。一度ラミネートしたものは 2 度と元に戻すことができませんし、後になって変色・劣化を引き起こすことがあります。
- 錆で文書を傷めないよう、保管する前にペーパークリップ・ホチキスの芯・ピンなどはすべて文書から取り除くこと。また輪ゴムやヒモは取り除き、書類をひとつにまとめる場合は、中性紙フォルダーを使用するか、白紙の中性紙2枚の間に書類を挟み込むこと。
- 折りたたまれた文書は、傷めずに開けるのであれば、広げた状態で保管すること。手紙は封筒から取り出し、封筒は日付・名前・住所など手紙に含まれていない役に立つ情報が記されている場合のみ保管すること。
- ひとつのフォルダーや箱に資料を過剰に詰め込まないこと。しわや破れの原因になります。反対に、箱の中でフォルダーがガサガサと動かないようにすること。箱の中が半分空いている場合は、フォルダーを縦に収めることができるように保存用の厚紙で支えを作り、動かないよう保管すること。
- 新聞の切り抜きや酸性度の高い紙を使用した文書は、他の文書と別にすること。酸は周辺の紙に拡散し、劣化を早めてしまいます。新聞の切り抜きは中性紙にコピーし、原本は破棄するよう検討すること。原本を保存する必要がある場合は、アーカイバル・サプライ・カタログ(資料保存機材のカタログ)で入手できる非水性脱酸スプレーを使用することも出来ますが、その結果はまちまちで、大量の収集に効果的とはいえません。
取り扱い
- 文書を取り扱う際は、必ず起毛していない綿手袋を着用するか、清潔で乾いた手で行うこと。
- 文書を取り扱う際は飲食や喫煙をしないこと。またペンやマーカーを使用しないこと。
- メモは別のメモ用紙に取り、書類に直接しるしをつけたりしないこと。メモ用紙を文書の上に置いたりしないよう注意すること。メモを取る際の筆圧で紙に損傷を与えたり、跡を残す可能性があります。
- フォルダーの中に複数の文書がある場合は、元通りの順番でフォルダーに戻すこと。1つの箱の中に複数のフォルダーがある場合は、誤って他のファイルの書類を混入させないよう、一度にひとつづつフォルダーを取り扱うこと。
文書および保存資料の保存方法に関する更に詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧下さい:
- 「古文書の保存装備について」 (広島県立文書館)
- 「古文書の整理について」 (広島県立文書館)
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フィルムとビデオテープ
家庭用ビデオ機器の普及に伴い、多くの家庭で自分たちの生活を動画に収められるようになりました。フィルムやビデオに収めた私達の「動く回想録」は、特別な手入れをすることで、幾世代にもわたり保存することができるのです。
保存
- フィルムやビデオは最も涼しく乾燥した環境に保管すること。直射日光を避けること。暖か過ぎたり湿気のある部屋はカビの発生や劣化を早める原因となります。実際、業務用フィルム保存庫の多くは、温度が華氏 45 度(摂氏約7 度)、相対湿度が25% に保たれるよう設定されています。
- フィルムを入れてあった金属缶や金属リールは、錆びついたり歪んだりすることがあるため、フィルムを劣化させることがあります。従ってフィルムは保存用のプラスチック容器または保存用の金属缶に収納し、金属リールからプラスチックの穴あきリールに巻きかえること。フィルム缶は、歪んだり伸びたりしないよう、平積みにしておくこと。
- 紙のビデオケースは、保護を強化するため、プラスチック製の保存用ケースに入れ替えること。ビデオテープは書籍のように立てて保管すること。ビデオテープの平積みは、変形や歪みの原因となります。長い方の側面を下にして保管すると、テープが伸びたり、カートリッジを傷める可能性があります。
- フィルムやビデオテープに、場所・日付・出来事・登場人物のなどを書いたラベルを付けること。その際、中性紙を使用し、フィルムやビデオテープと一緒に保管すること。
取り扱い
- 頻繁に再生するビデオテープは、視聴用にダビングし、原本を安全な収納庫に保管すること。
- 家庭用フィルムを映写機で繰り返し上映するのは避けること。映写機での上映はフィルムへの負担が大きく、断裂、エッジの損傷、フレーム焼け、チリやホコリ蓄積の原因になります。お気に入りのフィルムは、視聴用にビデオテープや DVD にすることを考えること。
- フィルムやビデオテープは常に清潔な環境で取り扱うこと。卓上や床上でフィルムの巻きを解かないこと。フィルムがもつれたり損傷する原因となります。代わりに、巻き戻し機能のある機器(映写機やビデオなど)を使用すること。
長期保存の際の考慮
- 適切な環境のもとで保存され、プロジェクターで上映されたり、頻繁に使われたりするものでなければ、フィルムは何年も持ちます。ビデオカセットは適切に扱っても、フィルムに比べ寿命が短いものです。どちらにしても、可能な転写技術を探してみるのは賢明であり、そうすることで、利用できる回数を増やせ、同時に動画メディアの寿命を長くすることができるわけです。
フィルムおよびビデオテープの保存方法に関する更に詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧下さい :
- ビデオ:
- 「カセットテープの保存・管理方法」 (国際マイクロ写真工業社)
- 「アナログ録画されたビデオテープの内容を、デジタルに保存し、ビデオテープやビデオCD に保存するマニュアル」 (PDF)
- 「ビデオテープのライブラリー保存について」 (ソニー) (PDF)
- フィルム:
- 「第6章 音声・画像資料」 (『IFLA 図書館資料の予防的保存対策の原則』エドワード・P.アドコック編集、国立国会図書館翻訳) (PDF)
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絵画
絵は種類によって保存方法は異なります。ここでは一般的な方法について紹介しますが、油絵・アクリル画・水彩画など種別の保存方法については下記の参考サイトをご覧下さい。
保存と展示
- 保存は適切な温度と安定した環境で行うこと。温度は華氏65 ~75度(摂氏18.33 ~23.89度)、湿度は40 ~50% が理想的です。キャンバスや木製の額は、温度や湿度の変動により拡大・収縮することがあり、歪みや亀裂の原因になります。
- 直射日光や明るい室内照明に当てると、色褪せしたり、絵の具が剥落したりします。展示会場では、フィルターを用いた間接日光や、はめ込み式のライトなど、薄暗い光または散光による間接照明を使用すること。
- 絵画を、暖炉、食事をする場所、換気口、洗面所、あるいは人の出入りが激しい場所など、汚れや汚染の原因となる可能性のあるものの近くに掛けないこと。
- 塗装、左官工事、スチームクリーニング、燻蒸消毒などを近くで行う際は、保護のため、絵画を壁から外しておくこと。
取り扱い
- 絵画は一度に一枚づつ取り扱い、額縁の両側の垂直部分を持って運ぶこと。額縁の上側だけをつかんだり、絵を掛けるためのワイヤーを持ったりしないこと。必要であれば他人の手をかりること。アクセサリーなどは、絵画の表面を擦る恐れがあるので外すこと。
- 絵画を保管または移動する際、絶対に平積みにしないこと。絵画同士を立て掛けなければならない場合は、表同士、裏同士を立て掛けること。そうすれば絵の表面が裏の掛け具で傷つくのを避けられます。必要であれば、絵のある表側を保護するために硬いボードを使用すること。
保存
- ときには( 4ヶ月から6ヶ月おき)絵画の表面のホコリを払うのもよいでしょう。その際は、クロテンやアナグマの毛ブラシや日本の白毛ブラシなどやわらかい毛ブラシを使用すること。液体クレンザー・ダストクロス・フェザーダスターなど表面を傷つける可能性があるものは使用しないこと。クリーニングする前に絵の具の剥脱や絵具層の浮き上がりなどがないか必ずチェックし、何か見つかったらすぐにホコリ払いを中止して、速やかに修復士に相談すること。
- キャンバスを含む絵画の修復を行う前に、まずは修復士に相談すること。クリーニングの方法や補修技術における間違いは、絵画に取り返しのつかない損傷を与えかねません。
絵画の保存方法に関する更に詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧下さい:
- 「絵画の保存・管理について」 (Gallery Voyage)
- 「版画の保存方法について」 (版画研究会)
- 「紙の保存 (絵画)」
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写真
次の一般情報は写真とネガの両方に適用されます。フィルムやプリント写真は種類により必要な保存方法が異なりますので、特定な素材に関しては下記の参考サイトをご覧下さい。
保存
- 写真は湿気・気温の変化、虫などにより損傷を受ける可能性があります。涼しく、乾燥し、安定した環境に保管すること。虫やネズミを引き寄せないよう、収納場所にホコリや食べかすがないよう清潔に保つこと。
- 光に当てると画像の劣化を早める可能性があるので、展示用に原本の複製を作ることを考えること。
- 写真を保存する際は、アシッドフリーやリグニンフリー(※リグニンは木や植物にふくまれる自然成分)のスクラップブック又は保存専用のポリエチレン製・ポリプロピレン製のプラスチックケース、写真保存専用のポリエステル(マイラー)のケースを使用すること。 ビニール製( PVC :ポリ塩化ビニルを含む)のものや、可塑剤(かそざい)を使ったプラスチック製のものは使用しないこと。中のものを劣化させ損傷する可能性があります。
- フォトアルバムを製作する際、粘着性のある台紙を使用したいわゆる「マグネティックアルバム」は絶対に使用しないこと。写真に永久的な損傷を与えてしまいます。中性紙でできたアルバムか保存専用のポリプロピレン製のアルバムを探すこと。(これらはアーカイバル・サプライ・カタログ(資料保存マニュアル)から入手できます。)アルバムに写真を貼るときは、セロテープや糊を使わず、代わりに保存専用の三角コーナー を使用すること。
- 無傷のまま保存したい古いアルバムやスクラップブックは、ページとページの間に中性紙をはさみ、酸性と思われる写真の表面と表面が接触しないよう保護すること。アルバムとスクラップブックは平積みにし、サイズの合った箱を使用するか、保存専用のヒモでくくって、箱の中で動かないようにすること。こうすることにより、ページが損傷したり、破れたり、綴じ込みが緩んだりすることを防げます。
- 写真の価値の大部分は、識別表示にあるのを忘れないこと。写真の裏に表記しても構いませんが、その際はボールペンやフェルトペンを使用しないこと。非塗工紙に印刷された写真は、写真の中心にペンの跡が写ってしまわないよう縁の部分に、鉛筆で軽く書き込むこと。樹脂加工紙( RC ペーパー)の写真には、保存専用のフィルム用マーカーを使用し、写真の表面がインクで汚れないよう重ねる前に完全に乾かすこと。ネガの余白部分にもフィルム用マーカーを使って表記することができます。また中性紙に記録した詳細情報と合わせ、写真とネガに通し番号をつけることをお勧めします。
- スキャン後、古い写真を破棄しないこと。デジタル化した写真は、原本の代わりとしてではなく、記録保管用の予備として取り扱うこと。デジタル画像はアクセスする際に適切なハードウェアとソフトウェアが必要であることを念頭に置いておくこと。デジタル化したコレクションへの影響を考慮し、技術の発展や変化についての最新情報をとりいれること。
取り扱い
- 手をきれいに洗っていても、私たちの皮膚からは自然の油が常に分泌されており、それが写真やネガを劣化させることもあります。写真やネガを取り扱うときは、なるべく起毛していない綿手袋を着用すること。手袋がない場合は、手が清潔で、ローションなど付けていないのを確認すること。写真やネガを手にとる時は必ず縁を持ち、写真を指し示すとき指先で表面の映像に触れないようにすること。
- 家族のだんらんやその他のイベントなどで頻繁に使用する可能性のある写真は、皆で回して見るための複製を作り、原本は安全に保管すること。
損傷と修復
- 破損・破れ・ひび割れ写真:細心の注意を払い、ポリエステル(マイラー)の袋に保存すること。必要があれば、中性紙の厚紙で補強すること。糊やテープを使って修復するのではなく、速やかに写真専門の修復士に相談すること。
- 汚れた写真やネガ:きれいなやわらかい筆を使い、汚れた写真にブラシをかけること。ブラシは 中央から外側に向けてかけること。液体クリーナーは使用しないこと。
- 貼り付いた写真:修復士に相談すること。貼り付いてしまった写真を無理に台紙からはがそうとすると、写真に取り返しのつかない損傷を与える原因となります。
- 劣化したネガは酢のような臭いを発散したり、ひび、気泡、そりが見られることがあります。劣化したネガは周辺のネガにも劣化を広げる恐れがあるので、保存状態のよい ネガとは別に保存すること。劣化し始めているネガはスキャンするか、複製を作ることを考慮すること。一度劣化し始めたものは、適度な冷たさの場所に保存することで劣化の速度を遅らせることはできますが、劣化そのものを止めることはできません。
写真やネガの保存方法に関する更に詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧下さい:
- 「第5章 写真およびフィルム媒体資料」 (『IFLA 図書館資料の予防的保存対策の原則』エドワード・P.アドコック編集、国立国会図書館翻訳) (PDF)
- 写真の知識・保存方法偏 (Re imaging memories project)
- 「フイルムの保管について」 (PhotoMix Gallery)
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繊維製品
皆さんの家にある繊維製品として、ドレス、毛布、布製の装飾品、礼服、きもの、編み物、制服などがあげられます。
保存
- 衣類、特にウール・綿・麻・絹などといった天然繊維は、直射日光や高温の影響で劣化が早くなります。繊維製品は、相対湿度を 40 ~60 %に維持できる冷暗所に保管すること。乾燥度の高い場所では繊維製品は傷み、反対に湿度の高い状態はカビ類発生の原因となります。
- 繊維製品は、適切な薄葉紙・薄紙をあて、中性紙でできた箱に平積みで保存するのが理想的です。使用する薄葉紙・薄紙は繊維の性質によって変わります。例えば絹やウールの保存にはノンバッファー紙(*中性紙の一種で酸もアルカリも含まない紙。pH 値が7.0-7.5 のもの。)のみを使用し、綿やレーヨンといった他の繊維製品にはバッファー紙(*アルカリを少し含んでいる紙。pH 値が7.5-8.5 のもの。)でもノンバッファー紙でも、どちらでもかまいません。はっきりしない場合はノンバッファー紙を選ぶこと。平たい繊維製品は マイラーフィルムで包んである筒に巻くことも可能です。より詳細な点については、下記のリストを参考にして下さい。
- 繊維製品をどうしてもハンガーにかける必要があるときは、パッド付ハンガーを使用すること。ワイヤーハンガーは絶対に使わないこと。繊維製品は絶対にビニール製のランドリーバックに入れたままにしないこと。時間の経過とともにガスが発生し、繊維製品を劣化させる可能性があります。オープンラックに吊るす場合は、布製のカーテンカバーを作り、衣服にホコリが付かないようにかぶせること。
- 繊維製品を杉の木箱の中などに保管する場合、コーティング処理のされていない部分に直接接触しないよう保存すること。杉材には防虫効果がある一方で、織物を痛める酸性物質を排出するからです。木製家具を使用する必要がある場合は、コーティング処理のされていない表面をマイラーのような保存用保護シート使って、確実に覆うようにすること。
取り扱い
- 繊維製品を取り扱う際は、手を清潔にし、ローションなどが付いていないかを確認すること。アクセサリーなどは布を引っかけたり破いたりするおそれがあるので外すこと。
- 繊維製品を取り扱う際は、タバコを吸ったり、飲食したりしないこと。またペンやマーカーを使用しないこと。
- 繊維製品を取り扱う際は、繊維製品を傷つけないように必要に応じ適切な処理を行うこと。例えば、壊れやすいものを移動させる場合には、保存専用の厚紙を使用すること。
その他に考慮すること
- 虫の発生:虫は繊維製品を完全に駄目にしてしまう可能性があります。虫の発生を防ぐため、保存場所は塵やごみのない清潔な状態を保つこと。虫が発生していないかどうか保存場所を定期的にチェックし、もし繊維製品に虫が発生しているのを見つけたら、速やかに修復士に相談すること。繊維製品に直接殺虫スプレーを直接かけたり、その他の毒性のあるものや洗剤を使用しないこと。
衣類・繊維品の保存方法に関する更に詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧下さい:
- 「絹の特性とお手入れ」 (手染め・手織り草木工房)
- 「和服の手入れ」 (男のきもの大全)
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その他の収納物
自分たちの歴史を詳細に記録するものは、形・大きさの面でさまざまです。皆さんの貴重な所蔵品のそれぞれの特性にあった保存のためのガイドラインを探してみることをお薦めします。
その他の収納物の保存方法に関する更に詳しい情報については、以下のサイトをご覧下さい:
- 「漆器のお手入れ方法」 (株式会社井助商店) (PDF)
- 「掛軸の取扱いと保存の方法」 (有限会社 小沢表具店)
快適な保存環境に関しては以下のサイトをご参照ください。
- 「第3章 保存環境」 (『IFLA 図書館資料の予防的保存対策の原則』エドワード・P.アドコック編集、国立国会図書館 翻訳、第3章) (PDF)
保管・保存に関する詳しい参考文献と情報については、スタンフォード大学図書館の保存部門のプロジェクト(英語)COnservation OnLine (CoOL) のサイトをご覧下さい。
そのほかの参考文献
- 「保存修復、絵画技法など関係書籍」 (中塚祐松堂)
- 『古書修復の愉(たの)しみ』(アニー・トレメル・ウィルコックス著/市川恵里訳、白水社)
- 『古文書の補修と取り扱い』 (中藤靖之著 神奈川大学日本常民文化研究所監修)
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