日系コミュニティとジョージ・タケイ氏

投稿者:editor 日付:木, 06/05/2008 - 16:55

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日系コミュニティとジョージ・タケイ氏

橋本 裕美子

前回のコラムでクリスティ・ヤマグチがセレブリティ社交ダンス番組「Dancing with the Stars」で大健闘していることをお伝えしたが、5月27日の最終回で見事優勝。「男性に比べ目立つことが難しい」(審査員キャリーアン・イナバ談)と言われるダンスにおいて、第1シーズン以来、実に6年ぶりの女性優勝となった。

クリスティやキャリーアンのように、こちらのテレビでも日系人セレブの姿をしばしば見かける(中国・韓国系はもっと多い)。その筆頭格には全米日系人博物館の前理事長でもある、日系2世のアクター、ジョージ・タケイ氏が上がるだろう。「スタートレック」のスルー(日本ではカトー)役で全米に知られるようになったのが、1960年代の後半。他にも「ハワイアン・アイ」「トワイライトゾーン」「スパイ大作戦」など日本でも放送されたテレビドラマに数多くゲスト出演。最近では「ウィル&グレイス」や「HEROES」に特別ゲスト/準レギュラーで登場、アメリカだけでなく、日本にも再びその存在感を知らしめている。

余談になるが、5月にカリフォルニア州最高裁で同性婚が容認、タケイ氏も長年のパートナー、ブレット・アルトマン氏との婚約を発表した。人気女性トークショーホストのエレン・デジェネレスも同時にパートナーの女性と婚約したのだが、タケイ氏とエレンは、この同性婚の“アイコン”的存在として全米で注目を浴びている。

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話が前後するが、そのタケイ氏が4月にバラエティ番組「Secret Talents of the Stars」(CBS)に主役級の扱いで出演した。タケイ氏はカントリー歌手に一日入門、芝居のように易々とはいかなかったが、ステージで習ったばかりのカントリーソングを披露していた。この番組で驚いたのは、タケイ氏がカントリーとの出合いとして、日系人強制収容所時代のタケイ一家の写真を見せたことだ。

「私とカントリーミュージックとの出合いは、強制収容所の鉄条網の中でした。あるとき、両親がラジオを持ってきたのです、そこで流れていたのがカントリーミュージックでした」

保存用にきれいにコピーされた収容所の写真を公開するタケイ氏。アメリカのバラエティ番組で収容所のバラック小屋の写真を見たのは初めてのこと。ニュースやドキュメンタリーなら別だが、まさかバラエティ番組で見るなんて、今のアメリカでは考えもしないことである。タケイ氏のスターパワーがなせる技なのだろう。

放送から数日後、偶然タケイ氏に会う機会があり、「(収容所の写真には)驚きましたよ」と声をかけた。タケイ氏は「どうしても見せたかったのです。だから出演を引き受けたのですよ」。メディアの使い方を熟知した、さすが大ベテラン。同時にその“Japanese American”としてのプライドにはいたく感銘した。

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日系コミュニティへの協力を惜しまない、ハリウッドの日系人セレブには、タケイ氏の他、タムリン・トミタ(「ベストキッド2」「24」)、若手のケイコ・アゲナ(「ギルモアガールズ」)、マイク・シノダ(ロックバンド・リンキンパーク)、さらに昨年亡くなったマコ(「パールハーバー」)らが思い浮かぶ。すべての日系人セレブが、日系コミュニティに友好的なわけではない。日系とは距離を置き、白人社会ばかりにしか目がいかない人もいるらしい。誰なのかは分からないけれど…。

戦前の早川雪舟に始まる日系人のハリウッドでの活躍。雪舟もLAリトル東京で芝居を見たのが、ハリウッド入りするきっかけであったと言われるくらい、日系社会と彼らの縁は深い。派手やかな彼らは、コミュニティの花であり、活気を与えてくれる。タケイ氏に続く、コミュニティに協力的な日系人セレブの出現に期待したい。そして私たちコミュニティの一員も、彼らを応援したいものだ。


橋本 裕美子(はしもと・ゆみこ): 兵庫県神戸市生まれ、97年よりロサンゼルス在住。日系コミュニティ紙に編集者として勤務、ローカル情報を中心に記事も執筆する。日本にいたころは、第二次世界大戦時の強制収容所はおろか、“日系人”という言葉さえ、耳にすることもなかった。「日系人の存在を少しでも身近に考えてもらえれば」。その思いでこの「ディスカバー・ニッケイ」のサイトに参加させていただいています。

© 橋本 裕美子