第11回 シアトルからタコマへ
ワシントン州のシアトルやタコマが日本人移民の町として栄えたのは、サンフランシスコやロサンゼルス同様に、日本からの定期航路が開けた地であったことがその大きな理由である。
日本から北米への航路は1896(明治29)年、日本郵船が香港—日本—シアトル間に定期航路を開いたのがはじまりだった。同年8月1日に神戸を出港した三池丸が横浜を経由して、途中臨時でホノルルに寄り、8月31日にシアトルに入港した。
シアトルへの航路を開いたのは、シアトルを起点にした大陸横断鉄道と提携することで東海岸から貨物を船便で太平洋に輸送することをねらったからだった。また、サンフランシスコへはすでにアメリカの船会社が航路を開いて…