『若人』 ―帰米二世文学の芽生え- その3/5
>>その2
2. 『若人』創刊の背景 -比良男女青年会の活動-
収容所への移動が完了してほどなく、帰米二世たちが集まって帰米男女青年会が発足した。急激な環境の変化によって落ち着かない生活を送っていた若者たちも、収容所生活を少しでも楽しいものに変えようと考え始めた。そして親睦会という形で始まったのがこの会であった。若者の中には、将来に絶望して非行に走り、ぞろぞろと群れをなして所内をのし歩き、顰蹙(ひんしゅく)をかう者もあった。帰米二世たちはアメリカの民主主義を信じていたにもかかわらず、市民である自分たちを守ってくれるどころか、その自由を奪って収容所へ入れたアメリカに絶望していた。しかし収容所内で秩序を守り、この時期をなんとか有…