第十二話(後編) 居場所のない子どもたち
あとわずかでブラジルに戻るサヤカは帰国の準備を始めた。家族へのお土産はまだ揃っていなかったが、それよりも気になることがあった。
それは、真夏の日に公園で出会った小さな女の子と、初めて耳にした「日本のブラジル人学校」のことだった。ブラジルの小学校で教えていたこともあって、サヤカはその学校を訪ねてみた。
金曜日の午後、ちょうど、子どもたちが帰る時間だった。外には送迎バスが待っていた。
ブラジルでは送迎バス費用は保護者負担なので、多くの子どもは歩いて帰るしかなかった。サヤカは日本のことも知りたかったので、校長に訊いて見た。「ここでも、送迎バス代は保護者負担で、月謝と教材と送迎バス代は別々に払ってもらっています。デカセギには大金…