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デカセギ・ストーリー

第二十五話(前編) トシアキの初めてのCARNAVAL

トシアキは内気な子供だった。近所の子たちが原っぱで、凧揚げをしたり、ボールで遊んでいても一緒に遊ばず、家でおじいちゃんが作る竹細工を手伝っていた。

中学3年生のとき、父親が病気で亡くなり、長男だったトシアキは祖父の代から続いている家業の八百屋を手伝うことに決めた。学校は午前中だったので、授業が終った後夜遅くまで働いた。高校は夜学に進学した。夜明けから午後6時まで、汗まみれで働き、それでも授業には欠かさず出席した。

金曜日は、同級生の半分以上が授業をさぼって、学校の周辺に集まって流行の歌を歌ったり踊ったり、「青春を楽しもう」と陽気に騒いでいたけれど、トシアキは、それに見向きもせず、たった1人で授業を受けることもあった。おかげで、3年後、無事に高校を卒業した。大学へ進むことも考えたが、12歳の妹と10歳の弟の学業を優先し、大学進学をあきらめ仕事に力を尽くすことにした。

10年後、父から継いだ八百屋は立派な食料品雑貨店になっていた。特に日本食品を置いている店は珍しかったので、ブラジル人の客もどんどん来るようになった。

そんなある日、油揚げのパックを持った若い女性がトシアキの目の前に現れ、「これって、このまま食べられるの?」と尋ねた。

「まず、湯通しして、それから・・・」とトシアキが言い出すと、今度は福神漬けのビンを手に取り「わあ、美味しそう!」と女性はトシアキに笑顔で言った。

「そう言われると嬉しいです!どうぞ、召し上がってください」と試食用の福神漬けを小皿に出した。

レジに居た母親は息子のやりとりに気づいた。シャイな性格のトシアキが、お客さんに親しくするのを見るのは初めてだった。

以後、女性はたびたび店に来るようになった。名前はソラヤで、父方の祖父が日本人だと言っていたが、東洋人の顔つきはしてなかった。

トシアキはソラヤのことが気に入った。ほがらかで、話がとても上手で、トシアキの母親を「Mãezinha1」と呼び、日本料理を覚えようと一生懸命だった。そして、トシアキとソラヤが付き合うようになると、周りの人は自然なことと受け止めた。

ソラヤの誕生日は3月12日だった。二人は、その日に婚約祝いのパーティーをしようと張り切っていた。

誕生日の約1ヵ月前の2月7日はCARNAVAL2;の最終日だった。カーニバルはソラヤが大好きな祭りだ。ソラヤはだいぶ前からトシアキを、街の中心部で行われるサンバチームのパレードを見に行こうと誘っていた。

トシアキは大勢でわいわい騒いだり、人混みに行くのは苦手だった。サンバにもぜんぜん興味がなかった。ちょうどそのとき、日本に長年住んでいる叔父が家に来ていたので、「ソラヤはたくさんの友達と行くんだから、僕は居なくてもいいじゃん」と断り、叔父と過ごすことにした。

しかし、ソラヤが出かけてまもなく電話があり、ソラヤと友人3人が車にひかれて病院に運ばれたと知らされた。カーニバルにはよくある飲酒運転のせいだった。

一週間後、ソラヤは亡くなってしまった。トシアキはソラヤを忘れられず、もう誰とも結婚はしないと、ますます仕事だけに精を出した。

時が経ち、店は弟と共同経営になった19歳で日本へ行ったトシアキの弟は、16年間デカセギで働いて貯めたお金を店に投資したのだ。店は順調だったそんなある日、トシアキは、自分より商売に向いている弟に店を任せ、思い切ったことをすることにした。

後編 >>

注釈 

1.おかあちゃん

2.カーニバル

 

© 2016 Laura Honda-Hasegawa

Brazil dekasegi fiction nikkei in japan

Sobre esta serie

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。