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スピット・アンド・ポリッシュ―先人たちの歴史と向きあう

JAリビングレガシーでは昨年11月3日、「スピット・アンド・ポリッシュ」とよばれるイベントをおこないました。

「スピット・アンド・ポリッシュ」とは徹底的に磨き、徹底的に綺麗にすることを意味する言葉です。JAリビングレガシーは毎年、日米文化会館(JACCC)に隣接する戦死者の名前が刻まれた記念碑を綺麗にするイベントをおこなっています。そのイベントが「スピット・アンド・ポリッシュ」です。

写真提供:JAリビングレガシー

このイベントの当日、JAリビングレガシーの執行部役員と参加者たちが朝の10時から正午にかけて、記念碑に刻みこまれている戦死者の名前をひとつひとつ綺麗に磨き上げました。そして、徹底的な清掃作業を終えた参加者たちは、JAリビングレガシーが用意した昼食に舌鼓をうち、おたがいの親睦を深めました。

「スピット・アンド・ポリッシュ」は、公共物を綺麗にする行事なので、いわゆる社会奉仕活動の一環であると思われがちです。しかし、自らの命を犠牲にした多くの若い人々の存在を理解することによって、先人への感謝の気持ちをあらわすと同時に、日系社会の一員であることを自覚して、日系社会の将来に貢献することと、その歴史を語りつぐことの大切さを理解してもらうことに、このイベントの意義があります。

この行事にには、戦死者につながりを持つ人々も参加しています。このイベントを通じて参加者たちは日系社会のために、そしてアメリカという「お国」のために戦った「英雄」とふれあうことが出来るのです。

過去と向きあうことの「辛さ」

「スピット・アンド・ポリッシュ」とは異なるイベントではありますが、数年前、わたしは上村さんに誘われて戦死者を追悼する式典に参加した際に、チョークやチャコペンのようなものを用いて、記念碑の「英雄」の名前をトレーシングペーパーに写す作業をしたことがあります。

この作業は、ひとりひとりの英雄の生涯に特別な「思い」を寄せる機会でもあります。作業をしているあいだ、わたしはひとりだけの世界にこもり、彼らについて色々な「思い」を寄せていました。

彼はどこで生まれたのだろうか?
どんな家族がいたのか? どこの学校に通っていたのか?
どんな趣味をもっていて、どんな特技をもっていたのだろうか?
どんな将来への夢をもっていてたのだろうか?
なぜ彼は兵隊に入ったのだろうか?
そして、どんな思いで壮絶な最期を遂げたのだろうか? 

トレーシングペーパーに彼らの名前を写しているひと時は、特別なものです。それは、短い時間ではありますが、大変長く感じるものです。

しかしながら、悲しいことに、トレーシングペーパーに名前を写しおわると、わたしは現実の世界に引きもどされてしまいました。そして、彼らが壮絶な最期をとげて、帰らぬ人であることに気づかされるのです。

彼らはもう帰ってこない。二度と、わたしたちの前に姿を表すことはない。彼らの語りに耳をかたむけることは出来ない。

そして、理不尽とでもいうような、不都合とでもいうような「現実」と向きあわされ、心のなかには、悲しさやむなしさ、そしてとても辛いものが湧き上がってきました。まるで、大切なものを失ったときと同じような気持ちです。後になってそのことを思い出すと、あまりにも悲しくなって、涙が出そうになるのです。

このような感情は、「スピット・アンド・ポリッシュ」で彼らの名前を磨いているときも、感じることができるものです。これらの作業には、心身に訴えかける「何か」があります。それは、過去の歴史と向きあうことの「辛さ」でもあります。

過去の歴史に向きあうことは「辛い」ことですが、真摯な態度でそれに向きあうことは、「良い未来」をつくることにもつながります。それは、日系社会と日本社会の双方において深く理解されています。

写真提供:JAリビングレガシー

日系人の歴史を理解する「機会」を逃さないでほしい

日系社会においては、さまざまなバックグラウンドをもつ人々に日系人の歴史を理解してもらいたいという「願い」や「思惑」があります。この記事を読んだことを機会に、日本人が積極的に日系社会にアプローチをすることを、わたしは願っています。

「スピット・アンド・ポリッシュ」は日本人が日系人を知るための、「アクセスしやすい機会」であると思います。なぜならば、この行事は過去の歴史と向きあうための行事のみならず、お互いの親睦を深める行事でもあるからです。

現在の日本では日系人の歴史にたいする関心が高まっているので、日本人がこのようなイベントへの参加を通して日系人の歴史を理解することは、日系社会にとっては歓迎したいことであると思います。また、このような行事に参加される日系人のなかには、日本語を話すことの出来る人々もいますので、言葉の心配をせずに参加することが出来ます。

小東京を体験してほしい!

最後になりますが、「スピット・アンド・ポリッシュ」について触れましたので、小東京を体験する機会を持つこともお勧めします。

小東京は日本国内にある中華街のような、観光に特化した地域ではありません。多くの日系人が小東京の周辺地域や羅府の郊外に住んでいますが、いまだにそこで生を営む人々は多くいます。大きく変化しつつある今日の日系社会ではありますが、いかなる社会の変化が起こっても、小東京は日系社会における「心の故郷」でありつづけます。「スピット・アンド・ポリッシュ」は、その歴史の一端を垣間見る、ひとつの機会にすぎません。

「スピット・アンド・ポリッシュ」のイベントに参加できなくとも、小東京には様々な日系人の歴史と向き合うことのできる場がたくさんあります。全米日系人博物館を訪れたり、今回紹介した文化会館に隣接する記念碑や、博物館に隣接するゴー・フォー・ブローク・モニュメントなどへ足を運ぶ機会をもつのも面白い体験かと思います。

© 2013 Takamichi Go

JA Living Legacy JACCC little tokyo memorial spit and polish veterans