Descubra a los Nikkei

https://www.discovernikkei.org/es/journal/2012/09/03/

ヴィジター・ノートからうかがい知るマンザナー

マンザナーでのインターンシップが終わってから7年、日本に生活の拠点を移した今でもわたしは定期的にマンザナーを訪れるようにしています。最後にわたしがマンザナーへ戻ったのは2年前のことですが、そのさいにマンザナー資料館にある「ヴィジター・ノート」に目を通す機会を得ました。

ヴィジター・ノートとは、来館者が自由にコメントを残すことができるノートのことで、日本の博物館ではあまり見かけませんが、アメリカの博物館では良く見かけます。来館者のコメントに目を通すことで、彼らが何を目的にやってきたか、何を学んだか、何を感じたかなどを知ることができるのです。

マンザナーのヴィジター・ノートを見ると、そのコメントの多くは,英語で書かれたものでしたが、日本語で残されたものもいくつかありました。実際に書かれたコメントを紹介しながら、日本人にとってマンザナーがどのような場であるのか、どのような役割を果たすことができるのか、考えていきたいと思います。

平和の尊さを学ぶ

ヴィジター・ノートに残された日本語のコメントで一番多かったものは、平和に関するものでした。

  • いつまでも平和でありますように
  • 世界平和を祈っています
  • 日本もアメリカも平和でありますように
  • 今後、このようなことが二度と起こらないことを望む
  • 世界の平和をあらためて考えさせられました
  • 平和が一番

これらの感想を見ると、戦争がもたらした悲劇は、どのようななものであれ二度と繰りかえすまいと心に深く誓った日本人にとって、マンザナーは平和の尊さを身をもって学ぶことの出来る場であることが分かります。

遠い日本から、はるばるマンザナーに足を運んだ日本人がいるという事実は、マンザナーでインターンをしていたわたしにとってはとてもうれしいことです。これからも,一人でも多くの日本人がマンザナーを訪れてくれることを望みます。さらに欲を言えば,修学旅行などでアメリカを訪れる学生さんたちも、マンザナーを訪れ「平和」の意味することを学んでくれればと思います。

また、マンザナーを訪れた日本人には、一歩進んで「差別や偏見のもたらす悲劇」についても考えてほしいとわたしは思います。日系人だけでなく、アメリカの歴史においては,差別や偏見を克服するための「闘い」が、ひとつのメイン・テーマとなっています。マンザナーにみる日系人の戦時中の体験を知ることで、社会にはびこる差別や偏見を克服するためには何が必要であるのか、またこれらの体験を日本社会へどう反映させることができるのか、考える機会を持つことができると思います。特に、最近は日本でも「人権の尊さ」について活発に議論されています。マンザナーという地で日系人へ起こったことを学ぶことで、「人権の尊さ」についても考えることができるのではないでしょうか。

日系人の「歩み」について学ぶ

マンザナーのヴィジター・ノートに残された日本語のコメントのなかで二番目に多かったのが、日系人の歴史を知らなかったという主旨のコメントです。

  • 日本人としてここへ来て、多くの困難があったことを知りました。このようなことを忘れずに心に留めて行きたいです。
  • 何も知識も無く立ち寄ったマンザナー、戦後生まれの私にとっては遠い昔の話だと思っていましたが、写真、音声、当時の記録、良くも悪くも考えさせられました。
  • 日本人として知らなかったことが多々あることに気がつきました。
  • アメリカで日本のことが学べて大変光栄です。
  • アメリカにいた日本人の悲しみが伝わってきました。
  • 日本人としてアメリカに住みながら、これまで戦争の歴史などをアメリカで学ぶ機会がありませんでした。
  • 日本からの留学生です。日本では学ぶことの出来ないアメリカから見た戦争の歴史を感じることが出来て大変うれしくおもいます。
  • このようなことがあったなんて、遠い日本にいる私には想像がつきませんでした。
  • 日本人として知らなかったことが多々あることに気がつきました。
  • 日本人でありながら、このような歴史を知らなかったことを恥ずかしく思います。

これらのコメントから、日本人の多くは、日系人について学ぶ機会がなかったということが分かります。日本における歴史教育においては日本国内の歴史が優先され、日系史について触れられることはほとんどありません。彼らがどのような理由で日系史に興味をもつようになったのかまでは知ることができませんでしたが、マンザナーで学びたいことを学ぶことが出来たという「喜び」を見ることが出来ました。

「ごめんなさい」の意味すること

ヴィジター・ノートのコメントに、非常に興味深いものがありました。それは・・・

「ごめんなさい」

筆跡をよくみると、小さなお子さんが書き残したもののようでした。その子が自発的に書いたのか、親に言われて書いたのかは分かりません。しかし、この「ごめんなさい」というあいまいな言葉が、どのような意図を持って書かれたものなのか、わたしはとても気になりました。コメントを残した人の考えを代弁することはできませんが、わたしなりにいくつかの解釈をしてみました。

  1. 強制収容を含めたさまざまな人権侵害をおかしたアメリカ政府による日系人への謝罪を代弁するための「ごめんなさい」
  2. 日系人を差別したアメリカ市民として日系人に対しての謝罪を代弁するための「ごめんなさい」
  3. 日本人が戦争を始めたことで、同じエスニシティを分かちあう日系人が強制収容されたことにたいして、日本人として日系人に対する謝罪の意味をこめての「ごめんなさい」

実際のコメントの意図はともかく、わたしはこの「ごめんなさい」の意味を考えているうちに、日本人にとって、日本人とは異なった戦争体験を経た日系人のあゆみを学ぶことの「難しさ・複雑さ」を実感しました。どのような「アプローチ」をすれば日本人にとって日系史が学習しやすいものになるのでしょうか。ひとつのヒントとして、わたしは日本社会においても日系人が活躍するようになったこととの関連性を見出そうとしました。さらには、どのようなことをすれば、日本人が「歴史観の多様性」を理解することが出来るのかということについても考えてみました。まだ、これといった結論には達していませんが、「百聞は一見にしかず」ということで、マンザナーを訪れることに意義があるのだと、わたしはおもいます。

「有意義な場」でありつづけるために

ヴィジター・ノートに書かれたコメントに目をとおすことで、日本人にとって、マンザナーが過去の歴史を学ぶための最良の場であるということを確信しました。残念ながら、マンザナーを訪れる日本人の数は、けっして多いとはいえません。ロサンゼルスやサンフランシスコといった都市部の観光地からかなり離れた、不便な場所に位置しているからです。しかし、マンザナーが、歴史の複雑さや平和の意味、人権の尊さを学ぶためにも、時間をかけてでも訪れる価値があるということを、ヴィジター・ノートに残された日本語のコメントに見ることができました。

マンザナーにとっての今後の課題は、いかに日本人にアピールし、多くの日本人に訪れてもらえるかだと思います。一人でも多くの日本人がマンザナーを訪れることで、日系人の戦時体験から何かを学び、差別偏見のない社会をつくるアイデアを得てくれればと思います。

© 2012 Takamichi Go

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Acerca del Autor

En la Universidad de Orange Coast, la Universidad Estatal de California en Fullerton y la Universidad de la ciudad de Yokohama, estudió la historia de la sociedad estadounidense y la sociedad estadounidense de Asia y Oceanía, incluida la historia de la sociedad estadounidense de origen japonés. Actualmente, aunque está afiliado a varias sociedades académicas, continúa investigando de forma independiente la historia de la comunidad Nikkei, particularmente para "conectar" la comunidad Nikkei y la sociedad japonesa. Además, desde la posición única de los japoneses con vínculos con países extranjeros, expreso activamente mis opiniones sobre la coexistencia multicultural en la sociedad japonesa, al tiempo que hago sonar la alarma sobre las tendencias introspectivas e incluso xenófobas en la sociedad japonesa actual.

(Actualizado en diciembre de 2016)

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