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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

移民送り出し国の渉外家事問題とは

外国人が大量に労働力及び生活者として移住してくると、一つの地域社会にさまざまな影響が出てくるし、移民を受け入れた国の法制度やその運用にも少なからず影響を及ぼす。また、複数の国をまたがって利害関係が絡んでいるときは通常では想定できない対応を迫られることもある。ということは、外国人の出身国いわゆる移民送出し国側でも同種の課題が発生しているのだ。同胞が海外で居住することで国境を越えたさまざまな法律行為が発生し、その効果が本国にも及ぶのである。身分登録関係、財産の管理と処分、判決の承認等、多岐にわたる。

2009年8月にペルーを訪れた際、リマで家庭裁判所の判事や調査官、女性省高官、外務省の海外同胞支援局の調査官、検察官、家事問題を専門にしている弁護士等と会合する機会を得た。そこで、筆者は、日本でのペルー人移民について概要を話すとともに、市役所や家庭裁判所、領事館で発生している主な案件等についても述べた。意見交換の場では、日本の戸籍制度やその関連法、市役所の仕組みと戸籍実務、家庭裁判所の渉外戸籍事件の事例・判例、離婚後の面接交渉権や養育費、未成年の海外渡航に対する非親権者の許可の有無等について質問があった。リマ家庭裁判所では、実際日本で協議離婚した夫婦の離婚認証手続きも多数扱っており、当初は非訴訟的に日本で受理・認定された離婚をどのように処理して良いか分からなかったという。その理由は、南米諸国では別居・離婚はすべて裁判所が介入し、厳格な手続きを要求するからである。日本のように市役所に出向いて「離婚届」に署名するだけで離婚が成立するという仕組みは存在しないのである。

ペルー女性青少年省(MINDES)とFOPAN-PERU(ペルー日系弁護士・法律家フォーラム)が企画したセミナー。2009年8月、リマ高等裁判裁判所。カトリック大学法学部国際私法カンデラ教授、MINDES女性部長、リマ高等家裁カプニャイ判事、筆者。(写真:筆者提供)

ペルーも総人口の一割弱に相当する約250万人が海外へ移民しており、そのうち100万人がアメリカ、それぞれ15万人がスペインとアルゼンチンで、それぞれ11万人がベネズエラとイタリアで、そして6万人が日本で居住している。それから米州開発銀行の推計によると、この移民の母国への年間送金額は30億ドルに相当し、約50万世帯がその恩恵を受けており、近年では、一人当たりの平均所得がペルーより多少高い他の南米諸国への出稼ぎ又は一時移住も増えているという。ペルー外務省の領事事務報告によると、東京総領事館の手続き申請件数は年間5万件超であり、これはブエノスアイレス、マドリード、マイアミ、ミラノと同等の件数である。東京総領事館(約2年前に名古屋総領事館も開設しているので東海、関西、中国地方在住のものは名古屋で手続できるようになった)のケースでは、ほとんどがすでに正規の在留資格を得ているため、旅券の更新や出生・婚姻届の申請が主であるが、他国(スペインやアルゼンチン等)ではオーバーステイ状態の同胞が多く、領事館にまで出向いて旅券や身分証明書(DNI)の更新や出生・婚姻届けをしていなかったり、書類に不備があった時に追加手続きの費用を負担できないということも多い。

いずれにしても、彼らは移住先で正規の滞在許可がなくとも家庭を築いたり、子供を設けたり、中にはある程度の財産を形成したりする。夫婦関係も内縁だったりすることも多く、子も非嫡出子又は婚外子であったりする。当然、認知問題や養育費請求事件も多くなる。

そして不安定な夫婦関係のなかで深刻なのが、もう片方の配偶者の許可なく海外又は本国に未成年の子を連れ出してしまうという問題が発生しているということである。日本人でも、国際離婚した女性が親権や面接交渉権に合意しているにもかかわらず、その決定を無視して外国人である元夫が子を不法に国外に連れ去ってしまったケースも増えている。また、海外で離婚した日本人女性が、無断で子を連れ去ったとして夫の出身国で誘拐・拉致罪で刑事告訴されている事例もある

日本に在住しているペルー人やブラジル人にもそうした事例は存在する。日本の場合、かなり簡単に未成年者と海外渡航できるということがそうした状況を助長しているが、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」に加盟していないことも子の保護に影響している。

移民を受け入れるということは、外国の労働力を受け入れるというだけではなく、生活者として、そしてさまざまな法律行為を行う一人の人間として受け入れるということであり、単なる国内法の整備だけではなく、なかには条約に加盟し批准した内容に基づいた様々な取決めを守る必要もある。

リマの会合は有意義であった。移民を送り出した国としてもさまざまな渉外法務的な課題を抱えており、今後もそうした研究を進めながら両国政府及び関係行政はもっと情報交換と交流を深める必要があると実感した次第である。特に渉外家事問題は案外深刻で数も多い。理由としては、ペルーや他の南米諸国では夫婦関係の半分近くが内縁であり、当然そうした関係のもとで生まれた子は非嫡出であるが、日本は基本的に正規の婚姻、嫡出子を前提に諸制度が機能しているため、国境を越えた権利関係のやりとりは更に複雑になっている。南米諸国の家族法、親族法等をもっと研究する必要があり、制度的にどのようにそうのような人々を保護しているのかも把握する必要がある。

2009年8月、カトリック大学法学部国際私法講座、カンデラ教授の講義で筆者も参加。 (写真:筆者提供)

注釈:
1. 渡航前に、在京ペルー総領事館でヒヤリングをし、担当者は次のように話している:「多くの課題は正規の手続きをして対応すれば解決できるが、当然時間と多少の費用はかかる。いつも問題になるのは、手続きの時間であり、日本側とペルー側の時間のテンポが異なり、同時進行で所定の手続きや裁判を行っても完全に終了するには相当の時間がかかることはやむを得ない。離婚が多いようにみえるが、本国の離婚率と同様であり、むしろ内縁関係で発生する非嫡出子の誕生及びそれに伴う養育費請求、認知問題、内縁解消又は離婚に伴う親権の指定及び養育費や負債処理の問題の方が深刻である。最近は、相続問題も目立ってきており、本国に資産があったり、日本に負債がある場合の遺産処理の問題もある。手続きがスムーズにいかないのは、多くの場合当事者が提出する書類に不備があったり、関係書類や証拠が不足していることが多いからである。また、虚偽の証言や偽装身分等も問題を複雑にしている。ペルーで離婚するための委任状申請件数(公正証書)は2008年6月から2009年同月まで間164件であり、全体の41%を占めている。その他は、財産管理や子弟監護の委任状である」。2009.7.16に実施したヒヤリングであり総領事自らが対応してくれたのである。

2. この統計はペルー外務省同胞海外居住局が推計したものであるが、一部は不法滞在になっているため移民先の国勢調査の統計と一致しない。政府は200万人と推計しているが、研究者の間では250〜300万人というのが定説である。
http://www.rree.gob.pe/portal/mre.nsf/Interior?OpenAgent&DB4839D321A2CC83052570D600173B71|2

3. ペルーの現平均所得は4.500ドルぐらいであるが、チリが14.000ドル、アルゼンチンやブラジルが8.000〜9.000ドルで、ベネズエラが11.000ドルである(2009年前半の統計)。

4. ペルーの内縁関係の夫婦数の推定は全体の40%だとされている。アルゼンチンでは51%がそうした非正規の夫婦(400万世帯)で、出生の54%は非嫡出子、婚外子、一人親の子である。日本で生まれたペルー人やブラジル人の子も30%以上が非嫡出子である(厚生労働省人口動態統計)。日本人の婚外子率は2.11%であるが、カナダやスペインが26%、アメリカが37%、フランスが48%でスウェーデンが55%である(2004/2005年のデータ出所: La Nación, 10 de agosto del 2004, edición digital. http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/1520.html

5. 国際離婚紛争〜親権や面接権の議論を、朝日新聞社説、2009.10.20
  国際結婚破綻〜「娘と帰国するしかなかった」、朝日新聞、2009.11.24

6. この条約は81カ国が加盟しており、国際離婚の際子供が国外に連れ去られたりした際元の居住国に戻すということを原則とし、加盟国政府は返還の協力義務を負っている。年間4万件に上っている国際結婚の日本はこの条約に加盟し、批准することが求められている。http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20051206-51.html 

© 2010 Alberto J. Matsumoto

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Sobre esta serie

日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。