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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

日系就労者に厳しい経済・労働環境には冷静な分析を

2008年10月頃から、今回の世界経済・金融危機のニュースが頻繁に流れるようになり、第4四半期の新聞記事等を見る限り、人員削減、派遣切り、そして正社員の賃金・ボーナスカットやリストラまでもがささやかれ、幹部職員の早期退職という見出しも見られた。特に輸出向けの自動車、自動車部品、電子・電器産業という製造業への影響が大きく、2009年4月頃までには非正規雇用50万人の契約が解除されるという予測もでた。日系就労者の半数以上は、これらの業種の下請けや関連工場で働いており、それも派遣会社や請負会社という間接雇用であるため、解雇された場合、社会的・心理的影響も大きいことが懸念された。

数年前には労働者派遣法が改正され、その結果、それまで禁止されていた製造業等への派遣も対象になり、大幅な規制緩和となった。しかし、監督行政(職安)の指導も強化され、社会保険や労働保険への加入も増え、日系就労者を雇用しているcontratista又はempreteira(スペイン語及びポルトガル語で派遣、請負会社を意味する)も「ブラック(非正規労働というだけではなく、その労働者の存在を届け出ず労働保健や社会保険に加入させていない状態)で雇うことが難しくなったのである。

外国人労働者の派遣や請負を専門にしている企業は製造業、食品加工業、建設業で、これまでかなりの実績を積み重ねてきたが、この経済危機を機に新たな業界開拓を迫られ、経済状勢が悪化しても慢性的な人手不足にある職種への派遣先を試みている。老人介護等の人材ニーズは相変わらず高いのだが、介護ペルパーの資格や日本語のコミュニケーション能力が求められ、日系就労者の多くはその水準を満たしていない。

2009年度の予算又は2008年度の補正予算が承認されれば、多くの公的資金がインフラ整備という公共事業や、農業活性化事業、エネルギー産業(それもソーラーや風力等)に注ぎ込まれるとされているが、一時的とはいえ、全国各地で事業が復活又は継続することになり、雇用の機会も増えると見ている。

また、日系就労者は来日当初から不安定な雇用形態によって就労しており、流動的な側面は経験しているだけではなく、相当な「免疫」をもっており、一般の日本人労働者より反応も早く家族を養うためには日本国内いかなるところでも単身赴任で職を求めて移動する覚悟は出来ている。

こうした厳しい労働・経済環境の中でも、日系ラティーノたちは案外冷静な対応をしており、帰国している人は非常に少ない。一部は派遣会社のアパートから退去を迫られ一時的に路頭に迷ったものもいるが、地元の支援団体(同胞団体やカトリック教会等の宗教団体)や行政の素早い対応(公営住宅の提供等)、そして日本人関係者のサポートによって住まいも確保し、互いに助け合いながらこの困難を乗りこえている。ペルー人の場合は親せきの家に一時的に居候する者も出たが、地方(北陸、東北、四国)の漁港や加工工場に「出稼ぎ」に行ったという報告もある。

多くの日本及びエスニックメディアはブラジル人の抗議デモや職を失った哀れな姿を報道したが、そうした状況に陥ったものは非常に少なく、「100年に一度の危機」と騒がれながらもその影響は限定されているのである。

ペルー人の場合、2009年に入ると、本国を含む中南米諸国でもこの世界的な経済危機の影響が出てくることを察知し、その影響がさほど多くないと言われつつも、海外に移住した者への雇用まで確保されるとは到底思ってはいないのである。

一部の日系ラティーノは、「本国には暖かく迎えてくれる親族や友人がいる」と言うが、経済的に困った者を長期的に受け入れてくれる経済的土台は実際ない。だから、日本で就労しているのである。

また、日本の最大輸出先でもあり、今回の危機の発祥地でもあるアメリカの失業率は7.5%であり(その後さらに拡大)、欧州は10%を超え、ラテンアメリカ諸国も昨年の8%〜8.5%を大幅に超えるのではないかと推計されている。日本は、2008年12月現在では3.9%であり、先進国では最も低い水準である(2009年6月には5%を超える)。かなり悪化しても6%台であるとされ、それは約400万人の失業者数を意味するという。厳しい状況であっても、アメリカやスペインよりずっとましである、というのが彼らの認識である。

2008年の第4四半期の政府統計(労働力調査、速報)を見ると、外国人労働を支援している諸団体の要求や指摘とは裏腹に、日系ラティーノが就労している都道府県の失業率はそう高くなく、全国平均よりむしろ低い。三重県と愛知県の失業率は2.9%、静岡県と長野県が3.0%、岐阜県と山梨県が3.2%、群馬県が3.4%、栃木県が3.6%、そして神奈川県と東京都が3.7%である。むしろ、外国人が非常に少ない北部や東北、九州や沖縄での方が失業率が高い傾向にあり、平均でも5〜6%で、沖縄が7.8%、青森県が7.9%で全国平均の倍である。雇用喪失した日本人の方が圧倒的に多いのである。確かに自動車産業等が集中している地域での派遣労働者の契約解除等を見る限り、深刻な面はあるが、一斉に皆が解雇になったわけではない。派遣会社も、企業としての生存をかけてかなり上手く対処し、公的セーフティーネットである雇用保険を活用させたことで大きな被害が出ていないのも事実である。

政府も不安定雇用に従事している労働者の雇用保険受給要件の緩和や企業への雇用維持の助成金を拡充しており、全体的に経済危機の影響をある程度まで抑えている。また、日系就労者向けの日本語取得事業も設けられ、雇用保険を受給しながらそうした講座を受講できるようにしたのである。また、自治体行政や国際交流協会は独自に日本語教室を実施すると発表している。万能ではなくとも制度的に様々な支援策が機能している。ただ、この不況から脱出した時には、これまでの産業構造や外国人労働者の雇用環境や業種も少なからず変わることになるだろう。

とはいえ、日本の消費市場は大きく、まだ購買力もある。大卒の就職率が下がったとはいえ、中南米から見るとうらやましい86%という高水準である。報道によると、エネルギー関連の企業、通信や運送等ではメンテナンスの人材は必要であり、日系就労者もこれまでの分野とは異なった職種でも労働力を提供できるように努力せねばならない。

2009年の上半期、日本だけではなく世界がどのような状況になり、経済危機をどのように乗り越えていくかが注目される。

注)本稿は2009年1月に書かれたものであり、それまでの状況や政策によって述べた内容である。その後、補正予算も可決され、日系就労者への支援も拡充し、雇用保険の受給者も増えた。

2008年10月、リマのPontificia Universidad Católica del PERU等の主催で日秘協会で行われたAPECシンポジウム。そこでも、筆者はバーチャルパネリストとして日本のペルー人の状況を報告した。

© 2009 Alberto J. Matsumoto

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Sobre esta serie

日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。