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第3回 佐々木倫子先生を迎えての「第2回日系子弟の今後を考える会」

イグアスにおけるバイリンガル教育

今年の8月、イグアス移住地で「第2回日系子弟の今後を考える会」が行われた。そこには桜美林大学教授であり、M・H・B(母語、継承語、バイリンガル)研究会事務局の佐々木倫子先生をお招きすることとなった。佐々木先生は、以前イグアスで開催された日本語教育シンポジウムの講師としてイグアスに来て下さったことがある。今回はイグアスの滝に観光に来られるつもりだったのであるが、数度のメールのやり取りの末、イグアス移住地に立ち寄り、講演することを引き受けてくれたのである。

今回のテーマは「イグアスにおけるバイリンガル教育」。イグアス移住地はブラジル、アルゼンチン、パラグアイが接する三国の国境近くにあり、しかも三国国境の合流点に一番近い日本人の移住者社会ということで、申し分のない多言語環境にある。(他の移住地は合流点から200Km ほど離れている。)果たしてその環境を充分に生かし切っているだろうか?多くの若者たちが、安直に日本への出稼ぎを繰り返している現状から何とか脱却できないだろうか、と常に思っていた私は、今回の講演から何か得られるのではとひそかな期待を持った。ちなみに、この第2回「日系子弟の今後を考える会」から、地元のイグアス農協が協賛して下さることになった。

講演をする佐々木先生

講演会では、佐々木先生が多種多様なバイリンガルの形態を説明して下さった後、出席者が車座になって座談会が開かれた。佐々木先生が座談会で特に強調された点は、以下の通りである。

  • バイリンガルにもさまざまな段階があり、使い分けすることで立派なバイリンガル話者になれる。
  • テレビゲームやマンガなど、日本の大衆文化へ興味を持つ者や、合気道や柔道などの武道に取り組む人の中には、日本語を修めたいという気持ちになる人が少なくない。
  • アジアでは、日本語は経済面においても重要な言語である。
  • 日系人には自分のルーツを知るために日本語を学ぶ人が多い。

さらに日本語学校での「教室運営」について、以下のように具体的なお話をされた。

  • 学校が日本語を勉強するのに望ましい環境になっているかどうかは、そこで「同じ年代の友だちと会って楽しかった」ということが一番大切で、それは一生の宝となる。
  • 教師が「ここに教えるべき日本語があって、それを教えていく」という形ではなくて、子供が何に興味を持って、何を学びたいかということを察知し、それを一緒に考えるという姿勢が大事である。
  • 教師だけが一方的に話をし、生徒は聞くだけという受身の状態ではなく、生徒がどれだけ自主的に動いているかを常に考えながら教えることが大切だ。たとえば子供たちに紙を配る時も、「はい、配りたい人、手を挙げて!」、「はい、3枚ずつ配るのよ」としてもよいし、必要枚数を考えるところからみんなで考えてもいい。自分のかわりに子供たちを動かす。「はい、今日の日直さん、誰?」などと言って、日直さんが前に出て指したものをみんなが日本語で言うなど、動くのは子どもたち。つまり、頭を使っているのは子どもたちで、先生はそれを横にいて教室管理することを心がければ、教室は変わっていく。
  • 子供も、大人もそうだが、単純作業を15分以上続けると飽きが来る。15分経ったら教室の配置を変えたり、ペアーワークやグループワークを行うと良い。特に子供の場合は、グループ分けして競争させるだけでずいぶん変わって来る。
  • 中には態度の少し悪い子とか、元気すぎる子がいるが、授業の最初に黒板に全部名前を書いておいてマイナス点を正の字で加えていき、一番マイナス点の多い子は教室に最後まで残るなどということをすると教室管理がうまくいく。
  • 発言を強要しないということでは、TPR(全身反応学習)と言って、幼児が母語を獲得していく過程では、最初、親は子供に浴びせるほどに話しかけて、それに対して子供が何も言わなくても怒らない。次に、親が「取って来て」、「それ、取っちゃ駄目よ」と言うと、子供はその言葉に従って行動するようになる。それらが蓄積されて、ある日、「駄目!」とか、「ママ」とか、子供自身が言葉を口に出して言い始める。
    つまり、まず、黙って行動する期間というものがあり、それから発言が出て来る。よって、心の準備ができるまでは、「言わされる」というストレスを与えないために発言を強要しないことが重要だと語られた。
  • 特に、継承語の場合、家庭内の両親の会話を聞いて事情はわかるが、自分が話す時はスペイン語になってしまうのは自然で、それを押さえつけたり、批判したりしてはいけない。それでも我慢して親が話しかけていると、やがて子供は心の準備ができて、ある程度日本語で答えるようになってくる。

また、出席者から「イグアス日本語学校の図書室は他校に比べれば充実していると思う。地域に他に本屋もないし、まだインターネットもすべての家庭には普及していない。また、日本語の新聞が各家庭に配られているわけでもないので、図書室の役割は非常に大切と思う。たとえば、佐々木先生から見て、図書室の日本語教材として、充実させた方がいいと思う教材はどのようなものでしょうか?」との質問に対して

  • 良い教材とはどのレベルの子供でもすぐ手に取りたいと思うようなもの、子供のその時点の日本語レベルのひとつ上のレベル、たとえば先輩が書いた作文などを提供したり、子供たちが今まで生み出して来たものを大切にして、その上に少しずつ積み重ねていくのが良い。それが無ければ、ここイグアスで新しいものを作り出していくのもいいだろうと提案された。
  • そして日本語あるいは日本文化についてのさまざまな視聴覚教材を揃えた「リソースセンター」を立ち上げることを提唱された。「一人一人の力は限られているので、それぞれの家庭にあるビデオゲームやビデオを寄付していただいて、誰でも借りだすことができるようにするのが一番いい形です。たとえば卒業生たちから寄付していただいたり、また子供たちが使って、これは良かったと言うようなものを集めて行くのが良い」と話された。

最後に参加者から、次のような感想が述べられた。

「日本語ばかりやっているとスペイン語が駄目になる、また、スペイン語ばかりやっていると日本語が駄目になるなどと聞いていたが、バイリンガルにおける2言語共有説のお話を聞いてそれがすっきりした。」

「家庭と学校と地域、それぞれが協力してバイリンガルを育てるということが大事だということがわかった。図書室のことも出たが、地域で何を支え、何を目指し努力していくのかを明確にし、日本人会が市役所、スペイン語学校とも連携して、地域全体で努力していかねばならない。今後とも、是非、このような議論を続けていかなければならない。」

まさにそうである。日本語学校だけでなく、地域としてバイリンガルを育てる環境を作り上げていくことが、私たちの今やるべきことなのである。

© 2009 Kunio Oyama

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Sobre esta serie

Oyama trabajó como ingeniero eléctrico en la capital, Asunción, hace varias décadas, antes de mudarse a Paraguay con su familia. Actualmente vive con su familia en el asentamiento Iguazú. A través de esta serie, presenta la situación actual de la zona del asentamiento Iguazú a través de experiencias personales.

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Acerca del Autor

Nacido el 31 de julio de 1949 en la prefectura de Ibaraki. A la edad de 19 años, se mudó a la tierra bíblica de Israel, aprendió hebreo en un kibutz y luego estudió "Historia del pensamiento judío" en la Universidad Hebrea. Después de abandonar la escuela, estudió por su cuenta en el extranjero, en Inglaterra y Finlandia, donde aprendió inglés y finlandés. Regresó a Japón, se casó y luego se mudó a Paraguay en Sudamérica. Aprender español. Bendecido con seis hijos y una hija. Aunque regresó a Japón, se mudó nuevamente y actualmente trabaja para mejorar el ambiente educativo de los descendientes de japoneses en Iguazú.

(Actualizado en julio de 2009)

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