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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

移民の子供と学力、親の強い意思が必要

1月と2月に、名古屋と横浜で財団法人海外日系人協会の主催で『在日日系人のための生活相談員セミナー』が実施された。その際、私は「帰国者の受け入れ支援について〜ペルー、アルゼンチンを中心にして」というテーマで発表した。日本にいる南米系日系子弟の状況や上記二カ国の教育統計や帰国子弟の支援策等について調べたところ 、ペルーのリマではKYODAIという団体(日系の協同組合の一環である)の中には精神カウンセラーや教育問題に精通しているスタッフがそうしたケースの帰国子女に対応しており、有料で助言やカウンセリング・プログラムを実施しているということが分かった 。とはいえ、こうした試みを利用しているのは帰国者の一部であり、帰国している数もそう多くないことが確認できた。

日本に在住している多くの日系就労者世帯は、本国に残った妻子を呼び寄せた者も多いが、近年は日本で家庭を築き、子も設けている者が増えている。厚生労働省によると、年間12,000人以上の外国人が誕生しているが、その内3,200人がブラジル国籍で、830人がペルー国籍である(2006年)。一つ気掛かりなことは、この出生の三分の一は非嫡出子であり、親が正規に婚姻していなかったり、片親であることを意味する。が、定住化が確実になってきていることは疑いの余地がない。ただ、日本で産まれたからといって日本の学校への適応がすべて順調とも言えず、その子の家庭環境や親の教育水準、教育に対する意識によって左右されていると言っても良い。

ペルー、ブラジル、アルゼンチン等の日本語教師から聞いた内容だが、親が日本から引き上げ子供たちを地元の学校に入学させても、レベルチェックのテストで殆どの子が下の学級に配置され、場合よっては1〜2回落第を体験することもあるという 。親が描いていた「バイリンガル」はなく、むしろ専門家が言う「セミリンガル」または「ダブル・リミット」という現象が発生しており、どちらも中途半端で軸になる母語、学習用語がない。そのうえ親子間の不理解や不信が、時には子どもたちを非行へ走らせているようだ。が、これは日本でドロップアウト状態になっている日系人子弟も同様である 。日本のメディアや識者は良くこうした状況を取り上げるが、これはペルー人よりブラジル人子弟のほうがかなり深刻な問題である。前者の場合、殆どが日本の公立学校に通い、中学卒業率はブラジル人よりずっと高い。問題は、高校進学・卒業率であり、自治体の単発の統計を見ても20%に満たないのが現状である(日本人の場合、高卒が96.7%であることを忘れてはならない)

OECDの報告「移民の子供と学力〜国際比較報告書」(明石書店2007)によると、「移民の子が多いことと、移民の子供とネイティブの子どもの学力差が大きいこととの間に明らかな相関はないが、1世代目(移民の子弟)の子は異なった社会、学校システムに適応しなければならず、学力の獲得ではかなり苦労し、二世代目の子は、比較的スムーズではあるが、多くの国において、ネイティブとはかなりの差が生じている」と指摘している。また、「移民の子の得点はネイティブの子より低いが、それも国による。得点差が大きいのはオーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダ、スイスであるが、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、マカオ(移民受入の経験がある)では、得点差があまりない。世代がすすむに連れてその差が縮んでいるとあるが、基礎的な数学的スキルについては、ベルギー、フランス、ノルウェー、スウェーデンでは1世の40%以上が、オーストリア、ドイツ、オランダ、アメリカ、ロシアでは25%以上がレベル2(基本的なアルゴリズム、公式や暗算を活用し、定型的な解釈ができるという水準)に達しておらず、将来の職業選択や進学にもマイナス影響になる」という見方である。それから、「アメリカでは、主にスペイン語を用いる家庭の子の得点は、ネイティブの子どもを大きく下回っている」とある。また、ほとんどの国々では「移民の子が教授言語能力を獲得するような支援策について、就学前教育では、明確なカリキュラムにもとづいた体系的な言語支援は行っておらず、だが教授言語の能力を伸ばすための教育支援策はある」と明記している。

また、バイリンガルプログラムを実施している国はあまり多くなく、子どもの母語保持・向上のための補習授業を行っている国は更に少なく、スウェーデンぐらいのようである。そうしたサポートは自治体の判断に任されているケースが多く、調査対象9ヵ国では、それは家族やコミュニティの問題であるとしている。

こうした世界の事例を見る限り、移民の子弟への支援は正規の公教育内で学習能力を高めるためであり、その教授言語が新しい「母語」になるという前提でサポートをしている。また、教科科目をきちんと勉強していれば、本国に戻っても適応問題はかなり緩和され、そうでない場合は親子両者にフラストレーションだけが残る結果になっていることはペルーの事例でも明らかである。

日本は、移民の子が親の出身国に戻るという前提で外国人子弟を支援していることが多いが、これは単なる責任逃れであり、義務教育をきちんと履行させるのが移民を受入れる国家の責務である。

ここ数年の多文化共生事業には、それらを実施してきた自治体や国際交流協会、民間団体や大学等の単なる自己満足的な側面も否定できず、多くの場合肝心の外国人が不在である。いや、いたとしてもその外国人の出身国の諸状況や背景を理解せずにさまざまな「支援策」を実施していることもあり、求めている効果が得られないのは当然の結果とも言える。

注釈:

1. 在日南米人  国籍別 年齢別(男/女) 入管統計2007年12末
国籍/総数          男/女           0-4歳     5-9歳     10-14歳    15-19歳
アルゼンチン: 3.849  2.140/1.709     78/79      109/94    88/79    99/61
ブラジル: 316.967    173.211/143.756 9598/8872 9734/9240 7465/7025 8676/7681
ペルー: 59.696     31.723/27.973   1908/1885 2079/2026 1845/1799 1577/1489
                                                                         23.000   17.000    19.000?

義務教育年齢児童生徒数(中南米出身だけでも)は40.000人相当で、高校に進学し、在学している生徒は年齢層の統計によると19.000人であるが、実際その1〜2割という推計が通説である。  

2. リマの日系団体KYODAIのServicios EducativosのEliana Yamashiro部長, Gladys Obaraカウンセラー, Pompilio Ramírez先生の報告(概要)によると、この日系就労者帰国子女支援のしくみは、1)状況把握には心理テスト、語学(スペイン語)及び教科水準テスト、親との面談等を実施し、場合によっては、2)チューター制度とフォローアップ(家庭教師や教科のサポート)を行うとする。また、平行してスペイン語の集中講座(読解力強化、会話力)と親へのオリエンテーションも行っている。
何よりの課題は、児童と親の不安解消であるが、困難なケースとしては下記のような例が挙げられる。
 − 中学レベルで帰国、スペイン語がまったくできない生徒
 − 日本の学校で疎外されていたり、イジメの体験がトラウマになっている児童生徒、− 子弟だけの帰国で、親は日本に留まり親族に預けられた児童生徒
 − 帰国後スペイン語や教科のサポートなしに正規の学校に編入(再履修率が高い)した児童・生徒
日本でスペイン語の通信講座「Unidos」などを受講し、親の理解と愛情、サポートがしっかりして、児童生徒も精神的に成熟している場合はあまり大きな問題は発生していない。日本でも教科の知識等をしっかり身につけている子はスペイン語があまりできなくとも案外早い段階でペルーの学校に馴染んでいる。また、低学年例ほど適応力がよく、上記サポートを受けるとペルーでの再履修率(落第率)は低くなり、進学率も高くなる。日本からの帰国者であっても、地元大学に入学し卒業しているケースも存在する、という報告である。

3.ペルー(2007年教育省統計) 再履修率(落第率) 公立学校
小1:4.7% 2:15.5% 3:12.7% 4:9.3% 5:7.6% 6:4%
小学平均:9% 中学平均5.5%
小学男性のが平均1%多く、都市部が低い(6.3%)。
農村は13% 貧困:12.4% 貧窮:15.8%
中学都市部:5.2% 農村部:7% 貧困層:5.7% 貧窮層:7.4%
http://escale.minedu.gob.pe/escale/inicio.do ペルー教育省 統計サイト
アルゼンチン(2001年国勢調査に基づく分析) 
6-17歳 通学していない児童生徒率(不就学状態) 平均7%
6歳:3.9 7-11歳:1.5% 12歳:2.2 13歳:4.4 14歳:8.1 15歳:13.9 16歳:20.7 17歳:27.6
就学率 6-11歳(小EGB1-2)98.1% 12-14歳(中EGB3)78.4% 15-17歳(高Polimodal)53.6%
非識字率 10歳以上 2.6%  http://www.indec.gov.ar/   アルゼンチン統計局
いずれの国も落第制度は存在し、年齢層や所属する社会層によって再履修率や未就学率が高くなっている。

4. 全国の母語別児童生徒数 ポルトガル語:10.206  スペイン語:3.484  (文科省)
公立学校(小中高)に就学している外国人児童生徒数:72.751(44.595小、20.119中)
日本語指導が必要な外国人児童生徒数:25.411(18.142小、5.978中)
- 日常生活で使用する言語別:ポルトガル語10.206、中国語5.051、スペイン語6.670

5. 外国人児童生徒 未就学・不就学率 (居住不明者含む) 文科省&自治体行政
集住都市会議の調査(2007):2-3%(小中) 居住不明:15-20% 中:30-40%以上?
外国人学校(私塾):100校以上(推計)不況の影響で閉校が相次いでおり、本来であれば日本の公立学校に編入してこなくてはならないが、思ったほどその数は増えておらず、主にブラジル人子弟の未就学問題は更に深刻な場面を迎えている。

© 2009 Alberto J. Matsumoto

dekasegi education nikkei in japan

Sobre esta serie

日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。