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日系アメリカ人による小説をはじめ、日系アメリカ社会を捉えた作品、あるいは日本人による日系アメリカを舞台にした作品など、日本とアメリカを交差する文学作品を読み、日系の歴史を振り返りながらその魅力や意義を探る。
日米開戦後の日系人収容について、先日体験者の話を聞く会がニューヨークの日系人会で開かれ、会場は立ち見もでるほど人が詰めかけ、関心の高さをうかがわせたというニュースを読んだ。これも、トランプ新政権による排除的な移民政策を反映したものかもしれない。
『天皇が神だったころ』は、日系人三世の女性作家ジュリー・オーツカによる、開戦後の収容をめぐる日系人家族の物語である。
原題は英語で、「When the Emperor was Divine」である。天皇が日本の国の主権者で、神格化されていた時代、アメリカの日系人にとってはその存在や、天皇と日本人の間の関係が謎めいて映っていたことがこのタイトルに表れている。
日本人であれば、「天皇」という言葉は小説のタイトルには使いにくい ...
75年前のいまごろ、アメリカの太平洋岸地域に住む日本人・日系人は、前年末の日米開戦によって、強制的に立ち退きを命ぜられ、全米10ヵ所に設けられた収容所へと送られることになった。
昨今のトランプ大統領による大統領令が、イスラム教徒の多い特定の国を対象にした入国制限を意図したことは、のちに恥ずべき歴史と評価された75年前の日系人収容政策を今思い起こさせ、日系人社会からも反発が起きている。
戦前から戦後にかけて日系人が経験した出来事については、文学上のテーマとして多くの日系アメリカ人によって取り上げられてきた。とくに収容所に関連するものは「収容所文学」とも呼ばれてきた。
それらはほとんど、二世、三世によって書かれた英語の小説である。しかし、『立退きの季節』(1984年、平凡社)の著者、藤田晃は、自らの体験をもとに日本語で書いている ...