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日系アメリカ人による小説をはじめ、日系アメリカ社会を捉えた作品、あるいは日本人による日系アメリカを舞台にした作品など、日本とアメリカを交差する文学作品を読み、日系の歴史を振り返りながらその魅力や意義を探る。
かつて日本からアメリカに渡った人たちのなかには、正規の渡航手続きを経ずに出国した人たちもいた。いわゆる密航である。
明治期からはじまったアメリカ移民は、西海岸を中心に排日の動きが高まる中で1908年には日米間の紳士協約によって日本が旅券の発給を自粛したことで制限され、さらに1924年には新移民法によって全面的にアメリカへの移民はできなくなった。
しかし、それでもアメリカに行きたいと思う人は後を絶たなかった。その理由はなにより、お金を稼ぐためである。とはいっても生活のためだけではない。アメリカに行って日本の何倍もの金を稼ぎ、何か自分の夢を実現させるという“アメリカン・ドリーム”を目指してである。
そのためには、身の危険を冒してまでもチャレンジした。方法は三つあり、ひとつは、本来は船員として乗船している船から、海外で抜け出る「脱船」。二つ目は、貨物船など海外航路の船舶へ潜入し上陸するというもの ...
アメリカのトランプ大統領による排他的な移民政策によって、アメリカ国内の移民、マイノリティーのなかから隣国カナダへのさらなる移住を希望する人が急増しているという報道があった。アメリカより移民に寛容なカナダを好んでのことだという。
しかし、太平洋戦争開始後はアメリカと同様、いや、それ以上に日系人に対して厳しい隔離政策をとっていたのがカナダだった。太平洋岸のバンクーバー周辺の日系人は、財産を没収され、内陸部に強制移住させられた。カナダ生まれでカナダ国籍をもっていても、当時のアメリカ同様、日系人であればその権利をはく奪された。
また、アメリカでは、終戦と前後して収容所は廃止され、日系人は形式的には解放され自由になった。しかし、カナダでは終戦後4年間も、バンクーバーに戻ることが許されなかった。
こうした戦中、戦後に日系カナダ人家族が置かれた厳しい状況を物語として描いたのが日系カナダ人2世の女性作家、ジョイ・コガワ ...