二つの国の視点から

海外に住む日系人は約300万人、そのうち在米日系人は約100万人といわれる。19世紀後半からはじまった在米日系人はその歴史のなかで、あるときは二国間の関係に翻弄されながらも二つの文化を通して、日系という独自の視点をもつようになった。そうした日本とアメリカの狭間で生きてきた彼らから私たちはなにを学ぶことができるだろうか。彼らが持つ二つの国の視点によって見えてくる、新たな世界観を探る。

*この連載は、時事的な問題や日々の話題と新書を関連づけた記事や、毎月のベストセラー、新刊の批評コラムなど新書に関する情報を掲載する連想出版Webマガジン「風」 からの転載です。

media ja

フィリップ・カン・ゴタンダ~人間の絆を描く劇作家-その2

>>その1

父の姿を通して日系人の一生を紡ぐ

「太公望のひとりごと」は、2003年10月に、劇団メイプル・リーフ・シアターによって文京区の三百人劇場(2006年閉館)で上演された。アメリカでの初演は1981年である。私は、1984年、ロサンゼルスのEWPによる公演と、この三百人劇場での日本公演を観た。

この戯曲は、作者の父、ウィルフレッド・イツタ・ゴタンダをモデルとした作品で、主人公イツタ・マツモトの青年期から老年期に至る人生を「魚をとる」「魚を洗う」「魚を料理する ...

Read more

media ja

フィリップ・カン・ゴタンダ~人間の絆を描く劇作家ーその1

日系を含めたアジア系アメリカ演劇は、日本出身の俳優、マコ・イワマツがロサンゼルスで劇団イースト・ウェスト・プレーヤーズ(EWP)を創設した1965年に始まった。8年後の1973年には、サンフランシスコでアジアンアメリカン・シアター・カンパニー(AATC)が旗揚げされ、サンフランシスコ出身の日系3世、フィリップ・ゴタンダは西海岸にできたこの2つの劇団に深く関わるようになる。

表現の場を音楽から舞台へ

ゴタンダの祖父母は広島県出身。母方の祖父は渡米して中西部の鉄道で働き、その後カリフォルニアのストックトンに落ち着いた。父方の祖父はハワイに移住し、フィリップの父、ウィルフレッド・イツタ ...

Read more