Mie Aso

大分県出身、京都女子大学卒、古美術・学術系出版社勤務。渡米後、フリーランスライターとして映画雑誌で執筆。17年より羅府新報社記者。

(2019年2月 更新)

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「ちからもち」、再建への道:和菓子職人の技、兄から妹へ - その2

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銀行残高、わずか1ドル。借金「歯を食いしばって返済」

「2009年、店はつぶれた状態だった」。今でこそ、何気ない口調で語ることができる。だが、ここへたどり着くまでの日々を2人が忘れることはない。

「店を継ぐまでは従業員だったので(店の財務状況を)知らなかった。蓋を開けてみたら大変なことになっていた」と衣枝さんはいう。会社の銀行口座には残高1ドル。取引先などを含む多方面から経済的に援助してもらう窮状だった。「店を継いでいた甥だけがこのことを知っていて、義姉を含む周りは誰も…」

負債のある業者には払っていかなければならない。店は開け、従業員5人も雇い続けた。破産申請してしまえば返済は不要だ。しかし ...

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「ちからもち」、再建への道:和菓子職人の技、兄から妹へ - その1

1985年、熊本出身の職人がロサンゼルスに和菓子屋を開店した。日本各地で鳴らした和菓子職人の率いるこの店が、地元の茶の湯で信頼される存在となるのに時間はかからなかった。順調だった店にやがて最初の不幸が訪れ店は窮地に立たされる―。創業者家族から店を受け継ぎ再建させた妹夫婦。いくつもの困難を乗り越え不安に苛まれながらも、兄から受け継いだ職人の技を以って、今では店を順調に切り盛りする。「周りの人に助けられてここまで来た」

ロサンゼルスに残る数少ない和菓子屋のひとつ、「ちからもち」の34年の足取りを取材した。

和菓子作りすべてあんばいで、手間惜しまず、原料大切に

午前2時半。ガーデナのウエスタン通りにある和菓子屋「ちからもち」の製造所に灯りがともり、オーナーの小池正文さんがスチーマーを温め始める。この蒸し器に十分な蒸気が上がるまで小池さんは機材の並ぶ広い作業場にひとり。半時間ほどして餅を蒸す準備が整うころ、次の職人がやってくる。蒸し上がりの時間は種類による ...

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